近年、さまざまな食品に含まれている「プラズマ乳酸菌」。プラズマ乳酸菌は、普通の乳酸菌とは働きや効果が違うのでしょうか。この記事では、プラズマ乳酸菌の特徴・効果について解説します。プラズマ乳酸菌が含まれる食品も紹介するので、食生活に取り入れてみてくださいね。
プラズマ乳酸菌とは?発見したのは日本人?
乳酸菌はヨーグルトやチーズなどに含まれ、腸内環境の改善に役立つことが知られています。乳酸菌とは、特定の働きをもつ細菌の総称で、数百種類の菌株が存在します。
プラズマ乳酸菌もその中の1つ。正式には、「Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805株」という種類です。このプラズマ乳酸菌は、健康な人の免疫力の維持に役立つことが報告されています。
プラズマ乳酸菌が発見されたのは2010年のこと。発見者は、キリンホールディングス株式会社の藤原大介さんという方です。この2年後には論文が発表され、プラズマ乳酸菌の存在が広く知られるようになりました。
さらに、2012年には小岩井乳業から「プラズマ乳酸菌ヨーグルト」が発売、2017年には新ブランド「iMUSE」が誕生しました。
2020年には「機能性表示食品」として販売することが許可。この年の新型コロナウイルス感染拡大を受けて免疫機能への関心が高まったこともあり、プラズマ乳酸菌を含むiMUSEシリーズが大ヒットしたのです。
なぜ免疫をサポートする?プラズマ乳酸菌の働き
ところで、プラズマ乳酸菌は他の乳酸菌と何が違うのでしょうか。
これまでも、ある種の乳酸菌にも免疫調節にかかわる作用があることは知られていました。これは、主に「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」を活性化させる働きによるものです。
免疫機能にかかわる細胞は、NK細胞だけでなく、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、B細胞などがあります。そして、これらの免疫細胞の司令塔となるのが「樹状細胞」です。
この免疫の司令塔である樹状細胞(pDC)を活性化させるのが、プラズマ乳酸菌です。
プラズマ乳酸菌は、pDCに働きかけることで、免疫細胞全体を活性化させることができます。
ちなみに、この免疫の司令塔であるpDCは「プラズマサイトイド樹状細胞」といいます。これを活性化させることから、「プラズマ乳酸菌」と命名されました。
プラズマ乳酸菌にpDCを活性化させる機能が見付かったというより、pDCを活性化させる乳酸菌を探してプラズマ乳酸菌が発見されたという流れですね。
プラズマ乳酸菌はどれくらいで効果が出る?
プラズマ乳酸菌を2週間以上続けて摂取すると、免疫の司令塔「pDC」が活性化されることが報告されています(*1)。
プラズマ乳酸菌は続けて摂取することがポイント
免疫機能の維持をサポートするためには、少なくとも2週間以上プラズマ乳酸菌を摂取することがポイント。
上で紹介した研究のほかにも、70日間プラズマ乳酸菌を摂取することによって、風邪・インフルエンザの自覚症状が軽減されたという報告もあります(*2)。
プラズマ乳酸菌の摂取をやめるとpDCの活性はゆるやかに低下するため、免疫機能を維持するためには、プラズマ乳酸菌の摂取を続けることが大切です。
美肌効果も?プラズマ乳酸菌の新たな可能性
プラズマ乳酸菌は、免疫機能の維持のほかにも、皮膚のバリア機能を改善する効果をもつ可能性が示唆されています(*4)。
動物実験においては、プラズマ乳酸菌の摂取によってアンチエイジング効果がみられ、肌のコラーゲン量も維持されました(*5)。
これらの機能については研究段階ですが、プラズマ乳酸菌の新たな可能性に期待が膨らみますね。
プラズマ乳酸菌が含まれる食品は?
プラズマ乳酸菌は、キリングループから販売されるさまざまな商品に含まれています。毎日手軽に美味しくプラズマ乳酸菌を摂取できる食品を紹介しますね。
1.キリン iMUSE 飲料
キリンiMUSEは、ヨーグルトやレモンの爽やかな風味が楽しめる飲料です。甘さ控えめタイプや、水と同じ感覚で飲める無糖タイプもあります。
iMUSEには、1本あたり1,000億個のプラズマ乳酸菌が含まれています。日頃の水分補給のついでに、プラズマ乳酸菌を摂取することができますよ。
2.キリン iMUSE 免疫ケアサプリメント
こちらは、習慣的にプラズマ乳酸菌を摂取したい方におすすめのサプリメント。4粒あたりに1,000億個のプラズマ乳酸菌が含まれています。
プラズマ乳酸菌だけでなく、善玉菌のエサになるオリゴ糖も含まれているので、腸内環境を整えるために役立ちます。
iMUSEのサプリメントは、以下のようなプラスアルファの作用を加えたさまざまな種類があります。
・内臓脂肪ダウン
・良眠
・筋力サポート
免疫ケアと一緒に、気になる悩みにアプローチできるのは嬉しいですね。
3.小岩井 免疫ケアヨーグルト
小岩井乳業も、キリンとともにプラズマ乳酸菌の研究・開発を行っています。
小岩井の免疫ケアヨーグルトは、甘さすっきり・低脂肪・砂糖不使用の3タイプがあり、飲むヨーグルトも販売されています。また、ヨーグルトは100gの食べきりサイズと、400gの大容量タイプも。
100gあたりプラズマ乳酸菌1,000億個が含まれます。1日100gを目安に食べましょう。
4.キリン おいしい免疫ケア
こちらは、スッキリした甘味と酸味が楽しめるドリンクです。睡眠の質を向上させるGABAが含まれるタイプや、低カロリータイプもあります。
1本あたり、プラズマ乳酸菌1,000億個を配合。1日1本を目安に摂取すると、免疫機能の維持に役立ちます。
5.キリン 生茶 からだ晴れ茶
キリンの大人気商品「生茶」にも、プラズマ乳酸菌の含まれるタイプがあります。
生茶のやさしい甘味とスッキリした風味はそのまま、違和感なくプラズマ乳酸菌が摂取できます。こちらも、1本あたりに1,000億個のプラズマ乳酸菌が配合。毎日の水分補給として、1日1本を目安に飲みましょう。
プラズマ乳酸菌のまとめ
プラズマ乳酸菌は、免疫細胞の司令塔である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化させるため、免疫細胞全体を活性化させます。1日あたり1,000億個のプラズマ乳酸菌を2週間以上続けて摂取することで、健康な人の免疫機能を維持する効果が期待できます。
プラズマ乳酸菌は、キリングループから販売される免疫ケアシリーズに含まれています。ヨーグルトや飲料、サプリメントなどのさまざまな商品が販売されているので、気になるものがあれば試してみてくださいね。
参考文献
*1 Yuta Komano et al. 「Efficacy of heat-killed Lactococcus lactis JCM 5805 on immunity and fatigue during consecutive high intensity exercise in male athletes: a randomized, placebo-controlled, double-blinded trial」2018
*2 キリン「感染症に対する効果」
*3 キリン「プラズマ乳酸菌 免疫ケアブランドサイト」
*4 キリン株式会社 健康技術研究所 小久保健「乳酸菌 Lactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)の機能性開発」
*5 藤原大介「ウイルス感染防御機能を司るプラズマサイトイド樹状細胞を活性化する乳酸菌の研究開発」