甘酒は「飲む点滴」や「飲む美容液」とも呼ばれるほど、健康・美容効果の高い食品です。今回は、甘酒に含まれる成分の働きや効果を紹介します。美容へのメカニズムを知ってから甘酒を飲むと、より美肌効果が期待できますよ。
甘酒の原料は?
甘酒には2種類あり、米麹から作られるものと、酒粕から作られるものがあります。米麹は、麹菌の力でお米を発酵させたものです。酒粕は、日本酒(清酒)を作る際にでる搾りかすで、お米・米麹・酵母などが含まれます。
どちらを原料にしていても、甘酒にはお米由来の栄養素や、発酵によって生成された成分が含まれています。
米麹の甘酒にはアルコールが含まれないので、お酒が苦手な方や、子どもでも飲めるところがメリットです。
美容に良いのはなぜ?甘酒の成分とその効果
甘酒は、健康維持に役立つ食品でもありますが、今回は美容効果に注目して甘酒の含有成分を紹介します。
1.グルコシルセラミド
グルコシルセラミドは、お米の胚芽に含まれる成分です。グルコシルセラミドを摂取すると、肌のセラミド合成能が高まり、皮膚のバリア機能が向上します。
これは、グルコシルセラミドがセラミド合成酵素を増やすため。また、グルコシルセラミドは皮膚の細胞同士の接合部分を強くする働きもあり、肌の水分を逃がしにくくします。
グルコシルセラミドは、近年トクホや機能性表示食品にも使用が許可されている注目成分。詳しく知りたい方は、下の記事を読んでみてくださいね。
2.オリゴ糖・食物繊維
発酵食品である甘酒には、麹菌由来の酵素がデンプンを分解することで生まれたオリゴ糖や食物繊維が豊富に含まれています。
オリゴ糖や食物繊維は、腸内環境を整える成分です。腸内環境は肌質に影響を与えるため、甘酒を飲んで腸内環境が改善されると肌トラブルが起こりにくくなります。
腸内環境が悪くなると、悪玉菌が腐敗物質を生成し、それが血中に吸収されて全身をめぐり、肌荒れを起こすと言われています。また、便秘になるとニキビや吹き出物が起こりやすくなります。
高タンパク・高脂質の食事は腸内環境を悪化させる一方、食物繊維・オリゴ糖・有機酸(乳酸菌や酢酸)などは善玉菌を増やして腸内環境を改善します。
3.レジスタントプロテイン
レジスタントプロテインは、人の胃腸で消化吸収されないタンパク質です。近年の研究で、レジスタントプロテインは腸で食物繊維のような働きをすることが確認されました。
ある研究では、レジスタントプロテインを高濃度で含む甘酒を4週間飲み続けた結果、肌の水分量が上がったと報告されています(*1)。
これは、レジスタントプロテインの作用で腸内環境が整い、老廃物や不廃物質が排出されたことや、肌に必要な栄養素の吸収がスムーズになったためだと考えられます。
甘酒に含まれるビタミン・ミネラル
甘酒には、体内の機能を正常に保つために必要なビタミン・ミネラルも含まれています。甘酒1杯分(200g)あたりのビタミン・ミネラルの含有量はこちらです。
ナトリウム | 120mg | ビタミンB1 | 0.02mg |
カリウム | 28mg | ビタミンB2 | 0.06mg |
カルシウム | 6mg | ナイアシン | 0.4mg |
マグネシウム | 10mg | ビタミンB6 | 0.04mg |
リン | 42mg | 葉酸 | 16㎍ |
鉄 | 0.2mg | 銅 | 0.1mg |
亜鉛 | 0.6mg | マンガン | 0.34mg |
甘酒は、ビタミンB群を多く含むことが特徴です。ビタミンB群は栄養素の代謝のサポートや、肌荒れを予防する働きを持ちます。
銅やマンガンには抗酸化作用があり、活性酸素による細胞のダメージを防ぐことができます。
なお、甘酒の種類によってビタミン・ミネラルの量は異なるので、購入前に確認してみましょう。
国産・無添加!毎日飲みたいおすすめの甘酒3選
せっかく甘酒を飲むなら、国産・無添加など、原材料にこだわったものを選びたいですよね。ここでは、おすすめの甘酒を3つ紹介します。
1.ビタミン・ミネラルたっぷり「玄米甘酒」
通常、甘酒の原料には精白米が使用されますが、こちらの商品は玄米を使用しているため、糠や胚芽に存在するビタミン・ミネラルも無駄なく摂ることができます。また、玄米は白米よりセラミドや食物繊維も豊富です。
玄米が健康に良いのは分かっているけど、そのまま食べるのは苦手…という方は、飲みやすい甘酒で摂ってみてはいかがでしょうか。
玄米甘酒の原材料は、国産玄米と麹のみ。余分な添加物や砂糖が含まれないのも嬉しいですね。
2.砂糖を使わない自然な甘み「マルコメ プラス 糀甘酒」
マルコメから販売されている大人気の甘酒です。砂糖を使わず、自然な甘さに仕上げられています。
大容量タイプはコスパが良く、甘酒を毎日飲みたい方にぴったりです。料理にも使いやすいのが嬉しいポイント。
ノンアルコールなので、子どもやアルコールが苦手な方でも安心して飲めますよ。
3.お湯にサッと溶ける「甘酒粉末」
こちらは、お湯を注ぐだけで簡単に甘酒が作れる粉末タイプの商品です。国産の酒粕粉末と米麹粉末のみを使用し、砂糖や添加物は含まれていません。
そのまま飲むだけでなく、ヨーグルトや料理などに甘酒を加えたい人におすすめです。
美肌のために甘酒を飲んでみては?
甘酒を飲むと、肌のセラミド合成が促進し、肌の水分を逃しにくくする効果が期待できます。また、食物繊維やレジスタントプロテインが腸内環境を整えるため、肌トラブルも防いでくれます。お米を原料とする甘酒は日本人と相性の良い食品なので、美容のために甘酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
Written by yukari
食生活アドバイザー。酒粕が大好きなので、よく酒粕甘酒を作って飲んでいます。甘酒を飲んでセラミド合成が高まると、皮膚のラメラ構造も整い、キメ細かい肌になります。甘酒は体を温めてくれるのも嬉しいところ。ぜひ、甘酒を飲んでみてくださいね。
参考文献
*1 digitalpr.jp「角質水分量が、レジスタントプロテイン高含有の米麹甘酒の飲用で増加」
・渡部恂子「腸内糖代謝と腸内細菌」
・住吉和子,中尾美幸「便秘に対する甘酒摂取の効果」