葉酸の摂取量が不足すると、貧血を招くと言われています。しかし、葉酸を十分に摂っていても、ビタミンB12が不足していると貧血は改善されません。今回は、葉酸とビタミンB12の関係について紹介します。また、両方の栄養素を摂ることができるおすすめのサプリも併せて紹介するので参考にしてくださいね。
葉酸不足が貧血を引き起こす理由
葉酸は、細胞分裂に必要な「核酸」の合成に関わる栄養素です。体内の葉酸が不足すると、細胞分裂がさかんな骨髄での造血作用に異常が生じます。
血液の成分である赤血球は、「造血幹細胞」が細胞分裂することで作られます。造血幹細胞が赤血球になる途中の細胞を「赤芽球」といいますが、葉酸不足によって核酸合成が傷害されると赤芽球が巨大化して「巨赤芽球」となります。
ほとんどの巨赤芽球は、赤血球になれずに崩壊します。その結果、血液中の赤血球が不足して貧血に。
このようなメカニズムで起こるのが、「巨赤芽球性貧血」です。
葉酸が足りていても貧血が起こるのはなぜ?ビタミンB12と葉酸の関係
巨赤芽球性貧血の約97%は、ビタミンB12の欠乏が原因だと言われています。葉酸をしっかり摂取していても貧血が起こるのはなぜでしょうか。
葉酸は「テトラヒドロ葉酸」になる必要がある
葉酸が核酸合成に関わるためには、「テトラヒドロ葉酸」という形になる必要があります。このテトラヒドロ葉酸を生成する反応に関わるのが、ビタミンB12です。
そのため、葉酸が十分にあっても、ビタミンB12が不足すると「テトラヒドロ葉酸」が減少し、巨赤芽球性貧血を招くことになります。
葉酸・ビタミンB12の不足は動脈硬化の原因にも
ちなみに、葉酸とビタミンB12が関わるのは「ホモシステイン」から必須アミノ酸の「メチオニン」を合成する反応です。ホモシステインがメチオニンに変わるとき、同時にテトラヒドロ葉酸が作られます。
この反応をサポートする酵素は、ビタミンB12がないと働けません。
つまり、葉酸やビタミンB12が不足するとメチオニンの合成が抑制され、血中にホモシステインが増加します。ホモシステインが血液に蓄積すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まると言われています。
巨赤芽球性貧血と悪性貧血の違い
悪性貧血は、巨赤芽球性貧血の一種です。ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血のうち、約60%が悪性貧血だと言われています。
ビタミンB12は、体内に吸収されるために胃粘膜から分泌される糖たんぱく質と結合する必要があります。この成分が欠乏すると、ビタミンB12を吸収することができず、巨赤芽球性貧血を招きます。
このように、胃から分泌される糖たんぱく質の欠乏で起こる巨赤芽球性貧血を、悪性貧血といいます。
悪性貧血は、胃の切除手術を受けた方に起こりやすい症状です。経口摂取では効果がないので、ビタミンB12を注射・点滴によって投与して治療します。
葉酸・ビタミンB12を多く含む食品
葉酸やビタミンB12をしっかり摂取するには、どのような食品を摂ると良いのでしょうか。ここでは、葉酸やビタミンB12を多く含む食品を紹介します。
葉酸を多く含む食品
食品名 | 葉酸含有量(㎍) |
鶏レバー | 1300 |
牛レバー | 1000 |
豚レバー | 810 |
小麦胚芽 | 390 |
うに | 360 |
枝豆(冷凍) | 310 |
からし菜 | 310 |
菜の花 | 240 |
モロヘイヤ | 250 |
ブロッコリー | 220 |
ほうれん草 | 210 |
春菊 | 190 |
葉酸は、枝豆や青菜のほか、レバーに多く含まれています。妊婦さんは、レバーを多く摂るとビタミンA(レチノール)の過剰摂取につながるので、ほかの食品から摂るようにしてくださいね。
ビタミンB12を多く含む食品
食品名 | ビタミンB12含有量(㎍) |
しじみ | 68.0 |
あかがい | 59.0 |
牛レバー | 53.0 |
あさり | 52.0 |
ほっきがい | 48.0 |
イクラ | 47.0 |
鶏レバー | 44.0 |
あん肝 | 39.0 |
はまぐり | 28.0 |
豚レバー | 25.0 |
牡蠣 | 23.0 |
さば あじ | 13.0 |
ビタミンB12は、魚介類や肉類などの動物性食品に多く、中でも貝類やレバーに豊富に含まれています。一方、植物性食品にはほとんど含まれていません。肉類や魚介類が苦手な方や、ヴィーガン・ベジタリアンの方はビタミンB12が不足しやすいのでサプリで補いましょう。
葉酸・ビタミンB12が含まれるサプリもおすすめ
食事の改善が難しい場合は、サプリを活用しましょう。ここでは、葉酸やビタミンB12を含むおすすめのサプリを紹介します。
1.メルミー葉酸サプリ
メルミー葉酸サプリは、妊活・妊娠中に特化したサプリ。葉酸やビタミンB12だけでなく、鉄・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルや、各種のビタミンも豊富に含まれています。
葉酸は400㎍配合されているので、葉酸の必要量が増える妊娠初期にも対応しています。ビタミンB12も、成人の推奨摂取量の2.4㎍を十分に満たす12.8㎍が配合。
ちなみに、ビタミンB12は不必要な分は排出されるため、過剰摂取の心配はありません。
価格:6,580円(初回限定価格:2,980円)
【含有成分】
・鉄:15mg
・ビタミンC:130mg
・カルシウム:241mg
・葉酸:400μg
・マグネシウム:136mg
・亜鉛:5mg
・ビタミンB1:2.8mg
・ビタミンB2:2.3mg
・ビタミンB6:1.7mg
・ビタミンB12:12.8㎍
・ビタミンD:4.5㎍
・ビタミンE:22.5mg
・ナイアシン:15.7mg
・パントテン酸:21.6mg
・銅:0.5mg
・ビオチン:57.6㎍
2.ネイチャーメイド ビタミンB12
葉酸を含む食品をしっかり摂っているのに貧血が良くならない、と感じている方は、ビタミンB12のみを含むサプリを試してみましょう。ネイチャーメイドのサプリは、価格が安く、続けやすいのがメリットです。
1日の摂取目安は2粒ですが、1粒あたり50㎍のビタミンB12が配合されているので、1粒でも十分に不足分を補うことができます。
葉酸とビタミンB12は合わせて摂ろう!
葉酸を十分に摂っていても、ビタミンB12が不足していると、巨赤芽球性貧血を引き起こしてしまいます。特に、肉類や魚介類の摂取量が少ないと、ビタミンB12が不足しやすいので注意しましょう。
肉や魚が嫌い、アレルギーがあるなど、事情があって動物性食品を摂れない場合はサプリを活用するのもおすすめです。動物性食品を使用せずに作られたヴィーガン向けのビタミンB12サプリも販売されていますよ。
参考文献
*1 日本食品標準成分表2020年版(八訂)