肉が硬くなる原因は?肉を柔らかくする8つのコツ!

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肉を調理した際に、硬さやパサつきが気になることはありませんか?特に、安い肉や脂身が少ない部位はジューシーに仕上げることが難しいですよね。そこで今回は、肉が硬くなってしまう原因とともに、硬くなるのを防ぐ方法を紹介します。部位ごとの特徴もあわせて紹介するので、参考にしてみてくださいね。

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肉が硬くなるのはなぜ?

生の肉は柔らかいのに、加熱すると硬くなりますよね。これは、主に肉に含まれるタンパク質の性質が原因です。

タンパク質は加熱すると凝固・収縮する性質があります。タンパク質の種類にもよりますが、だいたい45~60℃程度で凝固が始まります。

また、加熱すると肉から水分が抜けるのも硬くなる原因の1つ。水分が抜けるとパサパサした食感になるため、美味しさも半減してしまいます。

このように、肉が硬くなるのはタンパク質の性質と水分が原因。とはいえ、加熱せずに肉を食べたら食中毒になってしまいますよね。そこで、加熱による影響をなるべく抑えることが、肉を柔らかく仕上げるポイントになります。

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安い肉もジューシーに!肉が硬くなるのを防ぐ方法

肉が硬くなるのを防ぐポイントは、
・タンパク質の凝固を抑制すること
・肉に含まれる水分を保持すること

の2つです。

そのために、調味料や食材を上手に活用したり、調理法を工夫したりしましょう。肉を柔らかくする方法を、いくつか紹介します。

①肉を叩く・切り込みを入れる
②直前に塩をふる
③砂糖をふる
④調味料につけ込む
⑤フルーツや生姜を使う
⑥玉ネギやニンニクを使う
⑦しらたき・こんにゃくは下茹でする(すき焼きなど)
⑧モモ・スネ・バラ肉は長時間煮込む

それでは、それぞれ詳しく紹介しますね。

1.肉を叩く・切り込みを入れる

タンパク質が多く含まれる肉の線維は、加熱するとギュッと収縮します。この収縮を防ぐためには、肉の線維を断ち切るように切り込みを入れるか、肉全体を包丁の背などで叩くのが効果的。

特にステーキや豚カツ、生姜焼きなどは、加熱前に切り込みを入れると反り返りを防ぐことができます。すね肉のように硬い部位は、ミンチにするのもおすすめ。

2.直前に塩をふる

塩は、肉の水分を保持してジューシーに仕上げる働きがあります。

塩をふるタイミングが重要で、あまり早くふりすぎると今度は脱水が促進されてしまうため、加熱する直前にふりましょう。

コラム:肉と魚では塩をふるタイミングが違う
肉は加熱直前に塩をふるのがコツですが、魚の場合は焼く5~10分前に塩をふることがあります。魚の場合は、臭みが強いためです。塩には脱水作用があり、水と一緒に魚の臭み成分を引き出してくれます。とはいえ、魚も長時間塩をかけておくと水分が抜けてパサパサになってしまうのでほどほどに。

3.砂糖をふる・もみこむ

砂糖には、加熱によるタンパク質の凝固を遅らせる作用があります。すき焼きを作るとき、肉に砂糖をふりかけて焼くことがあります。これは、砂糖の作用を利用して肉を柔らかく仕上げるコツだったんです。

砂糖は肉内部の水分と結合するため、ふっくらジューシーに仕上げる効果もありますよ。

4.調味料につけ込む

醤油・酢・味噌・料理酒・ワインなどの調味料は、肉の水分を保持して柔らかく仕上げる効果があります。

これらの調味料はすべて酸性を示し、タンパク質は酸性で保水性が増す性質をもちます。そのため、レモンのように酸っぱい果物も効果的。

5.フルーツや生姜を使う

フルーツや生姜には、タンパク質を分解する酵素が含まれています。タンパク質を細かく分解することで、加熱による収縮・凝固を防いでくれます。

肉を柔らかくする効果が高いといわれているのは、キウイ・パイナップル・梨・パパイヤなどです。これらを搾ったり、すりおろしたりして、肉を漬けておきましょう。漬け込む時間は長いほど柔らかくなりますが、最も美味しいとされるのは20分程度です(*1)

ちなみに、「分解」といってもタンパク質が消えてしまうわけではなく、栄養価も変わらないので安心してくださいね。むしろ、効率よく消化・吸収できるので、胃腸機能が弱まっている方にもおすすめの方法です。

↓タンパク質分解酵素が含まれる下味調味料もありますよ。

6.玉ネギやニンニクを使う

玉ネギやニンニクに含まれる成分は、筋肉どうしの結合を防ぐ働きがあります。玉ネギやにんにくをすりおろし、調味料とともに加熱前の肉を漬けておくと、柔らかくジューシーに仕上がります。

7.しらたき・こんにゃくは下茹でする

すき焼きや鍋の場合、しらたきやこんにゃくを肉と一緒に加熱することもありますよね。こんにゃくやしらたきに含まれるカルシウムイオンは、肉のタンパク質を硬くするといわれています。

しらたきやこんにゃくは、あらかじめ茹でてカルシウムイオンを抜いておきましょう。

8.モモ・スネ・バラ肉は長時間煮込む

モモ・スネ・バラ肉には、タンパク質の一種であるコラーゲンが多く含まれています。コラーゲンは加熱すると一度は硬くなりますが、長時間煮込むと柔らかくなる特徴があります。

このとき、加熱温度を65℃以上にすることがポイント。ふつふつと煮立つ程度の温度を維持し(80~90℃前後)、1~3時間ほど煮込みましょう。圧力鍋を使う場合は、30分~1時間程度でOKです。

そして、もうひとつのポイントがどんな肉でも煮込めば柔らかくなるわけではないということ。長時間煮込んで柔らかくなるタンパク質はコラーゲンだけなので、そもそもコラーゲンの少ない部位には意味がありません。ヒレやロースのようにコラーゲンが少なく柔らかい部位は、長時間煮込むことで肉汁が流失してしまい、かえって美味しさが失われてしまいます。

ちなみに、スネ肉やモモ肉などを煮込む際は、赤ワイン・酢・醤油などの酸性の調味料を加えるとコラーゲンの分解が促進されます。また、煮込む前に肉を焼いて表面のタンパク質を固めておくと肉汁の流失を防ぐことができ、パサつかず美味しく仕上がりますよ。

部位によっても硬さが違う!肉の部位ごとの特徴

肉を美味しく調理するためには、部位ごとの特徴を知っておくことも大切です。肉は部位によって含まれるタンパク質の割合や脂肪の量が違うため、食感や柔らかさもそれぞれ異なります。

部位特徴
ヒレ・きめが細かく柔らかい
・脂肪が少なく淡白な味わい
ロース・きめが細かく柔らかい
・脂肪が適度に含まれる
スネ・肉基質タンパク質が多く硬い
・脂肪が少ない
モモ・きめが粗く硬い
・脂肪が少なく赤身が多い
バラ・線維や膜が多く硬め
・脂肪が多い

ヒレやロースは肉質が柔らかく、焼肉やしゃぶしゃぶ、すき焼きなどに適した部位です。特にロースは適度な脂肪が含まれるため、ジューシーな味わいが楽しめます。

一方、スネやモモは脂肪が少なく、肉質も硬いため、長時間の煮込み料理が適しています。バラは肉質そのものは硬めですが、脂肪が多いため、ジューシーで濃厚な味わいが楽しめる部位です。

肉が硬くなる原因を知って柔らかく仕上げよう!

今回は、肉が硬くなる原因や、柔らかく調理する方法について紹介させていただきました。少しの手間とコツで、安い肉でも柔らかく美味しく調理することができます。ぜひ、試してみてくださいね!

参考文献
*1「キウイフルーツの豚肉軟化効果について」

参考文献
・大越ひろ,品川文子,飯田文子『新健康と調理のサイエンス』学文社,2020
・堤ちはるら「キウイフルーツの豚肉軟化効果について」日本家政学会誌 Vol. 45 No. 7 603-607, 1994
・山崎清子ら『新版調理と理論』同文書院,2003

Written by yukari

お肉を美味しく仕上げるために、今まで数々の実験をしてきました(自宅で勝手に)。文中で「キウイに漬ける時間は20分がベスト」だと紹介しましたが、私は5時間以上漬けたことがあり、生肉かと思うほど柔らかくなってしまったことがあります。お肉は柔らかければ良いわけじゃないと、そのとき学びました。

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