鉄を食事からしっかり摂るコツは?1日の摂取量の目安と鉄分を多く含む食品一覧

鉄は赤血球の構成要素であり、貧血を防ぐために重要な栄養素。鉄を食事からしっかり摂るためには、どの食品にどれくらい含まれるか、そもそも1日にどれくらいの鉄を摂ればよいのかを知ることが大切です。この記事では、鉄の働きや1日の摂取量の目安とともに、鉄が多く含まれる食品、鉄をしっかり摂る食事のポイントを紹介します。

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鉄の摂取が大切な理由

鉄は、赤血球中のヘモグロビンの構成要素です。ヘモグロビンは酸素と結合し、全身の細胞・組織へ酸素を運ぶ役割を果たしています。鉄が不足するとヘモグロビン合成が進まず、「鉄欠乏性貧血」を招く可能性があります。

特に月経のある女性は経血とともに鉄が体外へ排出されるため貧血を招きやすく、意識的に鉄を摂取する必要があります。また、身体の発達が著しい成長期や妊娠・授乳中にも鉄の需要量が増すので、しっかり摂取することが大切です。

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鉄の1日の摂取量の目安は?

鉄は、年齢や性別、月経の有無で需要量が異なります。下の表で、自分の摂取量の目安を確認しましょう。

鉄の推奨摂取量(/日)

年齢男性女性
(月経なし)
女性
(月経あり)
0~5か月0.5mg
(目安量)
0.5mg
(目安量)
ー
6~11か月4.5mg4.5mgー
1~2歳4.0mg4.0mgー
3~5歳5.0mg5.0mgー
6~7歳6.0mg6.0mgー
8~9歳7.5mg8.0mgー
10~11歳9.5mg9.0mg12.5mg
12~14歳9.0mg8.0mg12.5mg
15~17歳9.0mg6.5mg11.0mg
18~29歳7.0mg6.0mg10.0mg
30~49歳7.5mg6.0mg10.5mg
50~64歳7.0mg6.0mg10.5mg
65~74歳7.0mg6.0mgー
75歳~6.5mg5.5mgー
妊婦
 初期
 中期・後期

ー
ー

+2.5mg
+8.5mg

ー
ー
授乳婦ー+2.0mgー
出典:日本人の食事摂取基準(2025年版)※推奨量を記載

身体の発達が著しい10~17歳は、必要な鉄の量が増加します。女性は月経が始まると鉄の需要量が大きく増えるため、意識的に摂取するようにしましょう。

妊娠中・授乳中も普段より多く鉄を摂る必要があるので、自分に必要な量を把握することが大切です。

鉄の摂取量の上限は?
栄養素のなかには、過剰摂取により健康障害が起こるものもあります。鉄も以前は「耐容上限量」が設定されていましたが、2025年からはなくなっています。これは、耐容上限量を設定するためのデータが不十分で設定を見送られたため。無制限に鉄を摂って良いというわけではありません。鉄を長期にわたって過剰摂取すると、鉄が臓器へ沈着して健康障害を起こす可能性があるため、上記で紹介した推奨量を大きく超えるような摂り方は控えましょう。とはいえ、サプリメントや薬剤で多量に摂ったり、鉄鍋料理を多用したりしなければ、通常の食生活で鉄を過剰摂取することはほぼないでしょう。

鉄を多く含む食品一覧

鉄は、主に肉類・魚介類・豆類・海藻類などに多く含まれています。鉄を多く含む食品と、1食あたりの含有量の目安を下の表にまとめました。

食品1食分の目安鉄の含有量
肉類
豚レバー50g6.5mg
鶏レバー50g4.5mg
牛ヒレ肉100g2.8mg
牛モモ肉100g2.4mg
馬肉50g2.2mg
魚介類
あさりの佃煮20g3.8mg
ごまさば100g1.6mg
さんま100g1.4mg
はまぐりの佃煮20g1.4mg
キハダマグロ70g1.4mg
豆類
がんもどき2個
(約90g)
3.2mg
厚揚げ100g2.6mg
レンズ豆(ゆで)50d2.2mg
木綿豆腐100g1.5mg
納豆1パック
(約40g)
1.3mg
絹ごし豆腐100g1.2mg
いんげん豆(ゆで)50g1.0mg
卵類
ピータン
(あひるの卵)
1個
(約60g)
1.8mg
うずらの水煮5個
(約45g)
1.3mg
鶏卵1個
(約60g)
0.9mg
野菜・いも類・果物
赤こんにゃく20g16mg
じゃがいも1個
(約150g)
1.5mg
枝豆100g
(可食部50g)
1.4mg
小松菜40g1.1mg
ほうれん草40g0.8mg
ブロッコリー50g0.7mg
アボカド1/2個
(約50g)
0.3mg
穀物・海藻・種実類
ライ麦パン100g1.4mg
全粒粉パン100g1.3mg
フランスパン100g0.9mg
玄米(ご飯)1杯
(150g)
0.9mg
乾燥ひじき15g0.9mg
かぼちゃの種10g0.7mg
ごま5g0.5mg
出典:日本食品標準成分表 八訂

食べ物に含まれる鉄の量をチェックするときは、現実的な摂取量を考慮することもポイントです。

例えば、「ひじきは鉄分が豊富」だとよく言われます。たしかに、乾燥ひじきは100gあたり6.2mgの鉄を含みますが、実際には乾燥ひじきを100gも食べるのは難しいですよね。水で戻せばボウル1杯分くらいになってしまいます。

このように、「鉄が多い食品を取り入れているから大丈夫」だと思っていても、案外摂取できていない可能性があります。

また、お米やパンなどの主食にも鉄は含まれているので、主食の量を極端に減らすと鉄の摂取量も減ってしまう点にも注意しましょう。玄米やライ麦パンのように、鉄を多く含むものを積極的に選ぶこともポイントです。

鉄の豊富な食材「赤こんにゃく」とは?

上記の表でも、ダントツで鉄の含有量が多かった「赤こんにゃく」。香辛料を除くと、100gあたりの鉄含有量が最も多い食材です。

赤こんにゃくは滋賀県の特産品で、名前の通り真っ赤な見た目が特徴。

この赤色に仕上げるために、「三二酸化鉄」という鉄の化合物を使用しています。赤こんにゃくの鉄の含有量は、同じ量の豚レバーの約6倍。臭みが少なく、特有の歯応えのある食感を楽しめます。

赤こんにゃくについては以下の記事でレシピや使い方も紹介しているので参考にしてみてくださいね。

ヘム鉄と非ヘム鉄の違いは?吸収率が良いのはどっち?

鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は肉類や魚介類などの動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜や海藻類などの植物性食品に多く含まれます。非ヘム鉄に比べて、ヘム鉄は吸収率が高いことが特徴です。

ただし、鉄の吸収率は、体内に存在する鉄の量にも影響されます。鉄の摂取量が少なく、体内の鉄の栄養状態が悪くなると、特に非ヘム鉄の吸収率が上昇します(*1)。

以前はヘム鉄摂取の重要性が強調されがちでしたが、近年は非ヘム鉄の摂取も効果的だと考えられています。

鉄を効率よく摂取する食事のポイント

非ヘム鉄は、一緒に食べた食品にも吸収率が影響されます。非ヘム鉄の吸収率を高める食品を合わせると、鉄を効率よく摂取できますよ。

鉄の吸収率を高める食品を組み合わせる

非ヘム鉄は、以下の栄養素・成分と一緒に摂ることで吸収率が上がります(*2)。

・ビタミンC
・クエン酸
・動物性タンパク質

これらの成分を含む食品と、鉄を多く含む食品を一緒に摂ると、効率よく鉄を吸収できるでしょう。

ビタミンCは、ブロッコリーやピーマンなどの緑黄色野菜や果物に多く含まれます。果物にはクエン酸も多く含まれるので、鉄の吸収率のサポートに役立ちます。植物性食品がメインの食事の際は、レモン汁をサッと加えたり、ゆずの皮をトッピングしたりするだけでも、鉄の吸収率を高める効果が期待できますよ。

鉄の吸収を阻害する食品は時間をあけてとる

以下のように、鉄の吸収を阻害する作用をもつ成分もあります。

・タンニン
・フィチン酸
・食物繊維

タンニンは、コーヒー・紅茶・緑茶などに含まれます。食事の前後1時間程度は、これらの飲み物を控えるか、薄めに煎れるようにしましょう。

フィチン酸は穀物に含まれる成分ですが、通常の食生活での摂取量なら影響は少ないとされています。しかし、過剰摂取により鉄の吸収が妨げられることもあるので、特定の食品ばかり食べるような偏った食生活は避けましょう。

また、亜鉛を長期にわたって過剰摂取した場合も鉄の吸収阻害を起こす可能性があります。サプリメントなどから大量の亜鉛を摂取することは避けましょう。

鉄製の調理器具を使うのもおすすめ

鉄製の鍋やフライパンを使うと、溶出した鉄が食品に移行することが知られています。調理器具の状態や調味料などにも左右されますが、アルミやテフロンの調理器具を使用した場合に比べて、鉄の含有量が1.5~2倍程度に増えるといわれています(*3)。

例えば、乾燥ひじきをステンレス釜でゆでた場合と鉄釜でゆでた場合では、100gあたりに含まれる鉄の量に以下のような違いがあります。

ステンレス釜鉄釜
0.3mg2.7mg
出典:日本食品標準成分表 八訂

乾燥ひじきの場合、鉄釜で調理したものは、ステンレス釜を使った場合より9倍も多くの鉄を含みます。手軽に鉄の摂取量を増やすためには、鉄製の調理器具を使うことも検討しましょう。

コンビニで手軽に鉄を補給できる食べ物・飲み物はある?

コンビニで簡単に食事を済ませるときでも、食品の選び方を工夫すれば鉄をしっかり摂取できます。まず、主食・主菜・副菜を揃えることを意識したうえで、鉄を多く含む食品を選びましょう。コンビニでも購入できる食品のうち、鉄を多く含むものを紹介します。

1. レバー

レバーには、吸収率の高いヘム鉄が豊富に含まれます。豚レバーなら50gで6.5mg、鶏レバーなら4.5mgの鉄が摂取できます(*4)。コンビニのお惣菜コーナーでレバニラやレバー煮、燻製レバーなどがよく販売されているので、探してみてくださいね。

2. あさりの佃煮

コンビニによっては置いていないこともありますが、あさりの佃煮は鉄を豊富に含むのでおすすめ。10個程度食べると、約2mgの鉄を摂取できます(*4)。佃煮がない場合は、あさりを使ったおにぎりやパスタもおすすめです。

3. さばの塩焼き・味噌煮

さばの種類にもよりますが、1切れ(約100g)に1.2~1.6mg程度の鉄が含まれています(*4)。さばには、造血に欠かせないビタミンB12も豊富に含まれるのが嬉しいポイントです。コンビニのお惣菜コーナーで見つけられないときは、さば缶もおすすめ。さば缶は、100gで約2.0mgの鉄を摂取できます(*4)。

4. 枝豆

枝豆は、可食部100gあたりに約2.5mgの鉄が含まれます(*4)。タンパク質やビタミンC、造血に関わる葉酸も摂取できるのが嬉しいポイント。枝豆はおつまみのイメージがありますが、食事に付け合わせると栄養バランスを整えることができるのでおすすめです。

5. 豆乳

一般的な豆乳200mLあたりに、鉄は約1mg含まれます(*5)。食事に合わせたり、おやつとして飲んだりすると、手軽に鉄が補給できるでしょう。

サプリメントや栄養補助食品を使うのもひとつの手

鉄の需要量が多くなる成長期や妊娠・授乳期は、必要な鉄を食事からまかなうのは難しい場合があります。食事から十分な鉄を摂取できない場合は、鉄が強化された食品やサプリメントなどで補うことも検討しましょう。

鉄が強化された食品は種類も豊富なので、おやつ代わりに食べることもできます。

サプリメントなどを使う場合は、パッケージに表示された摂取方法を必ず守り、あくまでも食事の補助として活用しましょう。また、妊娠・授乳中にサプリメントや栄養補助食品を使う場合は、医師に確認してください。

【まとめ】鉄を食事から摂るポイントとは

鉄を食事からしっかり摂取するためのポイントを以下にまとめました。

  • 鉄を多く含む食品を積極的に取り入れる
  • 鉄の吸収を促進する食品を合わせる
  • 食事の前後は鉄の吸収を妨げる食品を控える
  • 鉄製の調理器具を使う

特に非ヘム鉄は一緒に摂る食品に吸収率が影響されます。主食・主菜・副菜を揃え、さまざまな食品を取り入れると、非ヘム鉄の吸収率を高める作用のあるタンパク質やビタミンCなどを自然に摂取できるでしょう。

自分で調理する際は、鉄製の調理器具を使うのもおすすめです。食事だけで補うのが難しい場合は、サプリメントや栄養補助食品などの利用も検討しましょう。

葉酸・ビタミンB12欠乏で起こる「巨赤芽球性貧血」やビタミンE欠乏で起こる「溶結性貧血」については以下の記事も参考にしてみてくださいね。

Yukari Nagata

フードスペシャリスト / 食生活アドバイザー
体調を崩したことをきっかけに「食」の大切さに気づき、30代で大学へ入学し臨床栄養学・食品学・調理学など食や健康に関することを幅広く学ぶ。現在は、科学的根拠に基づいた正しい情報を分かりやすく届けることをモットーとして、食に関する記事を中心に執筆。おいしく健康管理に取り組めるレシピ・献立も提案している。

Instagramではお弁当や料理の画像を投稿しています♪

Writer’s comment
鉄は意識的に摂取しないと不足しやすい栄養素です。特に思春期や妊娠中は鉄欠乏性貧血が頻発します。また、日常的に激しい運動を行う場合も、細胞・組織の酸素需要量が増え、鉄欠乏性貧血を招きやすくなります。食事を見直すことも大切ですが、摂りきれない場合はサプリメントなどもうまく取り入れてみてくださいね。

参考文献
*1 日本人の食事摂取基準(2025年版)
*2 佐々木雅也,田中雅彰,小松龍史編『エッセンシャル臨床栄養学 第10版』医歯薬出版, 2024
*3 細見亮太ら「使用年数の異なる鉄鍋を用いた調理中の鉄溶出量と鉄鍋表面の金属元素の化学状態」2013
*4 日本食品標準成分表 八訂 増補2023
*5 キッコーマン豆乳 公式サイト

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