魚を調理する際に気になる特有のにおい。手やまな板ににおいが付くのが嫌で、魚の調理を負担に感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな気になる魚の臭みを取る方法を紹介します!キッチンにある食材で簡単にできる方法ばかりなので、ぜひ試してみて下さいね。
そもそも魚のにおいの原因とは
そもそも、魚はなぜにおうのでしょうか?まずは、魚のにおいの原因から見ていきましょう。
不快な魚のにおいは、主に「トリメチルアミン」という物質が原因です。トリメチルアミンは、もともと無臭の「トリメチルアミンオキシド」として魚の体内に存在しますが、魚の死後、細菌によってトリメチルアミンに分解されると悪臭を放つようになります。
魚の鮮度が落ちると、トリメチルアミンのほかに硫化水素やアンモニアなどの成分も生じ、時間がたつほど強くなっていきます。そのため、魚のにおいの強さは、鮮度の目安にもなりますよ。
ちなみに、魚には「生鮮魚臭」と呼ばれる磯のようなにおいもありますが、こちらは鮮度とは関係がありません。魚体に含まれている成分の違いにより、淡水魚は生鮮魚臭が強く、海水魚は不快な魚臭を感じやすいと言われています。
家にあるもので簡単!魚のにおいを取る方法
魚のにおいの原因が分かったところで、早速、臭み取りの方法を見ていきましょう!
1. 水で洗う
なんとも簡単な方法ですが、魚臭のにおいの原因であるトリメチルアミンは水に溶ける性質を持つため、水で洗うと除去することができます。魚のにおいがそれほど強くない場合は、水で洗うだけで解決できるでしょう。
2. 塩をふる
魚に塩をふってしばらく置くと、魚肉に含まれる塩溶性のタンパク質が流出します。このときに、においの原因となる成分も一緒に流出させることができるのです。
塩をふる方法では、魚から出てきた液が流れていくようにザルの上で行うか、出てきた液をキッチンペーパーでしっかり拭き取ると効果的ですよ。
3. 酢を加える
魚を調理する際に酢を加えると、酢に含まれる酸がトリメチルアミンと結合して揮発しにくくなるため、においを抑えることができます。酢のほかに、梅干しやレモンなどの酸性の食材を使っても同じ効果が得られますよ。
寿司のシャリに酢を加えたり、焼き魚にレモンやすだちを添えたりするのは、魚のにおいを抑えるための先人の知恵だったんですね。
4. 酒を加える
料理酒やワインを加えると、成分の一部が魚臭成分と結合するため、においを抑えることができます。また、アルコールの強い香りによって魚臭さがマスキングされ、目立たなくなる効果もあります。
加熱調理の際に酒類を加えるのが一般的ですが、においの強い魚を酒類と水を使って洗う料理人もいるようです。
5. 醤油や味噌を加える
醤油や味噌には特有の香りがあるため、魚臭さを隠すマスキング効果があります。また、醤油や味噌に含まれるタンパク質が魚臭成分を吸着し、臭みを取る効果も得られますよ。
サバやイワシのような青魚は特ににおいが強いため、味噌や醤油を使った調理法が多くあります。サバの味噌煮が代表的ですね。また、寿司や刺身に付ける醤油も、臭み消しの役目を果たしています。
6. 薬味を使う
生姜やにんにく、わさび、大根おろしなどには、強い香味によって魚の臭いを消す効果があります。刺身にわさび、焼き魚に大根おろしが添えられるのは、これが理由ですね。ちなみに、寿司に添えられるガリは、一緒に食べることで口の中の魚臭さを消す効果が得られます。
そのほか、ネギ類、セージ、ナツメグ、こしょうなどにも魚のにおいを消す効果があるので、調理によって使い分けてみて下さいね。
7. 牛乳を使う
牛乳には、魚のにおいを隠す効果や、タンパク質によってにおい成分を吸着する効果があります。調理前の生魚を牛乳にサッと浸すと、臭いが気にならなくなりますよ。
この方法は、特にムニエルを作るときにおすすめです。魚を牛乳に浸してから小麦粉をまぶして、フライパンで加熱しましょう。また、牛乳で魚を煮込んでシチューやクリーム煮などを作るのも良いですね。
魚のにおいを抑えて美味しく食べよう!
今回は、魚の臭いを取る方法を紹介させていただきました。何気なく焼き魚に添えられた大根おろしや、寿司に添えられるガリやわさびには魚の臭みを取る効果もあったんですね。今回紹介した方法は、家にあるもので簡単にできるものばかりなので、ぜひ試してみて下さいね。
参考文献
*山崎清子ら『新版 調理と理論』同文書院,2003
*大越ひろら『新健康と調理のサイエンス』学文社,2020