摂取量に注意しよう!飽和脂肪酸を多く含む食べ物一覧

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飽和脂肪酸の過剰摂取が続くと、動脈硬化などの生活習慣病を招くと言われています。健康のために飽和脂肪酸の摂取量を控えようと思っても、どの食品にどれくらい含まれるか分からないと気を付けようがないですよね。そこで今回は、飽和脂肪酸を多く含む食品を含有量とともに紹介します。1日あたりの摂取量の目安も併せて紹介するので参考にしてみてくださいね。

1日何グラムまで?飽和脂肪酸の摂取量の目安

まずは、飽和脂肪酸の摂取量の目安から紹介します。厚生労働省による最新の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人男女の飽和脂肪酸の摂取量は1日の総摂取エネルギーの7%未満にすることが推奨されています。

18~64歳の1日あたりの推定エネルギー必要量と、飽和脂肪酸の摂取量の目安は、下の表を参考にしてみてください。

性別 男性 女性
活動量 低い 普通 高い 低い 普通 高い
推定エネルギー
必要量
2,200~
2,300kcal
2,600~
2,700kcal
2,950~
3,050kcal
1,650~
1,750kcal
1,950~
2,050kcal
2,250~
2,350kcal

飽和脂肪酸
摂取量の目安

154~
161kcal未満
182~
189kcal未満
206.5~
213.5kcal未満
115.5~
122.5kcal未満
136.5~
143.5kcal未満
157.5~
164.5kcal未満
17.1~
17.9g未満
20.2~
21g未満
22.9~
23.7g未満
12.8~
13.6g未満
15.2~
15.9g未満
17.5~
18.3g未満

※1参考 飽和脂肪酸の摂取量は脂質1g=9kcalとして算出

例えば、30~60代でデスクワーク中心の中肉中背の男性の場合、1日の摂取エネルギーの目安は2,600~2,700kcal程度です。飽和脂肪酸の摂取量を約20gにすると、摂取エネルギーの7%未満に抑えることができます。

中程度の活動量の場合、男性なら1食あたり6~7g、女性は5~6g程度が飽和脂肪酸の摂取量の目安です。

身体活動レベルⅠ(低い):1日の大半を座って過ごす
身体活動レベルⅡ(普通):座って過ごすことが多いが通勤や買い物で歩く・軽い運動をする
身体活動レベルⅢ(高い):立ち仕事や移動の多い仕事・活発に運動する

飽和脂肪酸を多く含む食品一覧

飽和脂肪酸を多く含む食品は、こちらを参考にしてください。

・肉類(特に脂身の多い部分)
・ヘット(牛脂)
・ラード(豚脂)
・チーズ
・バター
・牛乳
・ココナッツオイル
・パーム油

飽和脂肪酸は、主に動物性食品に多く含まれています。また、植物油の中でもココナッツオイルのように固形のものは、飽和脂肪酸が多い特徴を持ちます。

飽和脂肪酸と一言でいっても、さまざまな種類があり、すべてが体に悪いわけではありません。次は、それぞれに含まれる飽和脂肪酸の種類や量をみていきましょう。

1.牛肉・ヘット

部位飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
バラ13.05g32.9g338kcal
サーロイン10.85g23.7g273kcal
かたロース7.54g17.4g221kcal
リブロース7.15g15.4g212kcal
ランプ6.47g16.4g214kcal
かた4.35g10.6g160kcal
もも3.22g8.6g148kcal
ヒレ(赤肉)1.99g4.8g123kcal
ヘット(10g)4.1g10g86.9kcal
ヘット以外は可食部100gあたり(輸入牛肉,脂身つき,生)*1

牛肉は、特にバラやサーロインに飽和脂肪酸が多く含まれています。これらの部位は総脂質量も多く、カロリーも高いので食べ過ぎに注意しましょう。

脂質やカロリーの摂取量を抑えるためには、ももやヒレなどの部位を選ぶことがポイントです。ヒレは表面を高温短時間で焼いてステーキに、ももは長時間じっくり加熱する煮込み料理などに使うと美味しく食べられます。

2.豚肉・ラード

部位飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
バラ14.6g35.4g366kcal
ロース7.84g19.2g248kcal
かたロース7.26g19.2g237kcal
かた5.25g14.6g201kcal
もも3.59g10.2g171kcal
ヒレ(赤肉)1.29g3.7g118kcal
ラード(10g)3.9g10g88.5kcal
ラード以外は可食部100gあたり(大型種,脂身つき,生)*1

牛肉と同じように、豚肉もバラが最も飽和脂肪酸の多い部位です。ロースやかたロースも、脂質量が多いので、食べ過ぎに注意しましょう。

3.鶏肉

部位飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
もも肉4.37g14.2g190kcal
もも肉(皮なし)1.38g5.0g113kcal
むね肉1.53g5.9g133kcal
むね肉(皮なし)0.45g1.9g105kcal
ささみ0.17g0.8g98kcal
手羽先4.4g16.2g207kcal
手羽元3.64g12.8g175kcal
可食部100gあたり(若どり,生)*1

鶏肉は、牛肉や豚肉に比べてカロリーや脂質の少ないのが特徴。飽和脂肪酸の量も少ないので、無理せず健康管理ができます。特に、むね肉やささみは脂質・飽和脂肪酸が少ないのでおすすめです。

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4.乳製品

食品飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
普通牛乳2.33g3.8g61kcal
低脂肪牛乳0.67g1.0g42kcal
ヨーグルト1.83g3.0g56kcal
低脂肪ヨーグルト0.58g1.0g40kcal
クリームチーズ20.26g33.0g313kcal
チェダーチーズ20.52g33.8g390kcal
カマンベールチーズ14.87g24.7g291kcal
アイスクリーム7.12g12.0g205kcal
ラクトアイス9.11g13.6g217kcal
すべて100gあたり *1

乳製品には、短鎖脂肪酸が含まれるのが特徴です。飽和脂肪酸は、その長さによって短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸に分類されます。短鎖脂肪酸は、体内で長鎖脂肪酸とは別のルートで代謝されるため、コレステロールに影響せず、動脈硬化の直接的な原因にはなりません。

チーズやヨーグルトなどの発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌も含まれるので、腸を健康に保つために役立ちます。

とはいえ、乳製品に含まれる脂質の大部分は長鎖脂肪酸なので、摂り過ぎには注意しましょう。目安としては、1日あたり牛乳コップ1杯、スライスチーズ2枚程度です。

飽和脂肪酸は、その長さによって短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸に分類されます。健康への影響が懸念されているのは主に長鎖脂肪酸です。体内に摂取された長鎖脂肪酸は、中性脂肪に再合成されたのち、コレステロールとともに「カイロミクロン」という物質に入ります。カイロミクロンはリンパ管、血管を移動し、体内の各組織に脂肪酸やコレステロールを供給しながら肝臓へ運ばれ、VLDL、LDL(悪玉コレステロール)と変化して全身を移動します。そのため、長鎖脂肪酸を過剰摂取すると、血中コレステロール値や血中中性脂肪値が上昇します。

一方、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、小腸から門脈を通って肝臓へと取り込まれ、速やかに代謝されます。カイロミクロンやLDLを形成しないため、血中コレステロール値や血中中性脂肪値に影響を与えないとされています。

5.バター・マーガリン・ショートニング

種類飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
バター2.5g4.1g35kcal
マーガリン1.2g4.2g35.8kcal
ショートニング2.3g5.0g44.5kcal
すべて5gあたり(有塩,家庭用) *1

牛乳から水分を除いて作られるバターは、飽和脂肪酸を多く含んでいます。マーガリンやショートニングは植物油脂を原料に作られるので不飽和脂肪酸が多いイメージですが、飽和脂肪酸も多く含むので摂り過ぎに注意しましょう。

また、これらの油脂には冠動脈疾患のリスクを高める「トランス脂肪酸」も含まれます。商品によっては、トランス脂肪酸を含まないように製造している場合もあるので、表示をチェックしてみてくださいね。

6.ココナッツオイル・パーム油

種類飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
ココナッツオイル
(やし油)
2.35g5.0g44kcal
パーム油4.2g5.0g44kcal
すべて5gあたり *1

ココナッツオイルやパーム油は植物油ですが、飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。しかし、コレステロール値に影響を与えない「ラウリン酸」が多いのが特徴。そのため、「健康に良い」と言われていますが、過剰摂取には注意しましょう。

7.クリーム類

種類飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
ホイップクリーム(乳脂肪)24.98g40.7g409kcal
ホイップクリーム(植物性脂肪)8.30g36.1g399kcal
ホイップクリーム(混合)16.63g38.4g394kcal
コーヒークリーム(乳脂肪)11.57g18.3g205kcal
コーヒークリーム(植物性脂肪)5.70g24.8g244kcal
すべて100gあたり*1

ホイップクリームやコーヒークリームも、飽和脂肪酸を多く含む食品です。乳脂肪と植物性脂肪を含むクリームは、トランス脂肪酸も多く含むので過剰摂取に注意が必要です。

8.お菓子・ケーキ類

食品飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
ホワイトチョコレート22.87g39.5g588kcal
ミルクチョコレート19.88g34.1g550kcal
バターケーキ14.73g25.3g422kcal
レアチーズケーキ16.59g27.5g349kcal
ベイクドチーズケーキ12.11g21.2g299kcal
ソフトビスケット12.42g27.6g512kcal
ポテトチップス12.96g32.0g515kcal
すべて100gあたり*1

バターやマーガリンなどの油脂類を多く使うお菓子やケーキも、飽和脂肪酸を多く含みます。中でも、チョコレート・バターケーキ・チーズケーキ・ビスケット・ポテトチップスなどは、飽和脂肪酸を多く含んでいます。

反対に、和菓子やおせんべいは、飽和脂肪酸の含有量が少ないのが特徴。血中コレステロールや中性脂質の量が気になる方は、間食に和菓子やおせんべいを選ぶのがおすすめです。

飽和脂肪酸の摂取量を減らすには?肉の選び方のコツ!

健康診断で血中コレステロールや中性脂質の量を指摘された方は、肉類の選び方を変えてみましょう。下の表の通り、肉の種類や部位によって、飽和脂肪酸の量は大きく異なります。

部位飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
豚バラ14.6g35.4g366kcal
牛バラ13.05g32.9g338kcal
牛サーロイン10.85g23.7g273kcal
豚かた5.25g14.6g201kcal
牛かた4.35g10.6g160kcal
豚もも3.59g10.2g171kcal
牛もも3.22g8.6g148kcal
牛ヒレ(赤肉)1.99g4.8g123kcal
豚ヒレ(赤肉)1.29g3.7g118kcal
鶏もも肉4.37g14.2g190kcal
鶏もも肉(皮なし)1.38g5.0g113kcal
鶏むね肉1.53g5.9g133kcal
むね肉(皮なし)0.45g1.9g105kcal
鶏ささみ0.17g0.8g98kcal
すべて可食部100gあたり(脂身つき,生)*1

飽和脂肪酸の摂取量を抑えるためには、脂身の少ないももやヒレなどの部位を選ぶのがポイントです。

また、鶏肉は豚肉や牛肉に比べて脂質が少ないのが特徴。特に、むね肉やささみはヘルシーなのでおすすめです。

脂質の摂取量を抑えるためには、調理法を工夫するのもポイント。例えば、豚ロース肉は調理法によって以下のようにカロリーや脂質量が変わります。

調理法エネルギー脂質量
とんかつ429kcal35.9g
焼き調理310kcal24.1g
茹で調理299kcal22.7g
すべて100gあたり*1

肉を下茹でしたり、焼いた際に出る脂を拭き取ったりするだけでも、脂質やカロリーを減らすことができます。肉を食べるのを我慢するのではなく、摂取量や食べ方を工夫して上手に付き合っていきましょう。

飽和脂肪酸が多い肉の種類ランキング

飽和脂肪酸は、部位だけでなく、その肉の産地によっても含まれる量が異なります。下の表は、和牛と輸入牛の飽和脂肪酸含量を比較し、多い順に並べたものです。

肉の種類飽和脂肪酸量
和牛リブロース(脂身つき)19.81g
和牛リブロース(皮下脂肪なし)19.18g
和牛サーロイン(脂身つき)16.29g
和牛バラ(脂身つき)15.54g
和牛リブロース(赤肉)14.75g
和牛サーロイン(皮下脂肪なし)14.64g
輸入牛バラ肉(脂身つき)13.05g
和牛かたロース(脂身つき)12.19g
輸入牛サーロイン(脂身つき)10.85g
輸入牛リブロース(脂身つき)7.15g
輸入牛リブロース(皮下脂肪なし)6.38g
ヘット以外は可食部100gあたり(輸入牛肉,脂身つき,生)*1

同じ「脂身つきリブロース」でみると、輸入牛が7.15gなのに対し、和牛は19.81gもの飽和脂肪酸を含みます。

和牛は、口当たりの良さを求めて、脂身が多くなるように工夫されています。特に、リブロースやサーロインは飽和脂肪酸を多く含む部位。美味しくてつい箸が進んでしまいますが、食べ過ぎに注意しましょう。

反対に飽和脂肪酸が少ない食品は?

飽和脂肪酸が少ない食品には、ご飯や野菜、果物、海藻類などがあります。そのほか、脂質を多く含む食品でも、以下のように飽和脂肪酸が少ないものがあります。

食品飽和脂肪酸量総脂質量エネルギー
あまに油 (5g)0.40g5.0g45kcal
えごま油 (5g)0.38g5.0g45kcal
オリーブオイル (5g)0.66g5.0g45kcal
ピーナッツ (10g)0.90g5.0g61kcal
アーモンド (10g)0.41g5.4g61kcal
絹ごし豆腐 (100g)0.57g3.5g56kcal
木綿豆腐 (100g)0.79g4.9g73kcal
豆乳 (100g)0.32g2.0g44kcal
*1

あまに油やえごま油は、n-3系の脂肪酸(不飽和脂肪酸)を多く含むのが特徴。また、オリーブオイルには、不飽和脂肪酸のオレイン酸が多く含まれています。オレイン酸には、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす作用があります。

ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類は、脂質の量は多いものの、不飽和脂肪酸を多く含みます。食べ過ぎるとカロリーの過剰摂取につながりますが、適量をおやつに食べるのはおすすめです。

タンパク源としては、大豆製品がおすすめ。大豆には、不飽和脂肪酸のリノール酸が多く含まれています。牛乳の代わりに豆乳を使うことでも、飽和脂肪酸の摂取量を抑えることができますよ。

飽和脂肪酸の摂り過ぎに注意しましょう

飽和脂肪酸の過剰摂取は、動脈硬化や循環器系疾患のリスクを高めてしまいます。健康診断で血中コレステロールや中性脂質の値を指摘された方は、食品の選び方や調理法を見直してみましょう。

同じ肉類でも、種類や部位によって飽和脂肪酸の含有量は異なります。肉の量を減らすことばかりにとらわれず、食べ方を工夫して上手に付き合ってみてくださいね。

参考文献
*1 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

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