美しい肌を保つためには、毎日のスキンケアだけでなく、内側からのケアも大切です。せっかく良い化粧品を使っていても、食生活が乱れていたら効果は半減してしまうかも。食事にも気を配り、体の中から”キレイ”を作りましょう!この記事では、美肌作りのために積極的に摂りたい栄養素や成分、食事のポイントを紹介します。
美肌作りのために摂りたい栄養素・成分は?

美肌作りのために積極的に摂りたい主な栄養素・成分は、
・ビタミンA
・ビタミンE
・ビタミンC
・グルコシルセラミド
・ポリフェノール
・食物繊維
・乳酸菌
・亜鉛
などです。
これらの栄養素・成分について詳しくみていきましょう。
1.ビタミンA・ビタミンE・ビタミンC
ビタミンA(βカロテン)、ビタミンE、ビタミンCは、強い抗酸化作用をもつことから「抗酸化ビタミン」と呼ばれています。
体内で発生する活性酸素は、増えすぎると細胞やDNAなどを攻撃し、老化を促進させます。この活性酸素を除去し、細胞などを酸化から守るのが抗酸化ビタミンの役目です。
美肌のためだけでなく、動脈硬化やがんなどの予防のためにも、抗酸化ビタミンは積極的に摂りたい栄養素です。
また、ビタミンCは肌のコラーゲン産生にも関わります。
コラーゲンは、皮膚の弾力やハリに関わるタンパク質。加齢とともにコラーゲンの量が減り、皮膚の構造を支える力が弱くなるとシワやたるみの原因になります。
ビタミンCは、コラーゲンの合成に必要な酵素を活性化させる働きをもっています。つまり、コラーゲンの材料や産生能力があっても、体内に十分なビタミンCがなければコラーゲンを作ることはできません。
ビタミンCの1日の摂取量は、成人なら85~100mgが目安です(参照:日本人の食事摂取基準2025年版)。ビタミンCは主に緑黄色野菜や果物に多く含まれるので、これらの食べ物を積極的に摂りましょう。
2.グルコシルセラミド
グルコシルセラミドは、玄米やパイナップルなどに含まれる成分で、肌の水分量を保つ働きがあります。
グルコシルセラミドを摂取すると、皮膚でのセラミド産生が促進され、肌のバリア機能を改善する効果が期待できます。また、肌内部の構造が変化し、肌の水分が逃げにくくなります(*1)。
グルコシルセラミドは、特定保健用食品(トクホ)の成分としても認められており、さまざまな食品やサプリにも配合されています。以下の記事で詳しく紹介しているので、ご興味のある方は読んでみてくださいね。
3.ポリフェノール
ポリフェノールは、野菜や果物、緑茶、コーヒー、玄米などに含まれる成分です。ポリフェノールには、強い抗酸化力や血行を促進する作用があります。
ポリフェノールにも色々な種類があります。例えば、大豆に含まれるイソフラボンや、赤ワインに含まれるアントシアニン。お茶に含まれるカテキンもポリフェノールの一種です。
カシス由来のポリフェノールには、目元の血流を改善することで「くま」の色味を緩和する作用が報告されています(*2)。また、黒大豆由来のポリフェノールには、メラニン生成を抑制することで美白効果が期待できます(*3)。
4.食物繊維
腸内環境も、肌と密接にかかわっています。腸内環境が悪くなると、悪玉菌が生成した腐敗物質が血液に取り込まれ、肌荒れやニキビの原因になるといわれています。
腸内環境を整えるために役立つのが食物繊維です。食物繊維は善玉菌によって分解され、腸内環境を良好に保つ役割を果たします。便秘の改善にも役立ちますよ。
6.乳酸菌
乳酸菌も、腸内環境を整えて肌荒れ・ニキビなどを防ぐために役立ちます。
中でも、「プラズマ乳酸菌」はコラーゲン量の維持やアンチエイジングに役立つ可能性があることで注目されています(*4)。プラズマ乳酸菌には、免疫力を維持する作用もあるので、感染病予防にも役立ちます。
プラズマ乳酸菌については、以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせて読んでみてくださいね。
7.亜鉛
ミネラルの一種である亜鉛は、体内のさまざまな酵素の活性化にかかわります。なかには細胞の生まれ変わりやタンパク質合成に関与する酵素もあり、亜鉛の存在がないと十分に働くことができません。
亜鉛が不足すると細胞分裂が正常に行われず、皮膚炎や成長障害などが起こります。
また、亜鉛は抗酸化作用をもつSODという酵素の成分になり、体内で発生した活性酸素を除去する働きももっています。
美肌作りにおすすめの食べ物

美肌のために摂りたい栄養素・成分は、どのような食べ物に含まれるのでしょうか。美肌作りにおすすめの食べ物を紹介します。
1.緑黄色野菜
パプリカやピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜には、ビタミンC・ビタミンE・βカロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれています。また、野菜にはポリフェノールも含まれているため、抗酸化作用や血行促進作用が期待できます。
2.果物
果物には、ビタミンや食物繊維とともに、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。
中でも、カシスに含まれるアントシアニンは血行を促進し、くまを改善する効果が期待できます。
パイナップルはグルコシルセラミドが含まれるため、肌の保水力を高める効果が期待できます。また、パイナップルにはビタミンCも豊富に含まれていますよ。
3.アーモンドミルク
アーモンドミルクには、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれています。また、食物繊維も多く含まれるため、腸内環境を良好に保つためにも役立ちます。
4.納豆
納豆を食べると、皮膚の弾力性や水分量が増加することが報告されています(*5)。これには、大豆イソフラボンが関わっているのではないかと考えられています。
納豆に含まれる「スペルミジン」という成分には、細胞の自己修復作用であるオートファジーを促進する作用もあります(*6)。
5.玄米・黒米・赤米
玄米や黒米・赤米のように色のついたお米には、ポリフェノールが豊富に含まれています。また、食物繊維やビタミン・ミネラルも含まれています。白米に混ぜて炊くと、毎日の主食から美肌作りに役立ちますよ。
玄米には、肌の水分量を保つ「グルコシルセラミド」も含まれるので、肌の乾燥が気になる方にもおすすめです。
6.ヨーグルト
乳酸菌が豊富なヨーグルトは、腸内環境の改善に役立ちます。肌荒れやニキビが気になる方におすすめです。
オリゴ糖や食物線の豊富な食品と一緒に摂ると、より効果的ですよ。
美肌作りは毎日の食事から!

美肌のためには、抗酸化ビタミンやグルコシルセラミド、ポリフェノールなどを積極的に摂取しましょう。これらの栄養素・成分を含む食品を日頃から摂取することで、抗酸化作用により、生活習慣病を予防する効果も期待できます。
毎日のスキンケアとともに、食事で美しい肌の土台を作りましょう!
参考文献
*1 川田実生,浅沼成人「食事性グルコシルセラミドによる皮膚バリア機能の改善と大腸炎の緩和・抑制」
*2 松本均「カシスポリフェノール経口摂取のくまに対する改善効果」
*3 難波文男「黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用と血流改善効果」
*4 藤原大介「ウイルス感染防御機能を司るプラズマサイトイド樹状細胞を活性化する乳酸菌の研究開発」
*5 赤田圭司「納豆の機能性 ー納豆と皮膚の関係ー」
*6 吉森保『生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム』講談社,2022