アントシアニンは、健康維持や美容のために積極的に摂りたい成分。しかし、どのような食品に多く含まれているのでしょうか。この記事では、アントシアニンの効果・効能とともに、多く含む食品をご紹介します。ぜひ、食生活に取り入れてみてくださいね。
アントシアニンとは?

アントシアニンとは、植物に含まれる赤紫色の色素で、ポリフェノールの一種です。赤や紫の果物・野菜などに多く含まれ、植物を紅葉させる成分でもあります。
アントシアニンは、食品ごとに名称が異なるのも特徴。例えば、ナスに含まれる「ナスニン」、イチゴに含まれる「カリステフィン」、ブドウに含まれる「エニン」などは、いずれもアントシアニンの一種です。
ブドウは、果皮にアントシアニンを多く含むため、果皮ごと使う赤ワインはアントシアニンを豊富に含みます。一方、白ワインは果皮を除いて作るため、アントシアニンはほとんど含まれず、色も付きません。
アントシアニンの効果・効能

アントシアニンは、もともと植物が強力な紫外線から身を守るための成分。そのため、強い抗酸化作用があります。
体内で発生した活性酸素から、細胞や体内成分をダメージから守る効果があります。活性酸素が増えすぎると動脈硬化やがんの発症リスクが高まりますが、アントシアニンの抗酸化作用によって、これらの疾病を予防する効果が期待できます。
また、シワ・シミ・そばかすの原因にもなるため、アントシアニンを積極的に摂ると、肌を美しく健康的に維持するためにも役立ちます。
・コラーゲンやエラスチンの生成を阻害
→ 肌のハリ低下・シワにつながる
・メラノサイトを刺激してメラニン生成を促進
→ シミ・そばかすの原因になる
アントシアニンを多く含む食品一覧!

アントシアニンを多く含む食品を、以下にまとめました。
・カシス
・ブルーベリー
・ビルベリー
・ブラックベリー
・エルダーベリー
・チョークベリー
・ぶどう
・赤ワイン
・ナス
・イチゴ
・さつまいも
・黒米
・黒豆
・紫キャベツ
・赤玉ねぎ
・赤シソ
アントシアニンは、おもに赤や紫色の野菜・果物に多く含まれています。
アントシアニンはベリー類に多く、中でもチョークベリーやエルダーベリーに多く含まれています。どちらもあまり馴染みのない果物ですが、スーパーで買いやすい食品としてはブルーベリーやぶどうなどがあります。
お酒が好きな方には、カシスリキュールで作ったカクテルや赤ワインもおすすめ。
日常的にアントシアニンをとるには、ナスや紫キャベツ、黒米、黒豆などの食品がおすすめです。黒米を白米に加えて炊くと、ビタミンやミネラルも補うことができます。
ちなみに、アントシアニンは酸性で赤く発色する性質を持つので、紫キャベツや赤玉ねぎを酢漬けにすると色鮮やかに仕上がります。試してみてくださいね。
赤ワインを多く飲むフランス人は心臓疾患になりにくい?

脂質を多く含む欧米型の食生活は、動脈硬化や心臓疾患のリスクを高めることが知られています。
しかし、フランス人は、欧米型の食生活にもかかわらず、心臓疾患による死亡率が欧米諸国より低いことが疫学調査でわかっています。この理由として、フランス人の赤ワインの消費量の多さがひとつの理由ではないか、といわれているのです。
赤ワインは、ブドウ由来のアントシアニンを多く含みます。抗酸化作用のあるアントシアニンは、LDLコレステロールの酸化を防ぐため、動脈硬化の予防に効果的です。
ちなみに、これは「フレンチ・パラドックス(フランス人の逆説)」と呼ばれています。脂質の多い食事が好きな方は、赤ワインのようにアントシアニンの多い食品を取り入れてみるのも良いかもしれませんね。
アントシアニンは目にも良い?眼精疲労への効果

アントシアニンは、眼精疲労の軽減や、暗所への適応、視野の拡大などに効果的だといわれています。これは、アントシアニンに目の周りの血行を促す作用や、ロドプシンという視物質の再合成を促進する働きがあるためです(*1)。
また、アントシアニンは目の充血の改善にも効果的だといわれています(*1)。
特に、ブルーベリーは目に良い食品として有名ですよね。これも、アントシアニンを豊富に含むことが理由です。
アントシアニンの多い食品を取り入れよう

今回は、アントシアニンの効果・効能とともに、多く含む食品を紹介させていただきました。
アントシアニンには強い抗酸化作用があり、動脈硬化やがんの予防、美肌の維持などに効果的です。また、眼精疲労の緩和や眼の充血の改善に役立つのも嬉しいですね。
アントシアニンは多くの野菜や果物に含まれているので、食事に取り入れてみましょう。ブドウジュースや赤ワインのように、嗜好品として取り入れるのも、続けやすいのでおすすめです。
Writer:永田ゆかり
フードスペシャリスト
今回紹介した「フレンチ・パラドックス」は、非常に興味深い現象です。近年ブームになっている地中海食も、食事に適度の赤ワインを取り入れるのが特徴。アルコールの多飲はもちろん良くないですが、嗜む程度に取り入れて健康維持に役立つのは嬉しいですね。もちろん、赤ワインではなく生のブドウや、そのほかの野菜・果物を取り入れるのもおすすめです。
参考文献
*1 佐藤充克ら「ブルーペリーのアントシアニン組成とブルーペリー・ワインの生理的効果」
*2 飯島勝矢「赤ワインポリフェノールの血管平滑筋細胞増殖・遊走に対する効果 : フレンチ・パラドックスの分子機序」
*3 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『食物学Ⅰ 第2版』建帛社