飽和脂肪酸の過剰摂取は健康リスクを招く可能性もあることから、摂取量を目標の範囲内に抑えることが推奨されています。しかし、食事改善を意識してみても、飽和脂肪酸の摂取量を減らすのはなかなか難しいですよね。まずは、飽和脂肪酸がどのような食品に多く含まれるのか、そして1日の摂取量の目安がどれくらいか知ることが大切です。
この記事では、飽和脂肪酸の摂取量の目安とともに、飽和脂肪酸を多く含む食品を一覧で紹介します。あわせて、飽和脂肪酸の過剰摂取による健康への影響、飽和脂肪酸の摂取量を減らすコツなども紹介するので、ぜひチェックしてくださいね。
飽和脂肪酸の摂りすぎはなぜ悪い?過剰摂取の影響とは

脂質にはさまざまな分類があり、飽和脂肪酸もその一種です。飽和脂肪酸を摂りすぎると、血中LDL(悪玉)コレステロールの上昇を招きやすくなり、脂質異常症や動脈硬化のリスクを上げる可能性があります。
動脈硬化は、血管内腔が狭くなったり、血管の柔軟性が失われたりする状態です。この状態が続くと高血圧や血栓の形成を招くこともあり、さらには虚血性心疾患や脳卒中などのリスクを高める可能性もあります。
「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」など脂肪酸の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてくださいね。
1日何グラムまで?飽和脂肪酸の摂取量の目安

エネルギー・各栄養素の望ましい摂取量を示した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男女の飽和脂肪酸の摂取量は1日の総摂取エネルギーの7%未満にすることが目標とされています。
以下の表は、18~64歳の1日あたりの推定エネルギー必要量と、飽和脂肪酸の摂取量の目安です。性別や普段の活動量から、自分に必要なエネルギーと飽和脂肪酸の摂取量の目安を確認してみてくださいね。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
| 活動量 | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 推定エネルギー 必要量 |
2,200~ 2,300kcal |
2,600~ 2,700kcal |
2,950~ 3,050kcal |
1,650~ 1,750kcal |
1,950~ 2,050kcal |
2,250~ 2,350kcal |
|
飽和脂肪酸 |
154~ 161kcal未満 |
182~ 189kcal未満 |
206.5~ 213.5kcal未満 |
115.5~ 122.5kcal未満 |
136.5~ 143.5kcal未満 |
157.5~ 164.5kcal未満 |
| 17.1~ 17.9g未満 |
20.2~ 21g未満 |
22.9~ 23.7g未満 |
12.8~ 13.6g未満 |
15.2~ 15.9g未満 |
17.5~ 18.3g未満 |
|
※1参考 飽和脂肪酸の摂取量は脂質1g=9kcalとして算出
身体活動レベルⅠ(低い):1日の大半を座って過ごす
身体活動レベルⅡ(普通):座って過ごすことが多いが通勤や買い物で歩く・軽い運動をする
身体活動レベルⅢ(高い):立ち仕事や移動の多い仕事・活発に運動する
例えば、デスクワーク中心・中肉中背の男性の場合、1日の摂取エネルギーの目安は2,600~2,700kcal程度です。このエネルギーを摂取する場合、飽和脂肪酸の摂取量を約20gにすると、摂取エネルギーの7%未満に抑えることができます。
一方、女性で身体活動量が低い場合は、1日の摂取エネルギーの目安は1,650~1,750kcal程度で、飽和脂肪酸の摂取量は約12.8〜13.6g未満を目安に抑える必要があります。
このように、自身の摂取エネルギーに当てはめて飽和脂肪酸の摂取量を調節しましょう。摂取エネルギーが低い場合は、それに伴って飽和脂肪酸の摂取量も低くなります。
飽和脂肪酸を多く含む食品一覧

飽和脂肪酸を多く含む主な食品を以下に挙げました。
・肉類(特に脂身の多い部分)
・ヘット(牛脂)
・ラード(豚脂)
・チーズ
・バター
・牛乳
・ココナッツオイル
・パーム油
飽和脂肪酸は、主に肉や乳製品などの動物性食品に多く含まれています。また、植物油脂のなかでもココナッツオイルやパーム油のように常温で個体のものには飽和脂肪酸が多く含まれます。
食品の飽和脂肪酸含有量
続いて、それぞれの食品に飽和脂肪酸がどれくらい含まれているのかを紹介します。総脂質量・カロリーもあわせて紹介するので参考にしてくださいね。
1.牛肉・ヘット
| 部位 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| バラ | 13.05g | 32.9g | 338kcal |
| サーロイン | 10.85g | 23.7g | 273kcal |
| かたロース | 7.54g | 17.4g | 221kcal |
| リブロース | 7.15g | 15.4g | 212kcal |
| ランプ | 6.47g | 16.4g | 214kcal |
| かた | 4.35g | 10.6g | 160kcal |
| もも | 3.22g | 8.6g | 148kcal |
| ヒレ(赤肉) | 1.99g | 4.8g | 123kcal |
| ヘット(10g) | 4.1g | 10g | 86.9kcal |
牛肉は、特にバラやサーロインに飽和脂肪酸が多く含まれています。これらの部位は総脂質量も多く、カロリーも高いので食べ過ぎに注意しましょう。
脂質やカロリーの摂取量を抑えるためには、ももやヒレなどの部位を選ぶことがポイントです。ヒレは表面を高温短時間で焼いてステーキに、ももは長時間じっくり加熱する煮込み料理などに使うと美味しく食べられます。
2.豚肉・ラード
| 部位 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| バラ | 14.6g | 35.4g | 366kcal |
| ロース | 7.84g | 19.2g | 248kcal |
| かたロース | 7.26g | 19.2g | 237kcal |
| かた | 5.25g | 14.6g | 201kcal |
| もも | 3.59g | 10.2g | 171kcal |
| ヒレ(赤肉) | 1.29g | 3.7g | 118kcal |
| ラード(10g) | 3.9g | 10g | 88.5kcal |
牛肉と同じように、豚肉もバラが最も飽和脂肪酸の多い部位です。ロースやかたロースも、脂質量が多いので、食べ過ぎに注意しましょう。
3.鶏肉
| 部位 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| もも肉 | 4.37g | 14.2g | 190kcal |
| もも肉(皮なし) | 1.38g | 5.0g | 113kcal |
| むね肉 | 1.53g | 5.9g | 133kcal |
| むね肉(皮なし) | 0.45g | 1.9g | 105kcal |
| ささみ | 0.17g | 0.8g | 98kcal |
| 手羽先 | 4.4g | 16.2g | 207kcal |
| 手羽元 | 3.64g | 12.8g | 175kcal |
鶏肉は、牛肉や豚肉に比べてカロリーや脂質の少ないのが特徴。飽和脂肪酸の量も少ないので、無理せず健康管理ができます。特に、むね肉やささみは脂質・飽和脂肪酸が少ないのでおすすめです。
4.乳製品
| 食品 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| 普通牛乳 | 2.33g | 3.8g | 61kcal |
| 低脂肪牛乳 | 0.67g | 1.0g | 42kcal |
| ヨーグルト | 1.83g | 3.0g | 56kcal |
| 低脂肪ヨーグルト | 0.58g | 1.0g | 40kcal |
| クリームチーズ | 20.26g | 33.0g | 313kcal |
| チェダーチーズ | 20.52g | 33.8g | 390kcal |
| カマンベールチーズ | 14.87g | 24.7g | 291kcal |
| アイスクリーム | 7.12g | 12.0g | 205kcal |
| ラクトアイス | 9.11g | 13.6g | 217kcal |
乳製品に含まれる脂質の大部分は飽和脂肪酸です。乳製品はカルシウムの摂取源として重要ですが、摂りすぎには注意しましょう。1日あたり牛乳コップ1杯(約200ml)、またはスライスチーズ2枚程度が目安です。
5.バター・マーガリン・ショートニング
| 種類 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| バター | 2.5g | 4.1g | 35kcal |
| マーガリン | 1.2g | 4.2g | 35.8kcal |
| ショートニング | 2.3g | 5.0g | 44.5kcal |
牛乳から水分を除いて作られるバターは、飽和脂肪酸を多く含んでいます。マーガリンやショートニングは植物油脂を原料に作られるので不飽和脂肪酸が多いイメージですが、飽和脂肪酸も多く含むので摂り過ぎに注意しましょう。
また、マーガリンやショートニングには、飽和脂肪酸と同じく摂取量に注意が必要な「トランス脂肪酸」も含まれます。ただし、なかにはトランス脂肪酸を低減した商品もあるので、表示をチェックしてみてくださいね。トランス脂肪酸については以下の記事で詳しく解説しています。
6.ココナッツオイル・パーム油
| 種類 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| ココナッツオイル (やし油) | 2.35g | 5.0g | 44kcal |
| パーム油 | 4.2g | 5.0g | 44kcal |
ココナッツオイルやパーム油は植物油ですが、飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含むことで注目されていますが、過剰摂取には注意しましょう。
7.クリーム類
| 種類 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| ホイップクリーム(乳脂肪) | 24.98g | 40.7g | 409kcal |
| ホイップクリーム(植物性脂肪) | 8.30g | 36.1g | 399kcal |
| ホイップクリーム(混合) | 16.63g | 38.4g | 394kcal |
| コーヒークリーム(乳脂肪) | 11.57g | 18.3g | 205kcal |
| コーヒークリーム(植物性脂肪) | 5.70g | 24.8g | 244kcal |
ホイップクリームやコーヒークリームも、飽和脂肪酸を多く含む食品です。料理やコーヒーに日常的にたくさん使うと飽和脂肪酸やエネルギーの過剰摂取につながりやすいため、使用量には注意しましょう。
8.お菓子・ケーキ類
| 食品 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| ホワイトチョコレート | 22.87g | 39.5g | 588kcal |
| ミルクチョコレート | 19.88g | 34.1g | 550kcal |
| バターケーキ | 14.73g | 25.3g | 422kcal |
| レアチーズケーキ | 16.59g | 27.5g | 349kcal |
| ベイクドチーズケーキ | 12.11g | 21.2g | 299kcal |
| ソフトビスケット | 12.42g | 27.6g | 512kcal |
| ポテトチップス | 12.96g | 32.0g | 515kcal |
バターやマーガリンなどの油脂類を多く使うお菓子やケーキも、飽和脂肪酸を多く含む食品です。なかでも、チョコレート・バターケーキ・チーズケーキ・ビスケット・ポテトチップスなどは、飽和脂肪酸を多く含んでいます。
一方、和菓子やおせんべいは、飽和脂肪酸の含有量が少ないことが特徴です。血中コレステロールや中性脂質の量が気になる方は、間食に和菓子やおせんべいを選ぶとよいでしょう。
飽和脂肪酸が多い肉の種類ランキング

飽和脂肪酸は、部位だけでなく、その肉の産地によっても含まれる量が異なります。下の表は、和牛と輸入牛の飽和脂肪酸含量を比較し、多い順に並べたものです。
| 肉の種類 | 飽和脂肪酸量 |
| 和牛リブロース(脂身つき) | 19.81g |
| 和牛リブロース(皮下脂肪なし) | 19.18g |
| 和牛サーロイン(脂身つき) | 16.29g |
| 和牛バラ(脂身つき) | 15.54g |
| 和牛リブロース(赤肉) | 14.75g |
| 和牛サーロイン(皮下脂肪なし) | 14.64g |
| 輸入牛バラ肉(脂身つき) | 13.05g |
| 和牛かたロース(脂身つき) | 12.19g |
| 輸入牛サーロイン(脂身つき) | 10.85g |
| 輸入牛リブロース(脂身つき) | 7.15g |
| 輸入牛リブロース(皮下脂肪なし) | 6.38g |
同じ「脂身つきリブロース」でみると、輸入牛が7.15gなのに対し、和牛は19.81gもの飽和脂肪酸を含みます。
和牛は、口当たりの良さを求めて、脂身が多くなるように工夫されています。特に、リブロースやサーロインは飽和脂肪酸を多く含む部位。美味しくてつい箸が進んでしまいますが、食べ過ぎに注意しましょう。
飽和脂肪酸の摂取量を減らすには?食事・食品選びのコツ
食事に気をつけていても、飽和脂肪酸の摂取量がついオーバーしてしまう…。そんな方は、食品の選び方を工夫してみましょう。ここでは、飽和脂肪酸の摂取量を減らすコツを紹介します。
肉の選び方を工夫する

飽和脂肪酸の摂取量は、肉の部位によって大きく変わります。まずは、肉の部位の選び方を工夫してみましょう。
| 部位 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| 豚バラ | 14.6g | 35.4g | 366kcal |
| 牛バラ | 13.05g | 32.9g | 338kcal |
| 牛サーロイン | 10.85g | 23.7g | 273kcal |
| 豚かた | 5.25g | 14.6g | 201kcal |
| 牛かた | 4.35g | 10.6g | 160kcal |
| 豚もも | 3.59g | 10.2g | 171kcal |
| 牛もも | 3.22g | 8.6g | 148kcal |
| 牛ヒレ(赤肉) | 1.99g | 4.8g | 123kcal |
| 豚ヒレ(赤肉) | 1.29g | 3.7g | 118kcal |
| 鶏もも肉 | 4.37g | 14.2g | 190kcal |
| 鶏もも肉(皮なし) | 1.38g | 5.0g | 113kcal |
| 鶏むね肉 | 1.53g | 5.9g | 133kcal |
| むね肉(皮なし) | 0.45g | 1.9g | 105kcal |
| 鶏ささみ | 0.17g | 0.8g | 98kcal |
飽和脂肪酸の摂取量を抑えるためには、脂身の少ないももやヒレなどの部位を選ぶのがポイントです。
また、鶏肉は豚肉や牛肉に比べて脂質が少ないことが特徴。特に、鶏むね肉やささみは飽和脂肪酸の含有量が少ないのでおすすめです。鶏肉は、皮を除いて食べるだけでも脂質量が大きくダウンします。
茹で・蒸し料理を取り入れる

飽和脂肪酸の摂取量を抑えるためには、調理法を工夫することもポイントです。油で揚げたり炒めたりするより、「茹でる」「蒸す」「網で焼く(グリル)」といった調理法を選ぶと、余分な脂が落ちやすく、脂質の摂取量を自然に減らすことができます。
例えば、豚ロース肉は調理法によって以下のようにカロリーや脂質量が変わります。
| 調理法 | エネルギー | 脂質量 |
| とんかつ | 429kcal | 35.9g |
| 焼き調理 | 310kcal | 24.1g |
| 茹で調理 | 299kcal | 22.7g |
肉を下茹でしたり、焼いた際に出る脂を拭き取ったりするだけでも、脂質の摂取量やカロリーを減らすことができます。肉を食べるのを我慢するのではなく、摂取量や食べ方を工夫して上手に付き合っていきましょう。
飽和脂肪酸が少ない食品を取り入れる

飽和脂肪酸が少ない食品を積極的に取り入れ、肉や乳製品などの摂取量を減らすこともポイントです。
飽和脂肪酸が少ない食品として、ご飯・野菜・果物・海藻類などが挙げられます。そのほか、脂質を多く含む食品でも、以下のように飽和脂肪酸が少ないものがあります。
| 食品 | 飽和脂肪酸量 | 総脂質量 | エネルギー |
| あまに油 (5g) | 0.40g | 5.0g | 45kcal |
| えごま油 (5g) | 0.38g | 5.0g | 45kcal |
| オリーブオイル (5g) | 0.66g | 5.0g | 45kcal |
| ピーナッツ (10g) | 0.90g | 5.0g | 61kcal |
| アーモンド (10g) | 0.41g | 5.4g | 61kcal |
| 絹ごし豆腐 (100g) | 0.57g | 3.5g | 56kcal |
| 木綿豆腐 (100g) | 0.79g | 4.9g | 73kcal |
| 豆乳 (100g) | 0.32g | 2.0g | 44kcal |
あまに油やえごま油は、「n-3系の脂肪酸(不飽和脂肪酸)」を多く含むことが特徴です。また、オリーブオイルには、不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が多く含まれており、悪玉(LDL)コレステロールを低下させる働きがあるといわれています。ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類も脂質は多いものの、含まれるのは主に不飽和脂肪酸です。
タンパク源としては、大豆製品がおすすめ。大豆には、不飽和脂肪酸のリノール酸が多く含まれています。牛乳の代わりに豆乳を使ったり、肉の代わりに大豆ミートを取り入れたりすると、飽和脂肪酸の摂取量を抑えられるでしょう。
飽和脂肪酸の摂りすぎに注意しよう
飽和脂肪酸の過剰摂取は、脂質異常症や動脈硬化につながる可能性があります。日頃から食品選びや調理法を工夫することで、飽和脂肪酸の摂取量をコントロールしましょう。
同じ肉類でも、種類や部位によって飽和脂肪酸の含有量は異なります。肉の量を減らすことばかりにとらわれず、食べ方を工夫して上手に付き合ってみてくださいね。
参考文献
*1 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」




