醤油の種類による違いは?特徴を知って使い分けよう!

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日本人の食卓に欠かすことのできない醤油。和食から洋食、中華料理まで、幅広く活躍しますよね。そんな醤油には、濃口・淡口・丸大豆など、さまざまな種類があります。この記事では、醤油の種類と特徴をご紹介。種類ごとの特徴がわかると、料理や用途にあわせてうまく使い分けることができますよ。

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醤油の基本

醤油の原料は、大豆と小麦です。ここに食塩水と麹菌を加えて、発酵・熟成させます。

醤油の基本的な製造方法

ちなみに、醤油麹に食塩水を加えた状態を「もろみ」といいます。もろみを発酵・熟成させ、搾ったものが「生(き)醤油」

生醤油を加熱することを「火入れ」といいます。火入れすると、殺菌・酵素の失活などによって醤油の保存性が高まります。一般的に、火入れしたものが製品となってスーパーなどの店頭に並びますが、近年は火入れを行わない生醤油も人気です。

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醤油の種類と特徴・使い分け方

JAS規格(日本農林規格)では、醤油は以下の5種類に分けられています。

・濃口醤油
・淡口醤油
・白醤油
・たまり醤油
・再仕込み醤油

それぞれ、製造方法や味・香りなどに違いがあるため、特徴を知っていると自分好みの醤油を選ぶことができますよ。

濃口醤油

濃口醤油は、日本で最も消費されている一般的な醤油。市販の醤油のほとんどが、このタイプです。

濃口醤油は、原料に大豆と小麦をほぼ同量使っています。甘味とうま味のバランスがよく、調和のとれた味わいです。

煮物照り焼きをはじめ、さまざまな料理に使うことができますよ。

淡口醤油

淡口(うすくち)醤油は、兵庫県龍野で発祥した醤油で、濃口醤油より色が薄いのが特徴。熟成期間を短くすることで、醤油の着色を抑えています。そのため、濃口醤油よりうま味は少なく、淡白でさっぱりした味わいです。

名前のイメージから塩分が少ないように感じますが、じつは濃口醤油より塩分濃度は高いので使いすぎには注意。

お吸い物含め煮だし巻き卵など、色をつけたくない料理、素材の色を生かしたい料理に適しています。

白醤油

淡口醤油より、さらに色が薄いのが白醤油です。

愛知県碧南で発祥した醤油で、ビールのような薄い黄金色が特徴です。原料には大豆より麦を多く使っているため、うま味は少ないものの、豊かな甘味が感じられます。

白醤油は、茶碗蒸し麺類のだし汁に使うのが適しています。色がつきにくいため、料理の隠し味として使うのもおすすめ。

たまり醤油

たまり醤油は、愛知県を中心として作られている醤油。大豆のみ、または大豆に少量の麦と米を加えて作られます。

濃口醤油より色が濃く、とろみがあり、濃厚な味と香りが楽しめるのが特徴です。

刺身のつけ醤油蒲焼きのたれとして使うと、濃厚な風味が存分に生かされます。また、たまり醤油は、おせんべいの製造などにも使われています。

再仕込み醤油

再仕込み醤油は、「甘露醤油」とも呼ばれます。濃口醤油と原料は同じですが、食塩水の代わりに生醤油を用いて仕込むのが特徴です。

醸造を2回繰り返すため、色が濃くなり、濃厚な風味に仕上がります。濃口醤油よりエキス分が多く、うま味も強くなります。

刺身・寿司のつけ醤油としてよく使われています。卵かけご飯にかけるのもおすすめ。

【一覧表】醤油の種類・塩分濃度・合う料理

ここまで紹介してきた5種類の醤油の塩分濃度と、それぞれに合う料理を一覧表にまとめました。

醤油の種類特徴塩分濃度合う料理
濃口醤油一般的な醤油14.5%煮物
照り焼き
食卓用
淡口醤油濃口より色が薄い16%お吸い物
野菜の含め煮
だし巻き卵
おでん
炊き込みご飯
白醤油最も色が薄い
うま味は少ない
甘味が強い
14.2%麺類の汁
茶碗蒸し
たまり醤油色が濃い
濃厚な味・香り
13%刺身
蒲焼きのたれ
再仕込み醤油色が濃い
うま味が強い
12.4%刺身
寿司
参考:*1・2

たまり醤油や再仕込み醤油は、色が濃く、味わいも濃厚ですが、濃口醤油より塩分濃度は低くなります。5種類の中で、最も塩分濃度が高いのは淡口醤油です。

減塩を意識している場合は、たまり醤油や再仕込み醤油がおすすめ。塩分濃度が低くても、うま味や風味が強いため、少ない量でも料理を美味しく仕上げてくれますよ。

うすくち醤油を「淡口」と書くのは、「薄口」とすると、塩分が低いように誤解を招いてしまうためなのだとか。食塩の摂取量を抑えたい方は、「減塩」や「低塩」タイプの醤油を選びましょう。

丸大豆醤油・生醤油とは?普通の醤油との違い

スーパーなどでは、「丸大豆醤油」や「生醤油」もよく見かけますよね。丸大豆・生醤油と、普通の醤油との違いを紹介します。

丸大豆醤油

一般的な醤油は、大豆から油分を取り除いた脱脂大豆を原料として使います。一方、丸大豆醤油は、油分も含めて大豆を丸ごと使うのが特徴。

大豆の油分が含まれるため、濃厚なコクがあり、うま味・風味が豊かです。まろやかな甘味も感じられますよ。

生醤油

一般的に、醤油は発酵・熟成後に加熱してから製品化されます。加熱前の状態を「生醤油」といい、そのまま製品化されることもあります。

生醤油は、加熱したものに比べて色が薄く、さらりとした味わいが特徴です。

醤油の加熱工程は火入れと呼ばれ、発酵に関わる微生物や酵素を殺菌・失活させて保存性を高める目的で行われます。また、火入れによって醤油の香り・光沢も良くなります。

生醤油は、普通の醤油に比べて保存性が低いため、密閉性の高い容器を使用しているものがおすすめ。普通のペットボトルに入っているタイプは、冷蔵庫で保存しましょう。

魚醤・ナンプラーも醤油の一種?

魚醤とは、魚やイカ・貝類を原料につくられた醤油状の発酵調味料です。

魚醤は地域ごとに原材料や呼び名が異なり、日本では石川県の「いしる」、秋田県の「しょっつる」などが有名です。海外では、タイの「ナンプラー」やベトナムの「ニョクマム」が有名ですね。

魚醤の名称主な原材料産地
いしるイカ、イワシ石川県
しょっつるハタハタ秋田県
いかなご醤油イカナゴ香川県
ナンプラーイワシタイ
ニョクマムイワシベトナム

魚介類を原料とする魚醤は、アミノ酸の含有量が高く、うま味がより強く感じられます。一般的な醤油に比べて甘味が少ないのも特徴です(*3)

魚醤は中華料理やエスニック料理の風味付けに使うほか、煮物や鍋物、味噌汁などに入れても美味しく仕上がりますよ。

色々な種類の醤油を使いこなそう

醤油には、濃口・淡口・丸大豆など、さまざまな種類があります。料理に合わせて使い分けると、それぞれの特徴を生かすことができますよ。

また、塩分濃度もそれぞれ異なるので、減塩に励んでいる方は、より塩分濃度が低いものを選ぶのがおすすめ。たまり醤油や最仕込み醤油は塩分濃度が比較的低く、うま味も強いため、無理なく減塩できますよ。

Written by Yukari

醤油の香りには、約300種類もの成分が関わっているのだとか。風味を存分に生かすためには、料理の仕上げ段階で醤油を加えるのがおすすめです。ちなみに、醤油は料理に味・香りを付けるだけでなく、魚や肉の臭みを消す作用や、肉を軟らかくする作用もあります。日本から生まれた奇跡の調味料。これからも大切に受け継いでいきたいですね。

参考文献
*1 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『食物学Ⅱ 第2版』建帛社
*2 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『四訂 食品の官能評価・鑑別演習』建帛社
*3 佐藤正美「魚醤(瀬戸の魚醤油, いかなご醤油について)」
*4 本間清一・村田容常編『食品加工貯蔵学』東京化学同人

*5 大越ひろ・品川弘子・飯田文子編著『新健康と調理のサイエンス 調理科学と健康の接点』学文社
*6 キッコーマン公式サイト「生醤油」

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