肉と魚、健康に良いのはどっち?栄養価・効果の違いを解説

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健康やダイエットのためには「肉より魚が良い」といわれることが多いですよね。しかし、「肉と魚は何が違うの?」と疑問に思うかもしれません。そこで今回は肉と魚の栄養価を比較し、その違いを解説します。生活習慣病予防やダイエットに役立つ肉・魚選びのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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肉と魚の違いは?

まずは、肉と魚に多く含まれる栄養素・成分の特徴を紹介します。

肉の成分・栄養価の特徴

肉の画像

牛肉・豚肉・鶏肉などの種類や部位によって違いはありますが、平均的に肉はタンパク質を10~20%、脂質を5~40%程度含みます。肉は、人間に必要なアミノ酸をバランスよく含む良質なタンパク源です。

そして、肉の脂質には飽和脂肪酸」が多く含まれることが特徴です。

飽和脂肪酸は、過剰摂取すると脂質異常症や動脈硬化などのリスクを高める恐れのある成分(*1)。動脈硬化が進行すると虚血性心疾患などを引き起こす可能性があるので、肉の食べ過ぎには注意が必要です。

そのほか、肉には鉄や亜鉛も豊富に含まれています。特に鉄は「ヘム鉄」という吸収率の高いものなので、貧血予防に効果的です。また、ビタミンB群も多く含まれており、なかでも豚肉はビタミンB1を豊富に含みます。レバーには、ビタミンAや葉酸も多く含まれています。

魚の成分・栄養価の特徴

新鮮な魚の画像

魚は、種類・季節・産地などにより脂質・水分量は大きく変動しますが、タンパク質は20%程度で比較的安定しています。魚のタンパク質も、肉と同様に必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。

魚の脂質には、「多価不飽和脂肪酸」が多く含まれています。特に、EPAやDHAを多く含むことが魚の特徴です。

EPAとDHAは「オメガ3脂肪酸」の一種で、不足すると皮膚炎などを引き起こすことが知られています。また、EPAとDHAは虚血性心疾患の予防に効果的だといわれています(*1, 2)

そのほか、魚にはビタミンDやカルシウムも多く含まれることが特徴です。これらの栄養素は骨の健康に関わるので、魚を積極的に摂取すると将来的な骨粗鬆症の予防にも役立ちます。

肉と魚の最も大きな違い

魚のソテーの画像

肉と魚は、ともに良質なタンパク質を含むことで共通していますが、最も大きな違いは脂質にあります。肉は飽和脂肪酸を豊富に含むのに対し、魚は不飽和脂肪酸を多く含むのが特徴です。

特にEPA・DHAが含まれるのが魚の特徴で、肉にはほとんど含まれていません。

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肉と魚、健康に良いのはどっち?

肉料理の画像

まず前提として、肉と魚はどちらも適量を食べる分には健康に悪影響はありません。しかし、飽和脂肪酸を多く含む肉のほうが食べ過ぎによるリスクは高いといえます。

飽和脂肪酸は、過剰摂取により生活習慣病のリスクが高まるため、「体に良くない油」といわれることもあります。一方、不飽和脂肪酸(DHA・EPAなど)は、いわゆる「体に良い油」です。

魚に多く含まれているDHA・EPAには、血中中性脂肪・コレステロール値を下げる作用や血圧を下げる作用、アレルギー反応の緩和作用があります。また、DHAは脳の正常な発達や認知機能をサポートする作用もあります(*4, 5,)

また、魚には骨の健康維持に役立つカルシウムやビタミンDが豊富に含まれていることもポイントです。ビタミンB1は豚肉に多く含まれますが、そのほかのビタミン・ミネラルは肉と魚は同程度です。

エネルギー脂質飽和脂肪酸EPADHAビタミンDビタミンB1ビタミンB2カルシウム亜鉛
リブロース380kcal35.0g15.1g0mg0mg0.1µg0.05mg0.12mg4mg1.0mg3.7mg
豚ロース248kcal18.5g7.84g0mg10mg0.1µg0.69mg0.15mg4mg0.3mg1.6mg
鶏もも肉190kcal13.5g4.37g1mg7mg0.4µg0.1mg0.15mg5mg0.6mg1.6mg
白鮭124kcal3.7g0.8g240mg460mg32.0µg0.15mg0.21mg14mg0.5mg0.5mg
マサバ211kcal12.8g4.57g690mg970mg5.1µg0.21mg0.31mg6mg1.2mg1.1mg
タラ72kcal0.1g0.03mg24mg42mg1.0µg0.10mg0.10mg32mg0.2mg0.5mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

部位や種類にもよりますが、肉より魚のほうが低カロリーなものが多いのでダイエット中の方にも魚がおすすめ。特に白身魚は脂質が少なく、カロリーも控えめです。

これらのことから、肉より魚のほうが健康へのメリットが大きいといえます。健康維持のためには、肉に偏らず、魚も献立に取り入れてバランスよく食べることがポイントです。

例えば、肉を毎日食べているなら、週に1~2日だけでも魚に置き換えてみると健康管理に役立つでしょう。

腸内環境は肉や魚の摂取量に影響される
肉中心の食生活を長期間にわたって続けていると、太りやすい腸内フローラが形成されるといわれています。また、肉中心の食生活を続けると善玉菌の力が弱まり、糖尿病や肥満免疫力の低下といったさまざまな問題を起こすことも。一方、魚の継続的な摂取は、太りにくい腸内環境の維持に役立ちます(*4)特に、玄米と魚を組み合わせて食べると効果的です

旬の魚の定期便「魚のサブスク」が人気!
以下の記事で詳しく紹介しています

肉を食べるときは部位もポイント

肉料理の画像

肉は、どの部位を選ぶかによって栄養価が大きく変わります。健康維持・体重管理のためには、部位ごとの栄養成分を理解しておくことも大切です。

例えば、和牛リブロースは100gで514kcalあり、飽和脂肪酸の含有量も約20gありますが、国産牛ヒレ肉を選ぶと177kcalまでカロリーを抑えられ、飽和脂肪酸の摂取量も約1/5程度になります。

脂質の量が比較的少ない鶏肉を選ぶのもおすすめ。皮を剥いて使うと、さらに脂質の摂取量を抑えることができます。

肉の
種類・部位
エネルギー
(/100g)
脂質
(/100g)
飽和脂肪酸
(/100g)
和牛サーロイン460kcal44.4g16.29g
和牛リブロース514kcal53.4g19.81g
牛ヒレ肉177kcal10.1g4.35g
豚バラ肉366kcal34.9g14.60g
豚ヒレ肉118kcal3.3g1.29g
鶏もも肉190kcal13.5g4.37g
鶏むね肉133kcal5.5g1.53g
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年食品

飽和脂肪酸の摂取量は、1日の総摂取エネルギーの7%未満に抑えることが目標です。総摂取カロリーが2000kcalの場合、飽和脂肪酸の量は15.6g(約140kcal)未満が目標です。
これは、脂質の多い和牛サーロインステーキなら90g豚バラ肉なら100g程度ですが、鶏むね肉なら皮付きでも280g程度に相当します。飽和脂肪酸の摂取量を抑えるには、肉の選び方もポイントです。

肉の種類・部位別の栄養価は、こちらの記事でさらに詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。

肉好きは赤ワインを飲むと良い?

ステーキの画像

動物性脂肪を摂り過ぎると心疾患などのリスクを高めることが知られていますが、興味深い研究データがあります。

ヨーロッパ各国の動物性脂肪の摂取量と、心疾患による死亡率を調査した結果、イギリス人とフランス人は動物性脂肪の摂取量が同程度なのに、死亡率はフランス人の方がかなり低いということが分かりました。

この理由のひとつとして、両国の赤ワインの消費量に大きな違いがあることが挙げられています。

つまり、フランス人は赤ワインをよく飲むため、その抗酸化作用により心臓病の発症が抑えられていることが分かったのです。

この研究結果は「フレンチ・パラドックス(フランス人の逆説)と呼ばれています。肉を多く摂取しても、抗酸化作用のある成分を積極的に摂取すれば、疾病予防に役立つ可能性があります。

「肉が好き」「高脂肪食が止められない」という方は、食事に赤ワインなどをプラスしてみてはいかがでしょうか。赤ワインのほかにも、野菜や果物、黒米などにも抗酸化物質は豊富に含まれているので、好みに合わせて取り入れてみてくださいね。

赤ワインに含まれるポリフェノール「アントシアニン」に
ついては、こちらの記事で詳しく紹介しています

魚の選び方のポイントは?

魚のソテーの画像

魚は種類や漁獲地・漁獲時期などによって、栄養価が大きく異なります。EPA・DHAを多く摂りたい場合は、脂ののった旬の魚を選ぶのがおすすめ

特に、サバ・サンマ・イワシ・ウナギ・ブリなどはEPAやDHAが豊富に含まれています。一方、もともと脂質の少ない白身魚はEPA・DHAの含有量も少なめです。

魚の種類EPA
(/100g)
DHA
(/100g)
マサバ690mg970mg
タイセイヨウサバ
(ノルウェーサバ)
1800mg2600mg
サンマ1500mg2200mg
マイワシ780mg870mg
ウナギ580mg1100mg
ブリ940mg1700mg
クロマグロ(養殖)420mg1000mg
あん肝3000mg5100mg
銀鮭310mg890mg
マダラ0mg42mg
マガレイ180mg96mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年食品

また、一般的に旬の時期には魚の脂質量が増えるため、EPAやDHAの量も増える傾向にあります。

かつおの場合は旬が2回あり、春に獲れる「初がつお」はあっさり、秋に獲れる「戻りがつお」は脂がのって濃厚な味わいになります。初がつおに比べて、戻りがつおは8倍以上のEPA・DHAを含むようです。

EPA
(/100g)
DHA
(/100g)
初がつお(春)39mg120mg
戻りがつお(秋)400mg970mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年食品

干物・塩蔵品は食べ過ぎに注意

魚介類はがんの抑制に役立つ可能性も示唆されていますが、干物・塩蔵品の摂取量が多いと胃がんのリスクを高める可能性があります(参考:国立がん研究センター

干物や塩蔵品は塩分量が高く、塩分の過剰摂取は胃がんのリスクを高める要因になります。ちなみに、塩蔵品とは魚介類や魚卵を塩漬けにして保存性を高めたもので、塩サバ・新巻鮭・たらこ・いくら・数の子などがあります。

もちろん、干物や塩蔵品も適度に食べるなら問題はありません。食塩の1日あたりの摂取量は、男性は7.5g未満、女性は6.5mg未満を目標に食品を選択しましょう。

野菜や果物を積極的に食べることも、胃がんのリスクを下げるために役立ちます。

魚の脂質は酸化されやすい?正しい保存方法とは

魚に多く含まれるEPAやDHAは「酸化されやすい」というデメリットもあります。

また、魚は鮮度が落ちると品質が著しく低下し、特有の魚臭さが生じるため、適切に保存することが大切です。

特に常温では腐敗しやすくなるので、必ず低温保存しましょう。

早めに食べるなら冷蔵庫のチルド室やバーチャルフリージングでの保存がおすすめです。長く保存するなら、空気を遮断できる袋や容器に入れ、冷凍庫で保存しましょう。

魚を手軽に食べるには

「魚料理を作るのが面倒くさい」「手軽に魚を食べたい」という方には、さば缶や魚肉ソーセージがおすすめ。魚由来の栄養素が摂取でき、常温で長く保存できるのも魅力です。

食べたいときにサッと食べられるので、無理なく魚を食事に取り入れられますよ。

ちくわやかまぼこなどの水産練り製品などもおすすめです。

まとめ

肉と魚の大きな違いは「脂質の質」です。魚には生活習慣病の予防に役立つEPAやDHAが豊富に含まれています。肉に多く含まれる飽和脂肪酸は過剰摂取により動脈硬化や循環器疾患のリスクを高める可能性があるため、肉だけに偏らず、魚も食生活に取り入れてみてくださいね。

また、肉は種類や部位によって、魚は種類や漁獲時期などによって栄養価が異なります。より健康管理を効果的に行うためにも、今回紹介した内容を参考にしてみてくださいね。

Yukari Nagata

フードスペシャリスト / WEBライター
食や健康に関する記事を数多く執筆。栄養学・食品学・調理学などの知識をいかし、美味しく健康管理できるレシピや献立も開発中。

Instagramではお弁当や料理の画像を投稿しています♪

参考文献
*1 日本人の食事摂取基準2020年版
*2 国立がん研究センター 多目的コホート研究
*3 江崎 治ら「飽和脂肪酸の摂取基準の考え方」日本栄養・食糧学会誌(2007), 60巻1号
*4 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『四訂 食品の官能評価・鑑別演習』建帛社
*5 青栁良平「ドコサヘキサエン酸(DHA)の血液脳関門通過メカニズムの解明」
*6 益崎 裕章ら「腸脳連関と生活習慣病」日本抗加齢医学会雑誌 Vol.14 No.6

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