夏バテにうなぎが良いって本当?栄養価・効果を徹底解説

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「土用丑の日」に食べる風習があり、夏バテ予防にも役立つイメージがあるうなぎ。夏になると、スーパーで見かける機会も増えますよね。栄養価の高い食材として知られていますが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。この記事では、うなぎに含まれる栄養素とその効果をご紹介。うなぎの食べ過ぎによるデメリットや土用丑の日に食べる理由なども併せて紹介します。

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うなぎに含まれる栄養素一覧

うなぎの蒲焼きを箸で持っている画像。

まずは、うなぎに含まれる主な栄養素をチェックしましょう。生のうなぎ・蒲焼き・白焼き・うなぎの肝のそれぞれの栄養価をまとめました。

うなぎに含まれる主な栄養素(100gあたり)

うなぎ
(生)
蒲焼き白焼きうなぎの肝(生)
エネルギー228kcal285kcal300kcal102kcal
炭水化物6.2g8.4g6.6g3.2g
タンパク質14.4g19.3g17.4g13.0g
脂質16.1g19.4g22.6g4.1g
ビタミンA2400µg1500µg1500µg4400µg
ビタミンD18.0µg19.0µg17.0µg3.0µg
ビタミンE7.4mg4.9mg5.3mg3.9mg
ビタミンB10.37mg0.75mg0.55mg0.30mg
ビタミンB20.48mg0.74mg0.45mg0.75mg
ビタミンB60.13mg0.09mg0,09mg0.25mg
ビタミンB123.5µg2.2µg2.7µg2.7µg
カリウム230mg300mg300mg200mg
カルシウム130mg150mg140mg19mg
リン260mg300mg280mg160mg
0.5mg0.8mg1.0mg4.6mg
亜鉛1.4mg2.7mg1.9mg2.7mg
出典:日本食品標準成分表 八訂(2023年増補版)

うなぎは、さまざまな栄養素を含む食品です。

特に、
・タンパク質
・脂質
・ビタミンA
・ビタミンD
・ビタミンB群
・カルシウム
が豊富に含まれています。

うなぎの栄養価をほかの魚・肉と比べると…

うなぎまぐろさば牛肉豚肉
エネルギー228
kcal
102
kcal
211
kcal
221
kcal
237
kcal
タンパク質14.4g20.6g17.8g15.1g14.7g
脂質16.1g0.6g12.8g15.8g18.4g
ビタミンA2400µg2µg37µg10µg6µg
ビタミンD18.0g6.0µg5.1µg0.4µg0.3µg
ビタミンB10.37mg0.15mg0.21mg0.07mg0.63mg
ビタミンB20.48mg0.09mg0.31mg0.20mg0.23mg
ビタミンB60.13mg0,64mg0.59mg0.25mg0.28mg
カルシウム130mg5mg6mg4mg4mg
出典:日本食品標準成分表 八訂(2023年増補版)すべて生100gあたり(きはだまぐろ・まさば・輸入牛 肩ロース・豚 大型種 肩ロース)

ほかの魚や肉と比べても、うなぎに含まれるビタミン・ミネラルの量が多いことがわかります。特にビタミンA・D・カルシウムは桁違いですね。

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うなぎの主な栄養素と効果

うなぎ丼とお吸い物の画像。

うなぎは栄養価が非常に高い食品。次は、うなぎに含まれる主な栄養素の効果について見ていきましょう。

カルシウム・ビタミンD:骨の健康維持

カルシウムは、骨の主要な構成成分です。しっかりカルシウムを摂取することで、骨密度の維持に役立ちます。一方、ビタミンDはカルシウムの吸収率を高める働きをもちます。

骨を丈夫に保つためには、カルシウムだけでは不十分。ビタミンDも一緒にとれるうなぎは、理想的な食材ですね。また、ビタミンDは免疫機能の維持にも関わります。

DHA・EPA:血管の健康維持・抗炎症

DHAやEPAには、血液をサラサラにする働きがあります。DHAやEPAを日頃から摂取していると、脂質異常症や動脈硬化を予防し、血管を健康に保つ効果が期待できます。

また、DHAやEPAには抗炎症作用もあり、アレルギーの緩和にも役立ちます。DHAは脳の発育・学習能力にも関わる成分です。DHAやEPAは魚の油に多く含まれるので、うなぎに限らず、普段から積極的に魚を食べたいですね。

ビタミンA:免疫機能の維持

ビタミンAには、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。皮膚や粘膜は、細菌などの異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」として免疫に関わります。そのため、ビタミンAをしっかり摂取することは、免疫機能を維持し、感染症や食中毒などを防ぐために役立ちます。

また、ビタミンAは目の網膜にある「ロドプシン」という視物質の合成に関わり、主に暗い場所での視力に重要な役割を果たしています。

ビタミンE:抗酸化作用

ビタミンEは、体内で発生した有害なフリーラジカルや活性酸素を除去する働きがあります。酸化ストレスから細胞を守ることで、がんや生活習慣病などの予防に役立ちます。

ビタミンEの抗酸化作用にはビタミンCも関わるので、どちらも積極的に摂取したいですね。

ビタミンB1・B2・B6:代謝のサポート

うなぎに豊富に含まれるビタミンB1・B2・B6は、栄養素の代謝に関わり、エネルギーの産生をサポートします。ビタミンB1・B2は主に糖質の代謝、B6は主にタンパク質(アミノ酸)の代謝に関わります。

糖質やタンパク質を多く摂取していると、これらのビタミンの需要量が増えます。そうめんやアイスクリームなどを食べることが多い人は、ビタミンB1・B2を積極的に摂取したいですね。

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うなぎが夏バテに効くのは本当?

うな重の画像。

「夏バテにはうなぎが良い」とよくいわれますよね。効果が科学的に実証されているわけではありませんが、夏バテ対策にうなぎを食べることは栄養学的に理にかなっています。

夏にうなぎを食べるのがおすすめな理由

①栄養価が高い

うなぎはエネルギーが豊富で、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素も豊富に含みます。夏バテ予防には、栄養バランスの良い食事が欠かせません。うなぎを主菜として、ご飯などの主食・副菜をあわせてとれば栄養バランスが整いやすくなります。食欲が落ちていても、うなぎなら少しの量でもさまざまな栄養素を摂ることができますよ。

②糖質代謝をサポートする

暑くて食欲が落ちると、口当たりの良いそうめんや冷や麦だけで食事を済ませることもありますよね。アイスクリームやスイーツを食べることも多いかもしれません。このような食事に偏ると、糖質の摂取量が多くなります。

糖質の摂取量が増えるほど、その代謝に必要なビタミンB1の需要量も増えます。ビタミンB1がしっかり摂取できていないと、糖質からエネルギーが作れず、疲れやだるさを感じることがあります

そんなときに役立つのが、うなぎ。うなぎにはビタミンB1が豊富に含まれるので、糖質代謝をサポートし、エネルギーへの変換を促してくれます

夏バテとは
夏バテには明確な定義はありませんが、一般的に「夏の暑さによる体調不良の総称」と認識されています。高温多湿の環境により、慢性疲労・食欲不振・胃腸症状・睡眠障害・ストレスなどのさまざまな症状があらわれます。夏バテの原因として、短時間で大量の水を飲むことや、冷たい飲み物の摂り過ぎなども関わると考えられています(*1)

うなぎの食べ過ぎはNG?知っておきたいリスク

うな重を食べているイメージ画像。

うなぎは栄養価の高い食品だからこそ、食べ過ぎるとエネルギーや栄養素を過剰に摂取してしまう可能性も。

特に妊娠中はビタミンAの摂取量に注意が必要です。ビタミンAを過剰摂取すると、胎児の奇形のリスクが高まるといわれています。うなぎにはビタミンAが多く含まれるので、1日あたりの摂取量は50~100g程度に抑えると安心です。また、うなぎを毎日食べ続けるような偏った食生活は避けましょう。

妊娠中に限らず、ビタミンAには耐容上限量(過剰症が起こらないと考えられる量)が年齢ごとに設定されています。下の表ではうなぎの量に換算しているので、チェックしてみてくださいね。

年齢ビタミンAの
耐容上限量
うなぎ換算
(蒲焼き・白焼きとして)
0~2歳600µg40g
3~5歳700µg45g
6~7歳950µg60g
8~9歳1,200µg80g
10~11歳1.500µg100g
12~14歳2,100µg140g
15~17歳2,600µg170g
18歳以上2,700µg180g
出典:日本人の食事摂取基準2025年版・日本食品標準成分表 八訂

上記の摂取量を超えたからといって、すぐに過剰症が起こるわけではありません。また、体質や体格、身体活動量などによっても適量は異なります。あくまでも、目安として参考にしてくださいね。

ちなみに、一般的なうな重1杯には、100g前後のうなぎの蒲焼きが使用されています。

うなぎの「肝」の食べ過ぎに注意

うなぎの肝には、特にビタミンAが豊富に含まれます(4,400µg/100g)。うな重とあわせて、焼き肝や肝串などを食べる場合は、食べ過ぎに注意しましょう。ビタミンAを大量に摂ると、頭痛や吐き気を催すことがあります。特に、子どもや妊婦さんは摂取量に気を付けてくださいね。

土用丑の日にうなぎを食べるのはなぜ?

うな重とすだれ。土用丑の日のイメージ画像。

日本では、土用丑の日にうなぎを食べる風習があります。これは、江戸時代から始まった食文化だといわれています。

江戸時代の奇才として知られる「平賀源内」が、売行きが低く困っているうなぎ屋から看板を頼まれ、「本日土用丑の日」と大きく墨書きして宣伝したのだとか。それを店の入り口に貼ったところ、そのうなぎ屋が大繁盛したことから、ほかのうなぎ屋も真似たという説があります(*2)

また、丑の日には「う」の付くものを食べると夏バテしない、という言い伝えもあります。土用丑の日には、うなぎ以外にも、牛肉やうどん、瓜、梅干しなどがよく食べられています。

うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い?
土用丑の日に食べられることの多いうなぎと梅干し。しかし、この2つは食べ合わせが悪いという話を聞いたことはありませんか?結論からいうと、これは迷信で科学的根拠はありません。一説によると、うなぎの脂っこさを梅干しの酸味が和らげて箸がどんどん進むことから、大食や贅沢を戒めるために言われたのだとか。夏バテで食欲がないときは、むしろうなぎと梅干しを合わせて食べると良いかもしれませんね。

うなぎとあなごの栄養価・味の違いは?

ふっくらしたうなぎの蒲焼きの画像。

うなぎとあなごは、見た目がよく似ていますよね。栄養価や味わいには、どのような違いがあるのでしょうか。

うなぎとあなごの栄養価を比較(/100g)

うなぎあなご
エネルギー228 kcal146 kcal
炭水化物6.2 g4.2 g
タンパク質14.4 g14.4 g
脂質16.1 g8.0 g
ビタミンA2400 µg500 µg
ビタミンD18.0 µg0.4 µg
ビタミンE7.4 mg2.3 mg
ビタミンB10.37 mg0.05 mg
ビタミンB20.48 mg0.14 mg
ビタミンB60.13 mg0.10 mg
ビタミンB123.5 µg2.3 µg
カリウム230 mg370 mg
カルシウム130 mg75 mg
リン260 mg210 mg
0.5 mg0.8 mg
亜鉛1.4 mg0.7 mg
出典:日本食品標準成分表 八訂(2023年増補版)生100gあたり

うなぎとあなごの大きな違いが、脂質の量です。
あなごは、うなぎの半分程度しか脂質を含まないため、あっさりした味わいが特徴。脂質が少ない分、カロリーも低めです。

ビタミンやミネラルもうなぎのほうが多く含みますが、あなごも一般的な魚に比べて栄養価が高く、ビタミンA・ビタミンE・カルシウムなどを豊富に含みます。

また、うなぎは皮にコラーゲンを豊富に含むため、弾力のある食感になります。一方、あなごは皮も身もやわらかく、ふっくらした食感が楽しめます。どちらもそれぞれの良さがあるので、好みや気分に応じて選べますね。

うなぎ派におすすめ

あなご派におすすめ

まとめ

うなぎは、タンパク質や良質な脂質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含む栄養価の高い食品。夏の暑さに負けない健康な体作りにぴったりの食品ですね。

妊娠中はうなぎの摂取量に注意が必要ですが、適量であれば、うなぎを食べても問題ありません。むしろ、栄養素の補給に役立ちますよ。

うなぎに含まれる栄養素は、エネルギー産生や免疫機能の維持、生活習慣病の予防などに関わります。「なんだか元気出ないな」「最近、栄養バランスが良くないな」と感じたら、うなぎを食べてみてはいかがでしょうか。

Writer:永田ゆかり
       フードスペシャリスト

もともとは、うなぎ屋さんを儲けさせるための戦略だった「土用丑の日」。栄養学的にも理にかなっていたからか、風習として根付き、現在まで続いてきたのはすごいことですよね。日本の食文化のひとつとして、これからも守っていきたいですね。

参考文献
*1 髙田邦夫「バランスの取れた熱中症及び夏バテの予防法の提案」2023
*2 菊池健策ら『知っておきたい日本の年中行事事典』吉川弘文館,2012
*3 野口知里ら「20代から50代日本人女性における食事由来コラーゲン推定摂取量の特徴

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