朝食を抜くと脳出血のリスクが上がる?知っておきたい朝食抜きのデメリット

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忙しい朝は、つい朝食を抜いてしまうこともありますよね。しかし、朝食抜きには思わぬデメリットも潜んでいます。この記事では、朝食抜きのデメリットについて解説します。特に、血圧が気になる方や、生活習慣病のリスクが高いと指摘されている方はぜひ読んでみてくださいね。

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朝食抜きのデメリット

肥満・生活習慣病のリスクが高まる

朝食を抜く生活習慣が長く続くと、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクが高まることが多くの研究で報告されています。

「ダイエットのために朝食を抜いている」という方も多いようですが、朝食を抜くことで摂取エネルギーは抑えられても、なぜか太りやすくなるという矛盾が生じることが多くあります。

実際に、朝食欠食と肥満の関係を調査した大規模な研究では、朝食を抜く習慣がある人のほうが肥満率が高いということが報告されています(*1)。この理由は完全には解明されていませんが、朝食を抜くと夕食・夜食の量が増えることや、朝食摂取による体温上昇がないこと、朝食を抜くと活動量が落ちやすいことなどが原因として考えられます。

いずれにしても、朝食を抜いて摂取エネルギーを減らしても、ダイエット効果は期待できません

朝食を抜くと脳出血のリスクが上がる

国立がん研究センターの研究チームにより、朝食の欠食と脳卒中の関連が調査されました。

この研究の対象者は82,772人(男性38,676人、女性44,096人)。この対象者に朝食の摂取状況をアンケートし、1995年から2010年までの15年間にわたって追跡調査をおこなわれました。

その結果、朝食を毎日とる人と比較して、朝食を抜く回数の多い人ほど脳出血のリスクが上がることが分かったのです(参照:国立がん研究センター


*国立がん研究センター「朝食の欠食と脳卒中との関連について」より作成

この調査では、脳出血だけでなく、脳梗塞、くも膜下出血、虚血性心疾患と朝食との関係も分析されています。その結果、明らかな関連がみられたのは脳出血のみでした。

脳出血以外の疾患と朝食の欠食に確かな関連はみられませんでしたが、これは、統計学的に関連を検討するほどの症例数がなかったことも原因ではないかと考えられています。

脳出血・くも膜下出血・脳梗塞は、「脳卒中」と総称されます。脳出血とくも膜下出血は、名前に「出血」と付くことから分かるように、「出血性脳血管疾患」です。脳出血は脳の細い血管が破れて脳内に出血をきたし、くも膜下出血は多くの場合「脳動脈瘤」が破裂することで、くも膜下に強い出血をきたします。

一方、脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が滞り、脳内に栄養素や酸素などが送られなくなる「虚血性脳血管疾患」です。脳の血管に血栓ができる場合と、身体のほかの部分で生じた血栓が血流に乗って脳内に運ばれ、それが脳の血管を詰まらせる場合があります。

脳梗塞は動脈硬化が危険因子となるため、動脈硬化を引き起こす肥満・高血圧・高血糖・脂質異常症などが脳梗塞のリスクも高めます。甘いものや油っこいもの、塩辛いものの摂りすぎ、運動不足、過度な飲酒・喫煙などには要注意ですね。

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なぜ朝食を抜くと脳出血のリスクが上がるのか

朝食を抜くと、肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病のリスクが上がることは、さまざまな研究で報告されています。

そして、これらの疾患は脳卒中や虚血性心疾患の発症にもつながります。なかでも、高血圧は脳出血の最大のリスク因子であり、特に早朝の血圧上昇は脳出血のリスクを高めることが知られています。

朝食をとらない方が血圧が下がるイメージをもつ方も多いようですが、朝食を抜くと、空腹によるストレスなどによって血圧が上昇します。反対に、朝食をとることで、朝の血圧上昇を抑えることができるのです。

ちなみに、前述の調査では脳梗塞と朝食との関連が認められませんでしたが、脳梗塞は脳出血ほど高血圧が重要なリスク因子ではないことが理由ではないかと考えられています。

高血圧だけでなく、肥満・脂質異常症・糖尿病も、さまざまな生活習慣病を引き起こす要因になります。

朝食を抜くと、昼食後に血糖値が急上昇したり、間食が増えて摂取エネルギーがかえって増加したり、代謝や活動量が落ちて消費エネルギーが減少したりすることで、これらの疾病を招きやすくなります。

特に、日本人は糖尿病になりやすいと言われているので、毎日しっかり朝食をとり、発症を予防したいですね。

毎日必ず朝食をとらないとダメ?

朝食をとったほうが健康に良いと分かっていても、食欲がわかない、時間がないなどの理由で、朝食をとれない場合もありますよね。

なるべく毎日朝食をとるのが理想ですが、どうしても食べられないときは、週に1~2回程度なら抜いても大きな問題はないでしょう。

その場合も、全く何もとらないより、小さなおにぎり1個、お味噌汁、牛乳など、無理のない範囲で口にできるものをとることをおすすめします。反対に、血糖値が上がりやすい清涼飲料水やフルーツジュース、冷たい飲食物、胃に負担のかかるコーヒーなどを単体で摂取することは控えましょう。

朝に食欲がわかない場合は、夕食の時間や内容を見直すのもおすすめ。夜に脂質の多い食事をとると消化に時間がかかり、朝の食欲減退につながります。

また、夜遅い時間に食事や夜食をとると、生活リズムの乱れや睡眠の質を落とす原因に。夕食の量を少し減らしたり、夕食の時間を早めたりすると、朝目覚めたときにお腹が空いている感覚を覚えるかもしれません。

明日の健康のために朝食の習慣を

朝食を抜くと、高血圧のリスクを高め、脳出血の発症リスクも上昇します。また、朝食抜きは高血圧だけでなく、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病も引き起こします。

ダイエットのために朝食を抜く人も多くいますが、朝食抜きは肥満のリスクを上げることもよく知られています。

脳出血や高血圧などの生活習慣病の予防のためには、なるべく毎日朝食をとるのが理想的。無理のない範囲で、朝食をとる習慣をつけていきたいですね。

Yukari Nagata

フードスペシャリスト / WEBライター
食や健康に関する記事を数多く執筆。栄養学・食品学・調理学などの知識をいかし、美味しく健康管理できるレシピや献立も開発中。

Instagramではお弁当や料理の画像を投稿しています♪

Writer’s comment
忙しい朝は食事をとる時間を確保するのが難しいかもしれません。しかし、朝食の重要性には多くのエビデンスがあるので、おにぎり1つだけでも食べることをおすすめします。朝食をとると、体内時計による生体リズムも整います。もちろん、脳のエネルギー減であるグルコースを供給することで、作業・学習の効率も高まるでしょう。近年は朝食を抜く人の割合が増加しているので、朝食の大切さを多くの方に知っていただけると幸いです。

参考文献
*1 及川尚美, 春山康夫若年成人の朝食欠食による肥満への影響に関する大規模コホート研究
*2 矢野善記ら「朝食欠食と肥満に関する検討―朝食欠食する肥満者の食事摂取状況の特徴―」」
*3 国立がん研究センター「朝食の欠食と脳卒中との関連について」
*4 Yasuhiko kubota et al.「Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease: The Japan Public Health Center-Based Study
*5 Hatsumi Shimizu et al.「Delayed first active-phase meal, a breakfast-skipping model, led to increased body weight and shifted the circadian oscillation of the hepatic clock and lipid metabolism-related genes in rats fed a high-fat diet

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