SDGsの認識が広がり、ひとりひとりの環境への意識も少しずつ高まっています。そんななか、私たちは普段の食事・調理でどのようなことに気を付けると良いのでしょうか。この記事では、「エコクッキング」という概念とともに、買い物・調理・片付けまでのポイントや具体例を紹介します。
エコクッキングとは?
エコクッキングとは、家庭で食事をする際に、買い物・調理・食事・片付けまでの流れの中で、環境に配慮した選択をすることを言います。
例えば、食材を買うときに食べ切れる量だけ買えば、食品を無駄にすることはありません。これも立派な「エコクッキング」です。
とても簡単に実行できそうですよね。では、買い物から片付けまで、具体的にどのようなことを意識したら良いのかを見ていきましょう。
買い物から片付けまで!エコクッキングのポイント
続いて、エコクッキングを実践する方法を、買い物・調理・片付けの段階に分けて紹介します。
1.買い物編
スーパーなどで食品を買うときには、以下のことを意識しましょう。
・旬の食品を買う
・国産や地域の食品を買う
・食べ切れる量だけ買う
最近では野菜の旬が分からないほど、どんな野菜でも年間を通して購入することができます。しかし、自然に栽培した旬の野菜に比べ、温室などの施設で栽培した野菜は約10倍ほどのエネルギーを消費するといわれています(*1)。
また、日本では多くの食品を輸入に頼っていますが、海外から食品を輸送するためにも多大なエネルギーを必要とします。国内でも、食品の輸送のためにトラックを走らせれば、その分ガソリンが必要となり、排気ガスも出ますよね。
こうした環境負荷を減らすためには、消費者の購買行動がキーポイントです。販売店は売れるものを仕入れるので、消費者が国産・地域のもの、旬のものを選ぶようになれば、自然とそれらの食品を多く仕入れるようになっていきます。
そして、当たり前のことですが、食べ切れる量だけ食品を購入することも大切です。買い物へ行く前には冷蔵庫のストックを確認したり、献立を計画したりして、食品を無駄にしない工夫をしましょう。
2.調理編
調理するときにも、少しの工夫でエコクッキングを実践できます。特に、以下のポイントを意識してみましょう。
・加熱時は鍋に蓋をする
・余熱を利用する
・1つの器具で同時調理する
・野菜や果物は皮ごと使う
・洗い物を減らす工夫をする
調理の際は、主にガス・電気・水の使用量を減らすことがエコクッキングのポイントです。
例えば、鍋でお湯を沸かす際は、蓋をして加熱すれば熱が逃げず短時間で沸かすことができ、ガスや電気の消費量を抑えられます。また、調理に使った鍋やフライパンが温かいうちに次の調理をスタートすれば、0から始めるより短時間で加熱できます。
また、できるだけ同じ器具を使って調理することも大切です。4人分の目玉焼きとウインナーを作るとしたら、全部が収まるフライパンを使ってまとめて調理すると、別々に調理するより効率的。空いたスペースに野菜も入れて、一緒に加熱するのも良いですね。
使うお皿や調理器具を減らして、洗い物に使う水や洗剤の量を減らすのもポイントです。例えば、茹で・蒸し調理のように汚れの付きにくい料理から始めて、炒め物や揚げ物のように油を使う料理の順にフライパンを使えば、洗わずにフライパンを使い回すことができます。バナナをまな板ではなく、皮の上でそのまま切るのも、横着ではなく立派なエコクッキング。
そのほか、野菜や果物を皮ごと使ったり、芯やヘタを取り除く際はなるべく可食部を残すように意識したりして、生ゴミの量を減らすこともポイント。ごみの焼却も環境負荷がかかるので、なるべく生ゴミの量を抑えたいですね。
3.食事・片付け編
エコクッキングは、調理して終わりではありません。食事や後片付けの際のポイントもチェックしましょう。
・食べ切れる量だけ盛り付ける
・油汚れはペーパーで拭き取る
・汚れの少ないものから洗う
・生ゴミは水気を切ってから捨てる
料理は、一度に食べられる分を盛り付けるようにして、残った分は適切に保存しましょう。2~3日以内に食べられるものは保存容器に入れて冷蔵保存、それ以上保存する場合は冷凍保存すると良いですね。
フライパンの油汚れは、キッチンペーパーや新聞紙、要らない布などを使って拭き取り、排水を汚さないようにしましょう。洗い物の際も、グラス類→お茶碗→おかずのお皿→フライパンなどの順番で洗うと、スポンジをなるべく汚さずに効率よく洗うことができます。
また、生ゴミは水気をよく切ってから捨てることで量が減り、水分による焼却炉の燃焼効率の低下を防ぐことができます。
\エコクッキングのレシピはこちらで紹介しています/
エコクッキングは健康維持・節約にもなる
エコクッキングのメリットは、環境にやさしいことだけではありません。じつは、健康維持や節約にもつながるのです。
食品ロスが減れば家計の無駄が減り、工夫して調理することによりガス・水道・電気代も抑えられます。生ゴミを減らすために野菜や果物の皮を食べれば、皮に含まれる栄養素を摂取でき、健康維持に役立ちます。
また、旬の食材は栄養価が高く、「自分が住む土地で採れたものを食べると健康に良い」という考えもあります。
いつも買い物へ車で行っている場合は、歩きや自転車に変えると、環境にやさしく、ガソリン代の節約、ダイエットにもなりますね。
キッチンからSDGs!エコクッキングを実践しよう
ちょっとした工夫や心がけで、エコクッキングを実践することができます。
環境だけでなく、健康やお財布にもやさしいエコクッキングを、ぜひ取り入れてみてくださいね。
Written by Yukari
私自身も食生活と環境との関わりに興味があり、なるべく環境負荷の少ない食材や調理法を選ぶように心がけています。今回の記事で少しでもエコクッキングに興味を持っていただけたら、とても嬉しく思います。
参考文献
*1 有薗幸司編「食品の安全 改訂第2版」
長尾慶子ら「家庭におけるエコ・クッキングの実践がCO2削減に及ぼす効果」2008,日本家政学会誌Vol. 59
東京ガス「エコ・クッキングとは」