妊娠中はカフェインの摂取量を控えることが推奨されており、多くの妊婦さんが実践していると思います。しかし、そもそも妊娠中のカフェインはなぜダメなのでしょうか。この記事では、妊娠中にカフェインを控えるべき理由と、カフェイン摂取による胎児・母体への影響について解説します。妊娠中のカフェイン摂取量の目安や、コーヒー・お茶などに含まれるカフェインの量も併せて紹介するので参考にしてみてくださいね。
妊娠中のカフェイン摂取による影響

英国食品基準庁によると、妊娠中にカフェインを過剰摂取すると出生時に赤ちゃんが低体重となる可能性があります(*1)。低体重出生児は、将来的に生活習慣病にかかりやすいなど、健康リスクが上がるといわれています。
また、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こすこともあると報告されています(*1)。
一方、WHOはカフェインが胎児へ及ぼす影響はまだ未確定だとしていますが、妊娠中のカフェイン摂取を控えるように呼びかけています。
なお、妊娠中かどうかにかかわらず、カフェインを摂り過ぎると心拍数の増加、興奮や不安、不眠症、胃痛などの症状が出ることがあります。カフェインの過剰摂取に注意が必要なことは確かですね。
【各国の対応】妊娠中のカフェイン摂取量の上限は?

日本では、妊娠・授乳中のカフェイン摂取量の上限は決められていません。しかし、厚生労働省は、WHOや英国食品基準庁などが発表しているカフェイン摂取の上限量を参考にするよう推奨しています。
各国で推奨されている妊娠中の1日のカフェイン摂取量を、下の表にまとめました。
機関名 | カフェイン摂取量の上限 | 飲料換算 |
世界保健機関(WHO) | 300mg | コーヒー2~3杯程度 |
英国食品基準庁 | 200mg | コーヒー2杯程度 |
カナダ保健省 | 300mg | コーヒー2~3杯程度 |
カフェインが体に与える影響は個人差が大きく、健康に悪影響が出ない「一日当たりの摂取許容量」を決めることが難しいといわれています。そのため、はっきりとした上限量はありませんが、妊娠・授乳中はカフェイン摂取量が200mg(コーヒー2杯程度)を超えないようにしましょう。
なお、英国食品基準庁は下のようなメッセージを発信しています。
Everyone wants the best for their baby. Limiting daily caffeine intake is one way which you can ensure your baby has the best start in life.
https://webarchive.nationalarchives.gov.uk/ukgwa/20120403152025/http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2008/nov/caffeinenov08
誰もが自分の赤ちゃんのために最高のものを望んでいます。毎日のカフェイン摂取量を制限することは、赤ちゃんが人生で最高のスタートを切ることを確実にすることができる1つの方法です。
「妊娠中でも気にせずにカフェインを摂取していた」という母親も多いようですが、妊娠中のカフェイン摂取がなぜダメなのかを理解し、赤ちゃんのためになる行動を選択しましょう。
いつからいつまで?カフェインを控える期間

カフェインは、できれば妊活中から卒乳まで控えましょう。
まだ未確定ではあるものの、カフェインの過剰摂取により、自然流産のリスクが高まる可能性があります(*1)。そのため、妊娠を希望している女性は、カフェインの摂取量が200mg未満になるよう調整することをおすすめします。
また、授乳中に摂取したカフェインは、母乳を通して赤ちゃんへ移行します。カフェインを過剰摂取すると、赤ちゃんにイライラ・寝付きの悪さ・神経過敏などが認められると報告されています(*3)。
カフェイン300mg(コーヒー2~3杯程度)であれば問題はないとされていますが(*3)、赤ちゃんに異常がみられた場合は医師に相談し、カフェインを抑えるなどの策を講じてくださいね。
特に早産児や新生児では、カフェインの分解能が未熟で影響を受けやすいため、なるべく母親のカフェイン摂取量を減らしましょう。
飲み物・食べ物に含まれるカフェインの量

コーヒーや紅茶などには、どのくらいの量のカフェインが含まれているのでしょうか。下の表に飲み物に含まれるカフェイン量をまとめたので、参考にしてくださいね。
食品 | カフェイン含有量 |
---|---|
コーヒー | 60 mg/100 mL |
インスタントコーヒー | 80 mg/2 g(スプーン1杯) |
紅茶(浸出液) | 30 mg/100 mL |
せん茶(浸出液) | 20 mg/100 mL |
ほうじ茶(浸出液) | 20 mg/100 mL |
玉露(浸出液) | 160 mg/100 mL |
ウーロン茶(浸出液) | 20 mg/100 mL |
玄米茶(浸出液) | 10 mg/100 mL |
抹茶(粉末) | 32 mg/1 g |
コーラ | 10 mg/100 mL |
エナジードリンク | 32~300 mg/100 mL |
コーヒーや紅茶のほか、カフェインは煎茶やウーロン茶などにも含まれています。特に、玉露や粉末抹茶はカフェイン含有量が多いので飲み過ぎに注意しましょう。
また、エナジードリンクや眠気覚まし飲料などには、カフェインが多く添加されています。製品ごとにカフェイン含有量が異なるので、必ず確認しましょう。
妊娠・授乳中はカフェインの摂取量に注意

カフェインには目を覚ます効果や抗がん作用などもありますが、過剰に摂取すると健康へ悪影響を与える場合もあります。特に妊娠・授乳中は赤ちゃんへのリスクを低減するために、カフェインの摂取量を適正に抑えましょう。
コーヒーや紅茶が好きな方には辛いかもしれませんが、カフェインレスコーヒーなどを活用して、なるべくストレスを溜めずにマタニティライフを送ってくださいね。
Writer:永田ゆかり
フードスペシャリスト
カフェインは、体内の抑制系物質と類似した構造をもつため、この物質が結合する場所にカフェインが代わりに結合して本来の作用を奪います。そのため、神経が興奮し、眠気が覚めたり集中力が上がったりする作用が現れるのです。適量であれば良い方向に働きますが、過剰摂取によりめまい・動悸・不眠などが起こることも。特に妊娠・授乳中や子どもは影響を受けやすいので、摂取量には十分注意してくださいね。
参考文献
*1 英国食品基準庁,Pregnant women advised to limit caffeine consumption
*2 WHO 「WHO recommendations on antenatal care for a positive pregnancy experience」
*3 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
*4厚生労働省,食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
*5 コカコーラ,https://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=19113
*6 日本食品成分表2020年版