栄養機能食品とは?機能性表示食品・トクホとの違いを解説!

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近年は、健康維持に役立つ食品が多く販売されています。トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品など、名称もさまざまで少し分かりにくいですよね。この記事では、栄養機能食品について分かりやすく解説します。トクホや機能性表示食品との違い、サプリメントなどの一般食品との違いも理解できるようになりますよ。

栄養機能食品とは

栄養機能食品とは、ビタミンやミネラルなどの栄養成分を含む食品です。

これらの栄養成分は、健康の維持・身体の健全な発育に必要なものです。しかし、食生活の乱れや体調不良などにより、必要な量を摂取できないこともありますよね。このような場合に、不足しがちな栄養成分を補給するために利用するのが栄養機能食品です。

栄養機能食品は、特定の栄養成分を含み、その機能を表示して販売することが許可されています。

栄養成分ごとに表示できる機能は国によって決められており、1日あたりの摂取量に含まれる栄養成分の上限・下限量にも基準があります。

例えば、ビタミンCを含む食品の場合、以下のように基準が決められています。

栄養成分栄養成分の機能下限値上限値
ビタミンCビタミンCは、
皮膚や粘膜の健康維持を

助けるとともに、抗酸化

作用を持つ栄養素です。
30mg1,000mg
出典:消費者庁「知っていますか?栄養機能食品」

栄養機能食品は機能性表示食品・トクホと何が違う?

栄養機能食品とよく似た食品として、「機能性表示食品」や「特定保健用食品(トクホ)」もあります。これらとの違いは何でしょうか。

機能性表示食品との違い

機能性表示食品とは、販売者の責任において、その食品に含まれる成分の機能を表示して販売される食品のことです。栄養機能食品ではビタミン・ミネラル・n-3系脂肪酸に限られますが、機能性表示食品ではより多様な成分が使用されます。

例えば、ストレス軽減に役立つ「GABA」、免疫機能の維持にかかわる「プラズマ乳酸菌」、食後の血糖値や中性脂肪値の上昇を抑える「食物繊維」なども、機能性表示食品に使用することができます。

栄養機能食品は、成分の機能について国が決めた定型文を使用しますが、機能性表示食品では特に決められていません。

例えば、n-3系脂肪酸は、栄養機能食品と機能性表示食品の両方に使用されますが、栄養機能食品では「皮膚の健康維持を助ける」という旨の定型文しか使用できません。一方、機能性表示食品では「血中中性脂肪を減らす」「記憶力を維持する」などの表示もできます。

機能性表示食品は、関与成分の安全性や機能性について科学的根拠を示し、消費者庁へ届出することで販売ができます。一方、栄養機能食品はすでに機能がよく知られたビタミン・ミネラルなどを使用するため、基準量さえ含んでいれば届出の必要はありません。

 栄養機能食品  機能性表示食品 
栄養成分ビタミン
ミネラル
n-3系脂肪酸
食物繊維
GABA
乳酸菌
カテキン
DHA・EPA
など
栄養成分の
機能表示
定型文自由文
(ヘルスクレーム)
消費者庁への
届出
不要必要

特定保健用食品(トクホ)との違い

特定保健用食品(トクホ)も、健康の維持・増進などに役立つ成分を含み、期待できる効果を表示して販売される食品です。

栄養機能食品・機能性表示食品との決定的な違いは、トクホとして販売するためには国の個別審査を受ける必要があること。

栄養機能食品・機能性表示食品は、成分の基準を満たすか、安全性・機能性の根拠を示せば販売することができますが、トクホでは最終的な製品による臨床試験を行い、安全性と効果を立証しなくてはいけません

そのため、トクホは開発・販売に多大な時間や費用がかかり、商品の価格も高くなります。

トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品は3つとも「保健機能食品」に分類されていますが、このなかではトクホとして販売するのが最も厳しいといえます。トクホでは、おなじみの「トクホマーク」が付けられるのも特徴ですね。

トクホ栄養機能食品・
機能性表示食品
国の
個別審査
必要不要
最終製品での
臨床試験
必要不要
(行う場合もある)
許可マーク トクホマーク なし

トクホと機能性表示食品の違いは、
↓こちらの記事で詳しく解説しています。

栄養補助食品・サプリメントとの違いは?

栄養機能食品と紛らわしいのは、機能性表示食品やトクホだけではありません。「栄養補助食品」や「サプリメント」との違いもいまいち分かりにくいですよね。

栄養補助食品やサプリメントは、「いわゆる健康食品」と呼ばれています。栄養機能食品が「保健機能食品」に分類されるのに対して、栄養補助食品・サプリメントは「一般食品」です。

一般食品は、食品の持つ効果や機能を表示して販売することはできません。また、国による制度・定義もありません。

ただし、サプリメントのうち、ビタミン・ミネラル・n-3系脂肪酸が規格基準を満たしていれば栄養機能食品として認められます。

分類保健機能食品 いわゆる健康食品 
トクホ
栄養機能食品
機能性表示食品
栄養補助食品
栄養強化食品
健康補助食品
サプリメント
など
特徴国による制度・定義あり
機能の表示ができる
制度・定義なし
機能の表示はできない

栄養機能食品の成分・機能一覧

栄養機能食品に使用できる成分は、
ミネラル 6種類
・ビタミン 13種類
・n-3系脂肪酸
の全20種類です(2024年5月現在)

それぞれ表示できる機能とともに、1日あたりの摂取量に含まれる量の基準値も決められています。

栄養成分機能*基準値
n-3系脂肪酸皮膚の健康維持を助ける0.6~
2.0g
亜鉛・味覚を正常に保つ
・皮膚や粘膜の健康維持を助ける
・たんぱく質・核酸の代謝に
 関与して健康の維持に役立つ
2.64~
15mg
カリウム正常な血圧を保つ840~
2,800mg
カルシウム骨や歯の形成に必要204~
600mg
赤血球を作るのに必要2.04~
10mg
・赤血球の形成を助ける
・多くの体内酵素の正常な働きと
 骨の形成を助ける
0.27~
6.0mg
マグネシウム・骨や歯の形成に必要
・多くの体内酵素の正常な働きと
 エネルギー産生を助けるとともに
 血液循環を正常に保つのに必要
96~
300mg
ビタミンA・夜間の視力の維持を助ける
・皮膚や粘膜の健康維持を助ける
231~
600μg
ビタミンD腸管での
カルシウムの吸収を促進し、
骨の形成を助ける
1.65~
5.0μg
ビタミンE抗酸化作用により、
体内の脂質を酸化から守り、
細胞の健康維持を助ける
1.89~
150mg
ビタミンK正常な血液凝固能を維持する45~
150μg
ビタミンB1炭水化物からのエネルギー産生と
皮膚や粘膜の健康維持を助ける
0.36~
25mg
ビタミンB2皮膚や粘膜の健康維持を助ける0.42~
12mg
ビタミンB6たんぱく質からの
エネルギーの産生と
皮膚や粘膜の健康維持を助ける
0.39~
10mg
ナイアシン皮膚や粘膜の健康維持を助ける3.9~
60mg
パントテン酸皮膚や粘膜の健康維持を助ける1.44~
30mg
ビオチン皮膚や粘膜の健康維持を助ける15~
500μg
葉酸・赤血球の形成を助ける
・胎児の正常な発育に寄与する
72~
200μg
ビタミンB12赤血球の形成を助ける0.72~
60μg
ビタミンC皮膚や粘膜の
健康維持を助けるとともに、
抗酸化作用を持つ
30~
1,000mg
*栄養成分の機能は定型文ですが、ここでは省略しています

どんなものがある?栄養機能食品の例

栄養機能食品は、サプリメントのような錠剤に限らず、ジュースやお菓子などさまざまな食品として販売されています。ここでは、栄養機能食品にはどのような種類があるのか、一例を紹介します。

1.バランスパワー ビッグ

バランスパワーは、さまざまな栄養素を効率よく摂れるショートブレッドタイプの栄養機能食品です。「北海道バター」や「カカオブラウニー」「スイートポテト」など、さまざまな味があります。

栄養成分として基準を満たしているのはカルシウムと鉄ですが、ビタミンB1・B2・B6など8種類のビタミンや食物繊維も含まれています。

忙しくて食事がとれないとき、食欲がないときなどに適した食品です。

2.キレートレモン Cウォーター

こちらは、1本あたりビタミンCを100~357mg含むジュース。1日のビタミンCの推奨摂取量は100mgなので、1本で1日分を補給することができます。

クエン酸や食塩も含まれているので、運動時の水分補給、熱中症対策にも適しています。

3.UHA グミサプリ

こちらは、UHA味覚糖から販売されているグミのサプリ。手軽に栄養素が補給できる人気シリーズです。

亜鉛や鉄、ビタミンC、マルチビタミンなど、さまざまな種類があります。おやつ感覚で足りない栄養素を補える食品です。

栄養機能食品を摂取する際の注意点

栄養機能食品は、あくまでも栄養成分が不足する場合の補給を目的として摂取するものです。栄養素は食事から摂取することを基本として、摂りきれない分をサポートするために活用しましょう。

また、たくさん摂取することにより病気が治ったり、健康が増進したりするわけではありません。パッケージなどに表示されている1日の摂取量の目安を必ず守りましょう。

成分によっては、過剰症があるものや、子どもや疾病のある方は摂取を避けたほうが良いものもあります。以下の成分については、特に注意してくださいね。

栄養成分過剰摂取による影響・注意点など
亜鉛銅の吸収を阻害する可能性がある
乳幼児・小児は摂取を避ける
カリウム腎機能が低下している方は摂取を避ける
乳幼児・小児は摂取を避ける
マグネシウム多量に摂取すると下痢になることがある
乳幼児・小児は摂取を避ける
ビタミンA妊娠3か月以内または妊娠を希望する女性
過剰摂取にならないよう注意する
ビタミンK血液凝固阻止薬を服用している方
摂取を避ける
葉酸多量摂取により
胎児の発育がよくなるものではない

まとめ

栄養機能食品は、健康の維持・身体の健全な発育などに必要な栄養成分が不足しがちな場合、その成分を補うことを目的に利用する食品です。

認められている栄養成分は、n-3系脂肪酸・ミネラル6種類・ビタミン13種類の20種類。トクホや機能性表示食品とは違い、上記の成分を一定の基準量含んでさえいれば、個別審査や届出の必要はありません。

栄養機能食品はサプリメントだけでなく、ジュースやお菓子など、さまざまな食品があります。バランスの良い食事がとれないときや体調がすぐれないとき、食欲がないときなどに栄養機能食品を活用しましょう。

栄養機能食品は、疾病の治癒を目的としたものではありません。また、多量摂取することによりかえって健康を害する場合もあります。パッケージなどに表示された1日あたりの摂取量の目安を守り、適量摂取を心がけましょう。

Written by Yukari

かつて、健康への効果がない食品やサプリメントを「健康食品」として売りつける商法がよくみられました。それによる健康被害が多発したことから、食品成分の機能とその表記を認可する「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」の制度が誕生し、「いわゆる健康食品」と区別するようになりました。2015年には「機能性表示食品」も加わり、これらの保健機能食品は年々種類が増えています。スーパーやコンビニなどで、どのような保健機能食品があるか探してみるのも楽しいですよ。

脚注・参考文献
*1 消費者庁「知っていますか?栄養機能食品」
*2 消費者庁「栄養機能食品について」

*3 厚生労働省「健康食品やサプリメントの名称について」
*4 森田英利・田辺創一『わかりやすい食品機能学』第2版, 三共出版, 2021

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