プラントベースフードとは?メリット・デメリットを紹介

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近年注目されているプラントベースフードとは、どのような食品なのでしょうか。この記事ではプラントベースフードの意味やメリット・デメリットを紹介します。ヴィーガン・ベジタリアン食との違いについても紹介するので、参考にしてくださいね。

プラントベースフードとはどんなもの?

プラントベースフードとは、植物性食品そのものや、植物由来の原材料から作られた食品のことです。例えば、米や野菜、果物、豆類、そして大豆から作られた豆腐や納豆などはすべてプラントベースフード。

ただ、一般的にプラントベースフードというと動物性食品の代替品になるものを指す場合が多いです。肉の代替品である大豆ミート、牛乳の代わりになる豆乳やアーモンドミルクが代表的ですね。

また、植物性食品を多く取り入れようとする取り組み、概念を指すこともあります。

Column:プラントベースフードの意味
プラントベースフードは、英語で「Plant based food」と書きます。「Plant」は植物、「based」は由来を意味する言葉。「植物由来の食品」や「植物性食品」と訳すことができます。

プラントベースフードのメリット

なぜ今、プラントベースフードに注目が集まっているのでしょうか。まずは、プラントベースフードのメリットを紹介します。

1.動物性食品より環境負荷が少ない

肉や乳製品の生産は、地球環境への負荷が大きいと指摘されています。その理由は、家畜が排出する温室効果ガス、畜産にともなう水資源の枯渇、飼料としての穀物の大量使用などさまざまです。

例えば、タンパク質1gあたりに換算すると、牛肉の生産には大豆の6倍の水が使用されます。温室効果ガスについては、総排出量の30~40%を食料関連が占め、その中の約60%を動物性食品が占めるといわれています(*1)

また、肉・魚・乳製品などは常温での保存ができず、流通から消費まで低温管理するため、冷蔵・冷凍に多大なエネルギーを要します。

もし、2050年までに動物性食品の生産・消費が50%減ったなら、現状を維持した場合の予想シナリオに比べて、温室効果ガスの排出量は64%削減できると考えられています(*1)

2.健康維持に役立つ

動物性食品は脂質を多く含むため、食べすぎると生活習慣病や肥満の原因になります。特に、肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、LDL(悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化や脂質異常症を招きます

一方、植物性食品は飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多いのが特徴。不飽和脂肪酸には、LDLコレステロールを減らす作用があり、健康維持に役立ちます。

食品脂質含有量
(g/100g)
飽和脂肪酸
(g/100g)
不飽和脂肪酸
(g/100g)
和牛
サーロイン
47.516.2926.17
豚バラ肉40.115.3921.93
鶏もも肉14.24.378.56
ゆで卵10.43.045.55
牛乳3.82.330.99
チェダーチーズ33.820.529.90
豆乳2.00.321.42
木綿豆腐4.90.793.52
白ご飯0.30.100.13
アーモンド54.14.1347.74
アボカド17.53.0311.81
出典:日本食品標準成分表2020年版

なお、赤肉(牛肉や豚肉)や加工肉(ウインナーやハム)の過剰摂取は発がん性との関連が指摘されています。これらの食品を多く摂取している場合、週に1~2回だけでも植物性食品に置き換えることで、健康的な食生活にシフトチェンジできるでしょう。

植物性食品には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれているのも嬉しいポイントですね。

Column:赤肉と加工肉の発がん性
国際がん研究機関(IARC)は、さまざまな物質・要因を研究し、その発がん性を4段階で評価しています。
グループ1:ヒトに対して発がん性がある
グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある
グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある
グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない

2015年、赤肉はグループ2A、加工肉はグループ1に分類されたことが発表されました。週に何度か食べる程度であれば影響は小さいですが、毎日欠かさず食べている場合は摂取量を減らすことをおすすめします。

3.持続可能な食生活の実現を助ける

食を取り巻く問題は多数あり、WHOやFAOは現在の生産・消費パターンは「持続不可能」だと発言しています。持続可能な食生活を実現するためには、現在から未来にわたり、地球環境への負荷を軽減しながら、すべての人々が健康で豊かな食事ができるシステムが必要です。

アメリカや日本のような先進国は飽食の時代を迎え、むしろ肥満や食品ロスが問題となっています。その一方で、発展途上国では依然として飢餓に苦しむ人々が絶えません。

現在、地球上にはすべての人々が十分に食べられるほどの穀物がありながら、その1/3程度が家畜のエサとして消費されています。例えば、牛肉1kgを生産するためには11kgの穀物が必要になります(*2)

また、世界的な人口増加に加え、肉の消費量が増加しているため、今より多くの飼料が必要になるといわれています。つまり、このまま肉の消費量が増え続ければ、飼料として大量の穀物が必要となり、農地開拓のために森林が伐採されたり、途上国へ供給される穀物が減少したりする可能性があるのです。

そこで、肉を大豆ミートなどのプラントベースフードに代替する取り組みが始まりました。プラントベースフードは、持続可能な食生活に貢献すると期待されています。

プラントベースフードのデメリット

環境負荷を軽減し、健康維持に役立つプラントベースフードですが、デメリットもあるのでしょうか。次は、プラントベースフードを取り入れる際に注意したい点を紹介します。

1.栄養素が不足する可能性がある

動物性食品を一切とらず、完全にプラントベースフードに切り替えた場合は、いくつかの栄養素が不足する可能性があります。

菜食主義者に不足しやすい栄養素が、ビタミンB12です。ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、適度に動物性食品を摂るか、サプリメントなどで補う必要があります。

また、動物性食品には吸収率の高いヘム鉄が含まれているため、摂取量を極端に減らすと貧血を招くことがあります。植物性食品に含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がるので、食べ合わせを工夫しましょう。

魚に多く含まれるビタミンDEPA・DHAなどの多価不飽和脂肪酸も、菜食主義者は不足しがち。ビタミンDを多く含むきのこ類、EPAを含むエゴマ油やアマニ油をしっかり摂って対策しましょう。

なお、植物性食品にもタンパク質は含まれています。特に大豆はアミノ酸スコア100の優れたタンパク源。お米などの主食とともに大豆製品を摂っていれば、タンパク質が不足する心配はほぼありません。

2.輸入食品は環境負荷がかかる

プラントベースフードは動物性食品に比べて、生産時の環境負荷が少ないのが特徴です。しかし、海外産のプラントベースフードは、日本まで輸送する際にCO2を排出し、環境へ負荷をかけてしまいます。

特に、大豆は国内自給率が10%以下で、大部分を輸入に頼っています。プラントベースフードを購入する際は地産地消を意識し、国産・地域産の食品を積極的に選びましょう

プラントベースフードとヴィーガン・ベジタリアン食の違いは?

ヴィーガン・ベジタリアンの食事と、プラントベースフードに違いはあるのでしょうか。まずは、それぞれの特徴を確認しましょう。

ヴィーガン:動物由来の食品を一切排除する
ベジタリアン:乳製品や卵は食べる場合がある
プラントベースフード:植物性食品を多く食べる

ヴィーガンとベジタリアンは、肉や魚介類を避ける点は同じですが、ベジタリアンの中には卵や乳製品を摂取する人もいます。ヴィーガンは、ミツバチが集めたハチミツや、動物の骨を使って精製する白砂糖も口にしないのが特徴です。

一方、プラントベースフードは、動物性食品を排除するのではなく、植物性食品を食べる機会を増やそうという考えが基盤となっています。普段は肉や魚を食べていても、気が向いた時にプラントベースフードを取り入れるのもOK。ヴィーガンやベジタリアンより自由度が高く、誰でも、いつでも簡単に始められます。

プラントベースフードはヴィーガン食ではない

プラントベースフードに明確な定義はなく、ハチミツや白砂糖が含まれることもあります。ヴィーガン食とは違うので、動物由来の食品を完全に排除したい方は注意してくださいね。

また、「プラントベースのお肉を使用」などと書かれたハンバーガーの場合、パティは動物性食品を使っていなくても、バンズに卵が使用されていることもあります。動物性食品にアレルギーを持っている方は、原材料をよく確認しましょう。

プラントベースフードは選択肢のひとつ

プラントベースフードは、多様化する食生活の選択肢の1つです。動物性食品を完全にやめる必要はなく、体の調子を整えたいとき、地球環境にやさしい食事をしたくなったときなど、気が向いたときにプラントベースフードを取り入れることができます。

大豆ミートやヴィーガンチーズなどの代替品は、改良を重ねてどんどん美味しくなっています。食生活を取り巻く問題は尽きませんが、プラントベースフードが普及することで、未来に希望が持てますね。

Written by yukari

食生活アドバイザー。肉や魚を使わずに食べ応えのあるおかずを作るなら、厚揚げや高野豆腐がおすすめです。よく水切りした木綿豆腐も、カッテージチーズのような食感になってサラダなどに合います。美味しく、楽しみながらプラントベースフードを取り入れていきましょう。

参考文献
*1 greenpeace.org
*2 農林水産省「お肉の自給率
・農林水産省「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について
・食品安全委員会「レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方

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