価格が安く、手軽にサッと食べられる魚肉ソーセージ。小腹が空いたときのおやつにもピッタリですよね。しかし、「魚肉ソーセージって体に悪い?」「添加物は大丈夫?」などの疑問もあるかもしれません。この記事では、魚肉ソーセージの原材料や栄養価を紹介します。いろいろな種類の魚肉ソーセージや活用レシピも併せて紹介するので、参考にしてみてくださいね。
魚肉ソーセージの原材料は?

魚肉ソーセージの主な原材料は、
・魚肉(たら・まぐろ・あじなど)
・ラードなどの油脂
・デンプン
・植物性タンパク質
・香辛料
などです。
魚肉ソーセージの原材料に使われる魚の種類はメーカーによって異なりますが、近年はすけとうだらなどの白身魚がよく使用されます。
魚のすり身に、油脂・デンプン・植物性タンパク質・香辛料などの副原料を加えて練り合わせ、ケーシングフィルムに詰められます。その後、多くの商品は高圧加熱殺菌されるため、常温で長期間保存することができます。
魚肉ソーセージは備蓄にもぴったり
常温で90日近く保存できる魚肉ソーセージは、非常食として備蓄するのに適した食品。一般的に、魚肉ソーセージは「レトルト殺菌」と呼ばれる殺菌法を行います。圧力をかけて100℃以上の高温で加熱するため、高温に強い食中毒菌も殺菌することができます。ただし、商品によって賞味期限は異なるので、必ずパッケージの表示を確認し、保存方法に従って適切に保存してくださいね。
魚肉ソーセージの添加物

一般的に、魚肉ソーセージには、
・調味料
・着色料
・酸化防止剤
などの添加物が使われます。
これらは、より美味しく、安全に保存する目的で使われます。もちろん、食品添加物は国が定めた基準に則って使用されるので、健康への影響はないと考えられます。
とはいえ、添加物をなるべく避けたいと思う方も多いので、近年は保存料や着色料が無添加の魚肉ソーセージも販売されています。保存料や酸化防止剤が使用されていない場合は風味が劣化しやすいので、保存方法に注意し、早めに食べましょう。
魚肉ソーセージはなぜ着色料を使うの?
魚肉ソーセージといえば、華やかなピンク色が特徴的ですよね。なぜピンクに着色するの?と疑問に思うかもしれません。
魚肉を加熱すると薄いベージュのような色になり、そのままだとあまり美味しそうに見えない、というのが着色する理由です。赤みがかった色は食べ物を美味しそうに見せる効果があるので、ピンクに着色されるようになりました。
着色料としては、クチナシ色素やリコピン色素などの天然着色料がよく使われます。クチナシ色素はクチナシの果実、リコピン色素はトマトなどに含まれる色素です。
近年は、着色料を使わず、本来の色のまま販売している商品もあるので、添加物が気になる方は試してみてくださいね。
無添加の魚肉ソーセージ
魚肉ソーセージの栄養価

魚肉ソーセージに含まれる主な栄養素等を一覧で紹介します。
栄養素等 | 魚肉ソーセージ 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 158kcal |
炭水化物 | 14.5g |
タンパク質 | 10.3g |
脂質 EPA DHA | 6.5g 18mg 50mg |
食塩相当量 | 2.06g |
カルシウム | 100mg |
鉄 | 1.0g |
ビタミンD | 0.9µg |
ビタミンB1 | 0.20mg |
ビタミンB2 | 0.60mh |
魚肉ソーセージには、魚由来のさまざまな栄養素が含まれています。特にタンパク質やDHA・EPA、カルシウム、ビタミンDなどが豊富に含まれます。鉄やビタミンB1・B2なども摂取できますよ。
魚肉ソーセージの栄養価は商品によって異なり、カルシウムやDHA・EPAが強化されている商品も多くあります。主なメーカーの人気商品の栄養価を以下の表にまとめました。
各メーカーの人気商品の栄養価一覧
ニッスイ おさかなの ソーセージ | マルハニチロ おいしい おさかな ソーセージ 1秒OPEN | 東洋水産 マルちゃん おさかなでつくった ソーセージ | 丸善 BIGあらびき ソーセージ | トップバリュ 塩分30%カット おさかなソーセージ | |
---|---|---|---|---|---|
内容量(1本) | 70g | 65g | 70g | 130g | 70g |
エネルギー | 123kcal | 108kcal | 87kcal | 230kcal | 100kcal |
炭水化物 | 9.9g | 9.2g | 10.8g | 16.8g | 12.0g |
タンパク質 | 6.3g | 6.1g | 5.2g | 13.4g | 7.0g |
脂質 | 6.5g | 5.2g | 2.6g | 11.4g | 2.8g EPA 100mg DHA 310mg |
食塩相当量 | 1.3g | 1.2g | 1.4g | 2.6g | 0.9g |
カルシウム | 350mg | 600mg | 530mg | ー | 601mg |
アレルギー物質 | かに ・小麦 ・ さけ ・ 大豆 | 小麦・大豆 | 小麦・卵・ 大豆 | 小麦・乳成分・ 大豆・鶏肉・ 豚肉 | 小麦・かに・ さけ・大豆 |
魚肉ソーセージに含まれる栄養素の効果

続いて、魚肉ソーセージに含まれる主な栄養素の効果をみていきましょう。
カルシウム・ビタミンD:骨の健康
カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分です。カルシウムが不足すると骨に含まれるカルシウムの量が減り、骨がスカスカな状態になってしまうことも。カルシウムを積極的に摂取すると、骨密度を保つために役立ちます。
また、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きをもちます。カルシウムとビタミンDをしっかり摂ると、骨粗鬆症の予防に役立ちます。
DHA・EPA:血管の健康・脳の発達
DHAやEPAには、血液をサラサラにする作用や血管の弾力性を保つ作用があります。動脈硬化や虚血性心疾患などの予防に役立つ成分です。
DHAやEPAには炎症を抑える作用もあるため、アレルギーの緩和にも役立ちます。DHAは脳の発達や学習機能にも関わるので、成長期の子どものおやつに魚肉ソーセージはぴったりです。
魚肉ソーセージは不足しがちな栄養素を補うのにぴったり
日本人に不足しがちな栄養素のひとつがカルシウム。また、ビタミンDの摂取量も多くの日本人が不足していると考えられています(*1)。これらの栄養素が不足する原因として、魚の摂取量が少ないことがあげられます。魚を調理するのが面倒でも、魚肉ソーセージなら手軽に食べられるのが嬉しいですね。軟らかくて食べやすいので、子どもや高齢者のおやつにもぴったりです。
特定保健用食品(トクホ)の魚肉ソーセージ
特定保健用食品(トクホ)とは、健康を保つ効果が期待できる成分を含む食品のことです。その効果や安全性が国に認められれば、期待できる効果を表示して販売できます。
魚肉ソーセージのなかには、トクホとして認められている商品もいくつかあります。一般的な魚肉ソーセージに比べて栄養素が強化されている場合も多いので、健康維持のために活用してみてくださいね。
1.ニッスイ「おさかなのソーセージ」
こちらは、カルシウムを1本あたり350mg含むソーセージ。成人の1日のカルシウムの推奨摂取量の約半分を1本で補うことができます。
認められている表示は、「若い女性が骨の健康を維持し、将来の骨粗鬆症リスクを低減する」というものですが、老若男女問わず、カルシウムは骨の健康維持に役立ちます。カルシウムの補給のために、取り入れてみてくださいね。
2.マルハニチロ「DHA入り リサーラ ソーセージω」
こちらは、「心血管のリスクにそなえる」効果が期待できる商品。DHA・EPAには、血液をサラサラにする効果や、血管の弾力性を高める効果などがあり、心疾患疾患(心筋梗塞や狭心症など)のリスクを低減する可能性があります。
これは「疾病リスク低減表示」といい、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に限って認められる表示です。心疾患の疾病リスク低減表示が認められたのは、この商品が日本ではじめてでした。
魚肉ソーセージとハム・ウインナーの栄養価の違いは?

ハムやウインナーは、豚肉や鶏肉などを原材料とする点で魚肉ソーセージと異なります。原材料が違うと、栄養価も異なるのでしょうか。それぞれの栄養価をチェックしましょう。
魚肉ソーセージ | ウインナー | ロースハム | |
---|---|---|---|
エネルギー | 158kcal | 319kcal | 211kcal |
炭水化物 | 14.5g | 3.1g | 6.0g |
タンパク質 | 10.3g | 10.5g | 16.0g |
脂質 飽和脂肪酸 EPA DHA | 6.5g 2.53g 18mg 50mg | 29.3g 10.98g 2mg 6mg | 13.5g 5.35g 4mg 12mg |
食塩相当量 | 2.06g | 1.9g | 2.3g |
カルシウム | 100mg | 6mg | 4mg |
鉄 | 1.0g | 0.5mg | 0.5mg |
ビタミンD | 0.9µg | 0.4µg | 0.2µg |
ビタミンB1 | 0.20mg | 0.35mg | 0.70mg |
ビタミンB2 | 0.60mh | 0,12mg | 0.12mg |
違いは脂質の量と質
魚肉ソーセージとウインナー・ハムの大きな違いは、脂質の量と質です。魚肉ソーセージに比べて、ハムは約2倍、ウインナーは約4倍の脂質を含みます。また、ハムやウインナーの脂質は飽和脂肪酸が多く、DHA・EPAが少ないのも特徴です。
また、ウインナー・ハムはカルシウムやビタミンDの含有量も少ないことがわかります。一方、ビタミンB1はハム・ウインナーのほうが豊富に含みます。
どちらのほうが健康に良い・悪いというわけではありませんが、飽和脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化や脂質異常症を引き起こす原因になるので、ウインナーやハムの食べ過ぎには注意したいですね。ウインナーやハムを毎日のように食べている方は、時々魚肉ソーセージに変えると、健康維持に役立つでしょう。
魚肉ソーセージの食べ過ぎは体に悪い?

どんな食品にもいえることですが、1つの食品を極端に食べ過ぎることはおすすめできません。魚肉ソーセージの場合は、食べ過ぎると食塩の過剰摂取につながりやすくなります。
食塩の過剰摂取は高血圧の原因になり、さまざまな疾病を引き起こす可能性があります。食塩の摂取量は成人男性で7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満に抑えることが目標とされています。
魚肉ソーセージ1本には約1~1.5g程度の食塩が含まれます。ほかの食品からも食塩を摂取することを考えると、魚肉ソーセージを1日に何本も食べるのは控えたほうが良いでしょう。
食塩の摂取量が気になる方には、減塩タイプの魚肉ソーセージがおすすめ。各メーカーから、食塩が30~50%ほどカットされた商品が販売されています。
色々な種類の魚肉ソーセージ
近年は、さまざまな種類の魚肉ソーセージが販売されています。その中から、変わり種の商品を紹介します。一味違う魚肉ソーセージを楽しみたい方におすすめです。
1.うなぎソーセージ
こちらは、うなぎの蒲焼き風に仕上げられたソーセージ。原材料には、鹿児島産養殖うなぎが使用されています。
スーパーで見かけることがほとんどないレアな商品で、いつもの魚肉ソーセージより少しリッチな気分が味わえます。薄くカットして温めると、ふんわりした食感になり、うなぎの蒲焼きらしさがアップしますよ。
2.のどぐろソーセージ
高級魚である「のどぐろ」を使用したソーセージ。のどぐろの他にも、たら、ままかり、えそ、たちうおが使用されています。
のどぐろは、「白身のトロ」と呼ばれるほど脂のりの良い魚。一般的な魚肉ソーセージに比べて、うま味やコクが感じられます。
3.からし明太子入りお魚スティック
こちらは、魚肉ソーセージの中にからし明太子がたっぷり詰まった商品。明太子は「かねふく」のものが使用されています。
ピリッとした辛さがあるので、大人向けの商品です。お酒のおつまみにもぴったり。
魚肉ソーセージを使ったレシピ
魚肉ソーセージは、そのまま食べても美味しいですが、色々な料理に使うこともできます。肉や魚のストックがないときに役立ち、節約にもなります。ぜひ、料理に活用してみてくださいね。
※魚肉ソーセージの種類によって塩分量が異なるので、調味料の量は、味をみながら調節してください。以下のレシピでは、トップバリュの「塩分30%カット おさかなソーセージ」を使っています。
1.魚肉ソーセージのゴーヤチャンプルー

- 材料
- 作り方
- ゴーヤ 1/2本(約140g)
- 魚肉ソーセージ 1本(70g)
- 木綿豆腐 150g
- 卵 1個
- ごま油 小さじ2~3
- 料理酒 大さじ1
- 醤油 小さじ2~3
- 砂糖 小さじ2
- かつおぶし 1つまみ
- (お好みで)ブラックペッパー 適量
- ゴーヤは縦半分に切り、種とわたをスプーンで取り除く。5mm幅に切り、塩小さじ1/4(分量外)をふって5~10分ほどおく。豆腐はキッチンペーパーに包み、水分を切っておく。魚肉ソーセージは5mm幅の斜め切りにする。
- フライパンにごま油小さじ1を入れて中火で熱し、水気を切った木綿豆腐を崩して入れ、焼き色が付くまで炒める。豆腐は一度皿に取り出す。
- ごま油をさらに加え、水気を軽く切ったゴーヤと魚肉ソーセージを入れて炒める。
- ゴーヤに火が通り、魚肉ソーセージに焼き色がついたら、豆腐をフライパンに戻す。料理酒・砂糖・醤油の順に加え、溶き卵を加える。
- 卵が固まったら火を止め、かつおぶしを加えてサッと混ぜる。皿に盛り、お好みでブラックペッパーをふる。
沖縄の郷土料理のゴーヤチャンプルー。スパムの代わりに魚肉ソーセージを使っています。スパムより低カロリー・低脂質でヘルシーなので、ダイエット中にもおすすめのレシピです。
魚肉ソーセージとかつおぶしの相性もばっちり。野菜をたくさん食べたいときは、もやしやパプリカを加えるのもおすすめです。

2.魚肉ソーセージのポテトサラダ

- 材料
- 作り方
- じゃがいも 中2個(200~250g)
- 魚肉ソーセージ 1本(70g)
- きゅうり 1本
- マヨネーズ 大さじ2~3
- 酢 小さじ1~2
- (お好みで)ブラックペッパー 適量
- じゃがいもを洗い、皮がついたままラップで包み、600Wのレンジで5分加熱する。そのまま、ほどよい軟らかさになるまで蒸らしておく。
- きゅうりは薄切りにして塩(分量外)で揉み、水気を軽くしぼる。魚肉ソーセージは縦半分に切り、5mm幅の半月状に切る。
- じゃがいもの皮を剥き、ボウルに入れて軽くつぶす。酢・マヨネーズを加えてよく混ぜる。
- きゅうり・魚肉ソーセージを加えて混ぜ合わせ、皿に盛ってブラックペッパーをふる。
ポテトサラダといえばハムやベーコンを使うことが多いですが、魚肉ソーセージで作っても美味しく仕上がります。
きゅうりは多めに加えているので、シャキシャキした食感が楽しめますよ。酢を加えることで味が引き締まり、さっぱりした味わいになります。酸味が苦手な方は、マヨネーズだけで作ってもOKです。
3.魚肉ソーセージのコンソメスープ

- 材料
- 作り方
- キャベツ 1/4個(約200g)
- 魚肉ソーセージ 1本(70g)
- にんじん 1/2本(約50g)
- コーン 100g
- 水 4カップ(800mL)
- 固形コンソメ 1個
- 塩コショウ 少々
- (お好みで)パセリ 適量
- キャベツはざく切り、にんじんは乱切りにする。、魚肉ソーセージは斜め切りにする。
- 水を入れた鍋にキャベツ・にんじん・コンソメを加え、ふたをして煮る。
- 具が軟らかくなったらコーンと魚肉ソーセージを加え、塩コショウで味をととのえる。
コンソメスープに魚肉ソーセージを入れてポトフ風に仕上げたレシピです。
コクを出したい場合は、魚肉ソーセージをオリーブオイルやバターで炒めてから入れるのがおすすめ。玉ねぎやじゃがいもなど、お好みの野菜も足してみてくださいね。
まとめ

ここまで紹介してきた魚肉ソーセージの特徴をまとめました。
・さまざまな栄養素を含み健康効果が期待できる
・無添加・減塩タイプもある
・バリエーションが豊富で飽きにくい
・常温で長期間保存できる
・価格が安い
・さまざまな料理に使える
魚肉ソーセージには、タンパク質やDHA・EPA、カルシウム、ビタミンDなどの栄養素が含まれています。DHA・EPAは動脈硬化や心血管疾患などの予防に、カルシウムやビタミンDは骨の健康維持に役立ちます。
魚肉ソーセージの添加物や塩分が気になる方には、無添加・減塩の商品がおすすめ。また、「うなぎの蒲焼き風」「明太子入り」など、バリエーションが豊富なのも魚肉ソーセージの魅力です。トクホのように、栄養価が強化された商品を選ぶのも良いですよね。
魚肉ソーセージは、そのまま食べても美味しいですが、料理に使うのもおすすめです。健康的で経済的な魚肉ソーセージを、ぜひ活用してみてくださいね。
Writer’s comment
個人的に魚肉ソーセージが大好きです。朝、時間がないときは玄米ご飯、魚肉ソーセージ、味噌汁でササッと朝食をとることがありますが、そこそこ栄養バランスがとれるので気に入っています。DHA・EPAを摂取するからか、頭も働くような気がします。プラセボ効果だとしても満足。
参考文献
*1 N, Yoshimura et.al「Profiles of vitamin D insufficiency and deficiency in Japanese men and women: association with biological, environmental, and nutritional factors and coexisting disorders: the ROAD study」
*2 荒井総一・倉田忠男・田島眞著『新 櫻井 総合食品事典』同文書院
*3 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『食物学Ⅱ 第2版』建帛社