ビタミンCといえば「美白」や「ハリ」など、肌に良い効果があるイメージですよね。しかし、ビタミンCは美肌だけでなく、健康のためにも欠かせない栄養素。この記事では、ビタミンCの効果・効能について詳しく解説します。
ビタミンCはどんな栄養素?
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、「アスコルビン酸」とも呼ばれます。
ビタミンには脂溶性と水溶性のものがありますが、ビタミンCのような水溶性ビタミンは過剰摂取しても体内に蓄積されず、過剰な分は尿中に排出されます。体内に貯蔵することができないため、ビタミンCは必要量を毎日摂取することが大切です。
ビタミンCは、主に緑黄色野菜や果物などに多く含まれています。また、ビタミンCは強い抗酸化作用を持つことから、酸化防止剤として食品や化粧品の添加物としても使用されます。
ビタミンCの体内での働き
食品から摂取したビタミンCは、体内でどのような働きをするのでしょうか。まずは、ビタミンCの主な働きを紹介します。
1.コラーゲンの合成に関わる
ビタミンCは、体内でのコラーゲン合成に関わります。コラーゲンは骨や皮膚などの構成成分であり、肌のハリや弾力に関わるタンパク質。ビタミンCがないとコラーゲンが作れないため、美肌のためにビタミンCが必要だといわれているのです。
コラーゲンは全身のタンパク質の約30%を占め、皮膚や骨だけでなく、血管や内臓など全身のさまざまな組織に存在します。美肌だけでなく、体の機能を保つためにも欠かせません。
2.抗酸化作用を発揮する
体内では常に活性酸素やフリーラジカルが発生しており、これらが増えすぎると細胞や体内成分を酸化変性させ、さまざまな疾病を誘発します。
ビタミンCには強い抗酸化作用があり、有害な活性酸素やフリーラジカルを消去します。
ビタミンCは、単独でも抗酸化作用を示しますが、ビタミンEと共同して細胞膜の酸化変性を防ぐ働きもあります。「ビタミンCとEは一緒に摂ったほうが良い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
細胞膜は脂質で構成されていますが、この脂質は酸化されやすいのが特徴です。そこで、まず活躍するのがビタミンE。ビタミンEは活性酸素やフリーラジカルを消去し、自身は「ビタミンEラジカル」になります。「ビタミンEラジカル」になると、もとのビタミンEにあった抗酸化作用は失われます。
そこで登場するのがビタミンC。ビタミンCは「ビタミンEラジカル」と反応し、ビタミンEへ戻します。そうすると、ビタミンEの抗酸化作用が復活。再び、細胞膜の酸化変性を防ぐことができるのです。
ちなみに、ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、細胞膜の脂質のなかで働くことができます。一方、水溶性ビタミンであるビタミンCは、水分の多い細胞外で働きます。
「ビタミンEラジカル」と反応したあと、ビタミンCは「酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)」になりますが、「グルタチオン」という成分と反応すると、もとのビタミンCに戻り、抗酸化作用が復活します。このようなサイクルにより、細胞膜の酸化変性は防がれているのです。
3.鉄の吸収率を高める
ビタミンCには、一緒に摂取した鉄の吸収率を高める作用もあります。
野菜や海藻などに含まれる「非ヘム鉄」は吸収率が2〜3%と非常に低いのが特徴ですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。鉄の摂取不足で起こる「鉄欠乏性貧血」の予防には、鉄とビタミンCを一緒に摂ることが効果的です。
ビタミンCの効果・効能
ビタミンCはコラーゲン産生・抗酸化・鉄の吸収などに関わる栄養素。必要量を毎日摂ることで、主に以下の効果が期待できます。
・がんの予防
・動脈硬化の予防
・心疾患や脳卒中の予防
・肌や血管の健康維持
・骨粗鬆症予防
・貧血予防
ほとんどの病気の発症には、活性酸素が関わっているといわれています。日本人の死因の第1位である「がん」は、酸化によるDNAの損傷が原因の1つです。
また、LDL(悪玉コレステロール)はもともと毒性はありませんが、増えすぎて酸化変性すると動脈硬化を引き起こし、さらに心疾患や脳卒中などのリスクも高まります。
前述のとおり、ビタミンCは強い抗酸化作用をもつ栄養素。血中に一定量以上のビタミンCが存在すると、これらの酸化変性を防ぎ、がん・動脈硬化・心疾患・脳卒中などの生活習慣病の予防に効果的に働きます。
また、ビタミンCはコラーゲン産生に関わり、皮膚や血管などを健康に保ちます。コラーゲンは骨の構成成分でもあるため、ビタミンCとともに十分なカルシウムを摂取することで骨粗鬆症の予防にもつながりますよ。
女性は鉄欠乏性貧血を起こしやすいので、鉄とビタミンCを一緒に摂るのがおすすめ。「しっかり鉄を摂っているのに貧血がなおらない」と悩んでいる方は、鉄の吸収率を高めるビタミンCをあわせて摂ってみましょう。
ビタミンCの1日の摂取量
成人は、男女ともに1日あたり100mgのビタミンCを摂取することが推奨されています。
ビタミンCの抗酸化作用は、1日あたり83.4mgの摂取で有効になります(*1)。この量を摂取していれば、心血管系の疾患の予防効果も期待できます。
妊娠中は+10mg、授乳中は+45mgを目安に摂取してくださいね。また、喫煙者はビタミンCを多く摂取する必要があります。受動喫煙が多い人も、多めにビタミンCを摂取しましょう。
ビタミンCの欠乏症と過剰症
ビタミンCの欠乏症
ビタミンCは人間の体内では合成することができません。また、体内に溜めておくことができないため、長期間にわたって摂取量が不足すると、欠乏症が起こることがあります。
ビタミンCの欠乏症として、「壊血病」があります。壊血病は、ビタミンC欠乏によってコラーゲン産生ができなくなり、血管が脆くなることで出血しやすくなる病気です。
壊血病は、ビタミンCを1日あたり10mg程度摂取していれば発症することはありません。推奨量である100mgを摂取していれば、壊血病も予防できますね。
ビタミンCの過剰症
ビタミンCのような水溶性ビタミンは体内に蓄積されず、必要な量を超えて摂取した分は排出されます。そのため、ビタミンCの過剰症は認められていません。
しかし、サプリメントなどで大量のビタミンCを摂取することは推奨できません。特に、慢性腎臓病の方は、ビタミンCの過剰摂取により尿路結石や高シュウ酸血症をきたす可能性があります。
1日1,000mg以上のビタミンC摂取は意味がないともいわれているので、サプリメントなどで過剰に補給するのは避けましょう。
ビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCは、緑黄色野菜や果物に多く含まれます。ビタミンCの含有量が多い主な食べ物はこちら。
・アセロラ(800~1700mg/100g)
・グァバ(220mg/100g)
・赤ピーマン(200mg/100g)
・ブロッコリー(140mg/100g)
・キウイフルーツ(71~140mg/100g)
・レモン(100mg/100g)
・ゴーヤ(76mg/100g)
・甘柿(70mg/100g)
・いちご(62mg/100g)
・オレンジ(40~60mg/100g)
・グレープフルーツ(36mg/100g)
・みかん(32~35mg/100g)
*()内はビタミンC含有量です
ビタミンCは、ピーマンやブロッコリーなどの身近な野菜にも豊富に含まれています。ビタミンCは、長時間水にさらしたり茹でたりすると損失するため、短時間で加熱するのがおすすめ。そのまま食べられる果物も良いですね。
野菜や果物を新鮮なうちに食べることや、空気や光を避けて保存することも大切です。
ビタミンCは健康と美容に欠かせない栄養素
ビタミンCはコラーゲン産生や抗酸化に関わることから、美肌に良いといわれています。しかし、ビタミンCは美容だけでなく、健康のためにも欠かせない栄養素。特に、抗酸化作用による生活習慣病の予防効果は注目されています。
ビタミンCは毎日摂取することが大切ですが、サプリメントで過剰に補給するのは推奨できません。ビタミンCを多く含む野菜や果物を積極的に食べ、健康や美肌を維持しましょう。
Written by Yukari
ビタミンCといえばレモンをイメージする方も多いのでは。よく「レモン○個分」という表示を見ますよね。じつはあの表示には基準があり、皮や種などを除いた果汁に含まれるビタミンCの量を示しています。レモン1個分の果汁に含まれるビタミンCは20mg。つまり、レモン1個分のビタミンC=20mgです。覚えておくと簡単に計算できて便利ですね。
参考文献
*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」