短鎖脂肪酸とは?働き・効果を分かりやすく解説!

ダイエットや健康維持に役立つことで注目されている「短鎖脂肪酸」。具体的に、どのような働き・効果があるのでしょうか。今回は、短鎖脂肪酸がどのようなものかを、わかりやすく解説します。

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そもそも脂肪酸とは

脂肪酸とは、脂質を構成する要素のひとつです。

脂肪酸は、炭素がいくつも連なった構造をしていて、この炭素の数によって短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸に分類されています。

  短鎖脂肪酸    炭素数 6以下  
  中鎖脂肪酸  炭素数 8~10
  長鎖脂肪酸  炭素数 12以上
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短鎖脂肪酸とは

短鎖脂肪酸には、以下のような種類があります。

・酢酸
・プロピオン酸
・酪酸

酢酸はお酢にも含まれる成分、酪酸はヨーグルトやチーズなどの乳製品の特徴的な成分です。

また、体内では、腸内細菌が食物繊維を発酵させる際に短鎖脂肪酸が産生されます。

ダイエットにも効果的!短鎖脂肪酸の5つの働き

なぜ、短鎖脂肪酸が健康維持に役立つと注目されているのでしょうか。腸内で産生された短鎖脂肪酸の働き・効果を紹介します。

1.体脂肪の蓄積を抑制する

腸内で産生された短鎖脂肪酸の一部は、血液中に取り込まれて全身をめぐります。脂肪細胞にたどり着いた短鎖脂肪酸は、「GPR-43」という受容体に結合。すると、エネルギーが過剰になったときの糖や脂質の取り込みが抑制されます。

通常なら、過剰な糖や脂質を摂取した場合、脂肪細胞に取り込まれ、体脂肪として蓄積されます。

つまり、短鎖脂肪酸がGPR-43に作用することで、体脂肪の蓄積(肥満)が抑制されるのです。

2.基礎代謝が上がる

腸内で産生された短鎖脂肪酸は、交感神経節に存在する「GPR-41」という受容体に作用し、交感神経を活性化させます。

その結果、体温の上昇や心拍数の増加を招き、エネルギー消費量がアップ。基礎代謝が上がって体脂肪が減りやすくなるため、ダイエットをサポートしてくれます。

3.ミネラルの吸収を促進する

短鎖脂肪酸の産生量が増えると、腸内のpHが酸性に傾き、ミネラルが可溶化して吸収が促進されます。

ミネラルの中でも、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛は、短鎖脂肪酸の影響によって吸収率が上がることが確認されています(*1)

4.腸内環境が整う

短鎖脂肪酸が増えて腸内のpHが下がると、酸性環境に弱い病原菌や有害菌が減少。一方、酸性環境に強いビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が増え、腸内環境が整います

腸内環境が整うと、便秘が改善されるだけでなく、うつ傾向の改善やストレス緩和への効果も期待できます。

5.腸の炎症を抑える

腸内で産生された短鎖脂肪酸の「酪酸」は、炎症抑制作用をもつ免疫細胞を活性化させます。

酪酸の作用によって腸の免疫系のバランスが保たれることで、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の予防に役立ちます。

酪酸は、「制御系T細胞」という免疫細胞の分化に関わるFoxp3遺伝子の発現を高めます。制御系T細胞には、炎症やアレルギー反応を抑える効果があります。

動物実験では、短鎖脂肪酸のうち、酢酸には制御系T細胞を増やす作用はなく、プロピオン酸にはわずかにあり、酪酸は顕著に制御系T細胞を増やす作用があると確認されています。

短鎖脂肪酸の効果的な増やし方

短鎖脂肪酸は、お酢や乳製品などの食品にも含まれています。しかし、食品から摂取した短鎖脂肪酸は、大部分が小腸で吸収されて肝臓で代謝されるため、大腸まで届かず、ダイエット・健康効果はあまり期待できません

短鎖脂肪酸の効能を発揮させるには、腸内細菌によって腸の中で産生させることがポイント

短鎖脂肪酸は、食物繊維や難消化性オリゴ糖から産生されるので、これらを多く含む食品を積極的に摂りましょう。

短鎖脂肪酸はダイエット・健康維持に効果的!

腸内細菌によって産生された短鎖脂肪酸には、
体脂肪の蓄積の抑制
基礎代謝量の増大

腸の炎症抑制
などの効果があり、生活習慣病の予防やダイエットに役立ちます。

また、カルシウムや鉄のように不足しやすいミネラルの吸収を促進するのも嬉しい作用ですね。

腸内環境が整うと、便秘やうつ傾向も改善されやすくなります。また、老廃物の排出によって、肌トラブルも予防できます。健康や美容のために、腸内環境を整える食事をはじめましょう。

参考文献
*1応用糖質科学 第5巻 第4号「難消化性デキストリンの新たな生理機能―腸内発酵を介した生体調節機能―

・日本糖尿病学会誌 第63巻 第6号「肥満・糖尿病の病態と腸内細菌叢 3)短鎖脂肪酸を介した宿主のエネルギー・糖代謝調節
・日本重症心身障害学会誌第 43巻 1号「経腸栄養における食物繊維の役割について

・日本食物繊維学会誌Vol12. No1「難消化性オリゴ糖の性状の違いがラッ トの成長,高浸透圧性下痢誘発,脂 質代謝,糞 便有害菌酵素活性ならびに短鎖脂肪酸産生に及ぼす影響

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