大豆製品10種類の特徴と栄養価!加工によって栄養価は変わる?

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豆腐や納豆など、大豆の加工品は日本人にとって古くから馴染み深い食品です。そんな大豆製品ですが、加工方法によって増える栄養素、反対に減る栄養素などがあります。そこで今回は、大豆製品の種類とその栄養価をまとめてご紹介します!

※紹介している栄養価はすべて食品100gあたりに含まれている量です

大豆製品10種類の特徴と栄養価!

1.大豆もやし

大豆もやしは、お湯に浸した大豆を温度調整した室内で発芽させたものです。大豆もやしの他に緑豆もやしやブラックマッペもやしもありますが、大豆もやしは最もたんぱく質を多く含むのが特徴です。ちなみに、大豆もやしは2日程度で発芽し、6日程度で製品になる大きさまで成長します。

大豆もやしの栄養価

カロ
リー
水分たんぱく質脂質糖質食物
繊維
大豆
もやし
29kcal92.0g3.7g1.5g2.3g
緑豆
もやし
15kcal95.4g1.7g1.3g1.3g
ブラックマッペ17kcal94.7g2.2g0.1g1.3g1.5g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) だいずもやし/生・緑豆もやし/生・ブラックマッペもやし/生

大豆もやしは、緑豆もやしやブラックマッペもやしに比べてたんぱく質や脂質を多く含んでいます。また、生の大豆に比べて大豆もやしはビタミンCが増えるのも特徴です。ビタミンCの損失を防ぐためには、茹で時間を短くしたり、スープに使ったりするのがおすすめです。

2.豆乳

豆乳は、水に浸けた大豆をすり潰し、加熱して濾したものです。大豆を煮る際はアクによって泡立ちやすいため、豆乳には消泡剤が添加されていることがよくあります(油脂系消泡剤、グリセリン脂肪酸エステル、シリコーン樹脂など)。ちなみに、豆乳を飲みやすくするために砂糖などを添加したものが調整豆乳、さらに果汁などを加えたものが豆乳飲料です。

豆乳の栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
44kcal90.8g3.6g2.0g2.9g0.2g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 豆乳/豆乳

豆乳の特徴として、食物繊維の含量が少ないことがあげられます。大豆にはもともと不溶性食物繊維が多く含まれるため、豆乳には溶けず、絞りかすの方に残ってしまうためです。水溶性のたんぱく質やイソフラボンなどは豆乳にも含まれますが、製品によって含有量に差があるので成分表示をチェックしてみて下さいね。

3.おから

前述の方法で、豆乳を作るときに出る搾りかすがおからです。おからは卯の花に調理されたり、おからパウダーに加工されたりして活用されています。

おからの栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
88kcal75.5g6.1g3.6g12.3g11.5g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) おから/生

豆乳には水溶性の成分が溶け出しますが、不溶性の成分は残ります。そのため、おからは豆乳に比べて不溶性食物繊維を多く含む特徴があります。ちなみに、必須アミノ酸組成は豆乳とおからに大きな差はありません。

4.豆腐

豆乳に塩化マグネシウムや硫酸カルシウムなどを加えると、たんぱく質が凝固して豆腐になります。凝固した豆腐から水分を除いたものが木綿豆腐、水分を残してプリン状に固めたものが絹ごし豆腐です。

木綿豆腐と絹ごし豆腐の栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
木綿豆腐73kcal85.9g7.0g4.9g0.4g1.1g
絹ごし豆腐56kcal88.5g5.3g3.5g1.1g0.9g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 木綿豆腐・絹ごし豆腐

木綿豆腐は製造中に水分を切るため、絹ごし豆腐に比べて栄養素が凝縮されています。ビタミンやミネラルも木綿豆腐の方が若干多めに含みますが、カリウムは絹ごし豆腐の方が多いです。また、豆腐は豆乳から作られるため食物繊維をほとんど含まないのも特徴です。

5.油揚げ

油揚げは、固めの豆腐を薄く切り2度揚げしたものです。最初は120℃前後で揚げて豆腐を膨張させ、2度目は200℃前後で揚げて表面に焼き色を付けます。

油揚げの栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質食物繊維
油揚げ377kcal39.9g23.4g34.4g1.3g
油揚げ(油抜き)266kcal56.9g18.2g23.4g0.9g
油揚げ(茹で)164kcal72.6g12.4g13.8g0.6g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 油揚げ/生・油揚げ/油抜き/生・ 油揚げ/油抜き /茹で

油揚げは豆腐に比べて水分量が少なく、たんぱく質や脂質の割合が増えます。特に脂質の量は大幅に上がりますが、油抜きすると約15g、茹でると約20gの脂質を減らすことができます。脂質の摂取量を減らしたい方は、茹でこぼしてから油揚げを使うと良いですよ。

6.厚揚げ(生揚げ)

厚揚げは、木綿豆腐を厚めに切り、200℃前後の高温で揚げたものです。油揚げより豆腐の食感が残るのが特徴ですね。

厚揚げの栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
143kcal75.9g10.7g11.3g0.2g0.7g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 生揚げ

厚揚げの栄養価は、木綿豆腐の成分が凝縮し、脂質が増したというイメージです。油揚げと同様、油抜きや茹でこぼししてから使うと、脂質の量を減らすことができます。

7.湯葉

湯葉は、豆乳を加熱した際に表面にできる皮膜をすくい取ったものです。すくい取ったままの状態が生湯葉、乾燥させたものが干し湯葉、手で巻き取ったものが巻き湯葉と呼ばれます。湯葉は精進料理や会席料理によく登場するほか、京都や日光の特産品として知られています。

湯葉の栄養価

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
生湯葉218
kcal
59.1g21.8g13.7g3.3g0.8g
干し湯葉485
kcal
6.9g50.4g32.1g4.2g3.0g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 湯葉/生・湯葉/干し/乾

湯葉は、豆乳中のたんぱく質や脂質が集まってできたものです。そのため、たんぱく質や脂質が多く含まれます。豆腐に比べてカリウムが多く含まれているのも特徴です。

9.納豆

納豆は、納豆菌によって大豆を発酵させたものです。発酵は20~24時間で行い、ネバネバの元となるポリグルタミン酸やフラクタンを生成させます。納豆は大豆のまま食べるより消化が良いので、胃腸が弱い方におすすめの食品です。

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
190kcal59.5g16.5g10.0g5.4g6.7g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 糸引き納豆

大豆をそのまま使用する納豆は、豆腐や豆乳に比べて食物繊維の含量が多いのが特徴です。納豆1パックは40~50gなので、1パックで約3gの食物繊維を摂ることができます。また、納豆は大豆製品の中でずば抜けてビタミンKを多く含みます。ビタミンKはカルシウムの骨への沈着を助けるので、骨粗鬆症の予防に効果的な成分です。

10.寺納豆

画像:ヤマヤ醤油

納豆には前述の糸引き納豆のほか、寺納豆という種類もあります。糸引き納豆が納豆菌で短時間発酵させるのに対し、寺納豆は麹菌を使って長時間発酵させたものです。京都の大徳寺納豆や浜松の浜納豆などが有名ですね。

カロリー水分たんぱく質脂質糖質食物繊維
248kcal24.4g18.6g8.1g23.9g7.6g
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 糸引き納豆

寺納豆は、糸引き納豆や他の大豆製品に比べて糖質を多く含みます。また、大豆にはほとんどナトリウムが含まれませんが、寺納豆は食塩水に漬け込んで熟成させるためナトリウム含有量が非常に高いです(5600mg/100g)。おかずよりはご飯のお供という位置づけなので、食べ過ぎには注意しましょう。

大豆の加工品の栄養価一覧

上で紹介した大豆の加工品の栄養価をひとつの表にまとめました。

カロリー(kcal)水分(g)たんぱく質(g)脂質(g)糖質(g)食物繊維(g)
大豆もやし2992.03.71.52.3
豆乳4490.83.62.02.90.2
おから8875.56.13.612.311.5
木綿豆腐7385.97.04.90.41.1
絹ごし豆腐5688.55.33.51.10.9
油揚げ37739.923.434.41.3
生揚げ14375.910.711.30.20.7
生湯葉21859.121.813.73.30.8
干し湯葉4856.950.432.14.23.0
糸引き納豆19059.516.510.05.46.7
寺納豆24824.418.68.123.97.6
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

それぞれ水分量の差があるので簡単に比較はできませんが、だいたいの成分量の目安に使ってみて下さいね。

大豆の加工品が多い理由

ここまで紹介した大豆製品だけでも10種類ありますが、このほかにも高野豆腐や味噌、醤油など大豆の加工品はまだまだ沢山あります。なぜ、大豆には加工品がこんなに多いのでしょうか?

1.たんぱく質が豊富だから

大豆の加工品が多いのは、たんぱく質が多く加工性が高いことが理由のひとつです。

たんぱく質には、
pH4.5付近で凝固する性質
塩類と反応して凝固する性質
冷凍により変質する性質
などがあります。これらの性質を利用したものが、豆腐や高野豆腐です。

また、湯葉もたんぱく質や脂質が凝集する性質を利用したもの。味噌や醤油は、麹菌によってたんぱく質が分解されると、うま味成分であるアミノ酸が生成されて味に深みが出ます。

2.生大豆は消化が悪い

大豆に加工品が多い理由として、大豆は生のままでは消化が悪いこともあげられます。そもそも、生の大豆は硬くて、食べられないですよね。

そんな大豆を食用にするため、先人たちは知恵を絞ってさまざまな加工食品を生み出したのでしょう。

3.栄養価が高い

大豆にはたんぱく質のほか、不飽和脂肪酸も豊富に含まれています。そのため、動物性食品の代替として、大豆たんぱく質は粉末状や粒状に加工され、市販のハンバーグなどに使用されています。

近年では、大豆ミートが注目されていますよね。特に和食の場合は、ご飯と大豆を組み合わせることで必須アミノ酸をすべて摂ることができます。日本人が古くから大豆製品を食べてきたのは、栄養価の面でも理にかなっていたのですね。

大豆は加工品の種類が豊富!

今回は、さまざまな大豆製品とその栄養価を紹介しました。あらためて見ると、日本人の食卓には多くの大豆製品があることが分かります。伝統的な食材を受け継いでいくためにも、これからも大豆製品を活用していきましょう!

参考文献
・菅原龍幸監修『新版 食品学Ⅱ』, 建白社, 2018
・日本食品標準成分表2020年版(八訂)

Writer Profile
yukari

食生活アドバイザー。好きな大豆製品TOP3は湯葉・豆腐・厚揚げです。卯の花や五目豆も大好きです。炒り大豆も好きで、節分には歳の数の3倍くらいの豆を食べています(笑)。

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