七草粥を食べる理由とは?春の七草の栄養素&効能も紹介!

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お正月を過ぎたころから、スーパーに並び始める”春の七草”。今回は、七草粥を食べる理由や歴史などを紹介します。春の七草それぞれの栄養素・効果についても紹介するので、七草粥を食べるときの参考にしてみてくださいね。

七草粥を食べる理由

七草粥を食べる理由には、
邪気を払い無病息災を祈るため
・冬に不足する青菜類を摂取するため
・お正月のご馳走で疲れた胃腸を休めるため
などがあります。

七草粥は、邪気を払い、無病息災・健康長寿を祈る行事食として古くから親しまれていました。また、昔は冬に青菜類が採れず、不足するビタミンなどの栄養素を補う意味もあったようです。

そのほか、お正月は豪華な料理を食べたりお酒を飲んだりすることが多いため、疲れた胃腸を休めてあげよう、という理由もあります。

七草粥メモ01:お粥が胃腸に優しい理由
弱った内臓には、①エネルギーを摂れるもの、②温かいもの、③水分を摂れるものが良いとされています。お米を煮て作るお粥はすべてが揃い、胃腸の調子が優れないときの食事に適しています。また、炭水化物は脂質やたんぱく質に比べて胃での滞留時間が短く、2~3時間で消化されることも胃腸に優しいと言われる理由のひとつです。

七草粥の歴史

七草粥は平安時代に中国から日本へ伝わり、江戸時代から一般に広まったと言われています。

なお、平安時代は七種類の穀類を入れたお粥を食べていて、鎌倉時代から七草粥を作るようになったようです。

七草粥メモ02:平安時代の七草粥
平安時代は、米・粟・きび・ひえ・みの・胡麻・あずきの7種類の穀物を入れた「七種粥」を食べていたという説が一般的です。一方で、当時から新春に若菜を摘む風習はあったことが光孝天皇の有名な詩から読み取れます。「君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ」。この歌は、冷たい雪に袖を濡らしながらも相手のために若菜を摘む様子が書かれています。「若菜摘み」の慣習は日本に古くからあり、中国から伝わった文化と混ざって七草粥が誕生したとも言われています。

七草粥はいつ食べる?

七草粥は、毎年1月7日の朝に食べます。この日は「人日の節句」「七草の節句」と呼ばれ、端午や七夕と並ぶ五節句のひとつです。

1月7日の朝に七草粥を食べることで、1年間病気をせず元気に過ごすことができると古くから信じられていました。

言い伝えでは、人日の前日である1月6日の夜に「七草なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先に…」などのはやし言葉を唱えながら七草を刻み、7日の朝にお粥に加えていたようです。

七草粥メモ03:人日とは
中国では古くから1月1日を「鶏の日」、2日を「いぬの日」、3日を「家猪(ぶた)の日」、4日を「羊の日」、5日を「うしの日」、6日を「うまの日」として、それぞれの日にその動物を大切に扱ってきました。そして1月7日は「人の日」として、その日は犯罪者への刑罰も行わなかったようです。人日には七草を入れたあつもの(汁物)を飲む習慣があり、これが日本に伝わり、七草粥になったと言われています。

春の七草の種類と栄養素・効能

七草粥に入れる「春の七草」は、
・芹(セリ)
・薺(ナズナ)
・御形(オギョウ・ゴギョウ)
・繁縷(ハコベラ)
・仏の座(ホトケノザ)
・菘(スズナ)
・蘿蔔(スズシロ)

の7種類です。

ここからは、春の七草それぞれの栄養素・効能などを紹介しますね。

1. 芹(セリ)

セリは、「競り勝つ」を意味することから縁起物として扱われています。

セリには、ビタミンAや葉酸、カリウム、食物繊維などが豊富に含まれています。むくみの軽減や便秘解消のほか、神経痛、痛風、リウマチに効果があると言われています。

2. 薺(ナズナ)

ナズナは、ペンペン草のことです。「撫でて汚れを取り除く」の意味があり、邪気を払ってくれると言い伝えられています。

ナズナは天日で乾燥させ、お茶にして飲まれることもあります。高血圧や動脈硬化の予防、利尿、便秘解消などに効果的です。

3. 御形(オギョウ・ゴギョウ)

御形を「みかた」と読むと仏像や神体をあらわす言葉になるため、縁起が良いとされています。

ゴギョウを天日で乾燥させたものは生薬として用いられ、咳や痰を抑える働きがあります。また、利尿作用があり、むくみの軽減にも効果的です。

4. 繁縷(ハコベラ)

ハコベラはハコベとも言い、 葉がたくさん出ることから繁栄の象徴とされています。また、その名前にかけて「繁栄がはびこる」ことも意味しています。

ハコベラは古くから産後の浄血薬や胃腸薬として用いられてきました。そのほか、ハコベラの搾り汁や粉末に塩をまぜ、歯磨き粉のよつに使っていたようです。

5. 仏の座(ホトケノザ)

ホトケノザは、名前の通り「仏様の台座」を表しています。 ホトケノザには、胃腸の働きを整える作用があります。

なお、道ばたで紫色の花をつけて咲く「ホトケノザ」は同じ名前ですが、まったく別の植物です。毒ではありませんが、食用には向かないので注意して下さいね。

6. 菘(スズナ)

スズナはカブの別名で、「神様を呼ぶ鈴」を意味しています。

スズナは特に葉の部分に栄養素が多く、ビタミンA、E、K、葉酸、カルシウムなどが豊富に含まれています。

また、葉と根の両方にカリウムが多いので、むくみの解消に効果的です。お正月は煮物やお雑煮などで塩分を多く摂りがちなので、カリウムの多いスズナで過剰なナトリウムや水分を排出しましょう。

7. 蘿蔔(スズシロ)

スズシロは、大根の昔の呼び名です。 スズシロは「清白」とも書き、「汚れのない白さ」を表しています。

スズシロは消化酵素を多く含み、胃腸の負担を軽減してくれます。また、スズナと同じく葉の部分にビタミンが多く含まれるため、七草粥に使う際は葉まで丸ごと使いましょう。

七草粥で1年間の健康を祈ろう!

今回は、七草粥を食べる理由や歴史、期待できる効能などを紹介させていただきました。七草粥は、伝え続けていきたい日本の伝統行事のひとつですね。

最近はスーパーで「春の七草セット」が簡単に手に入るので、今まで七草粥を食べたことがない方も今年は作ってみてはいかがでしょうか。

参考文献
新谷尚紀監修『和のしきたり 日本の暦と年中行事』日本文芸社, 2007
新谷尚紀監修『日本の伝統をもっとよく知ろう 日本人の暮らし大発見!5 日本人の心』学研,2003
冷泉為人著『五節供の楽しみ 七草・雛祭・端午・七夕・重陽』淡交社,1996
旬の食材百科, FoodsLink.jp
日本食品成分表2020年版

Written by Yukari

七草粥のように、日本の伝統的な食文化を未来へ繋いでいきたいですね。七草粥は、行事としても、栄養的にも理にかなった素晴らしい文化だと思います。この記事を読んで、今まで興味のなかった方も「七草粥を食べてみよう」と思っていただけたら幸いです!

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