玄米と白米は、含まれる栄養素・成分にどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、玄米と白米の栄養価を比較します。それぞれのメリット・デメリットとともに、特徴的な成分についても解説します。
玄米と白米の違い
まずは、玄米と白米の違いから確認しましょう。
お米は、胚乳部・ぬか層・胚芽から成っています。これをそのまま食べるのが玄米、ここからぬか層・胚芽を除いたものが白米です。
ビタミンやミネラルなどの栄養素は、ぬか層・胚芽に集中して存在しています。そのため、精白することでビタミン・ミネラルの含有量は少なくなります。
玄米・白米の栄養価を比較
玄米・白米の栄養価を比較してみましょう。
玄米 | 白米 | |
エネルギー | 152kcal | 156kcal |
炭水化物 | 32.0g | 34.6g |
タンパク質 | 2.4g | 2.0g |
脂質 | 0.9g | 0.2g |
ビタミンB1 | 0.16mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | 0.01mg |
ビタミンB6 | 0.21mg | 0.02mg |
ナイアシン | 3.6mg | 0.8mg |
葉酸 | 10μg | 3μg |
パントテン酸 | 0.65μg | 0.25μg |
ビオチン | 2.5μg | 0.5μg |
カリウム | 95mg | 29mg |
マグネシウム | 49mg | 7mg |
リン | 130mg | 34mg |
鉄 | 0.6mg | 0.1mg |
亜鉛 | 0.8mg | 0.6mg |
銅 | 0.12mg | 0.10mg |
マンガン | 1.04mg | 0.35mg |
ミネラルやビタミンは、主にぬか層・胚芽に存在するため、白米に精白することで減少します。
例えば、白米に含まれるビタミンB1は玄米の1/8、ビタミンB6は1/10、鉄は1/6まで減ってしまいます。また、ぬか層に含まれるポリフェノールなどの機能性成分も失われます。
一方、炭水化物やタンパク質はほとんどが胚乳部に含まれるため、玄米と白米で大きな違いはありません。
玄米に特徴的な成分
玄米には、
・グルコシルセラミド
・γ-オリザノール
・GABA
・フィチン酸
などの成分も、白米より多く含まれます。
グルコシルセラミドは、肌のバリア機能を改善し、肌の水分量を保つ効果があります。γ-オリザノールやフィチン酸には抗酸化作用があり、エイジングケアや疾病予防に役立ちます。
GABAは、ストレス緩和や睡眠の質の改善、高血圧予防に役立つ成分。近年は、GABA配合の食品が多く販売されていますよね。
GABAやフィチン酸は、玄米を発芽させる過程で増えるという特徴もあります。これらの機能性成分を多く摂りたい方には、「発芽玄米」がおすすめです。
玄米のメリット・デメリット
玄米には、白米よりビタミンやミネラルが多く含まれる点がメリットです。また、グルコシルセラミドやγ-オリザノール、GABAなども白米より豊富に含みます。
一方、デメリットとしては、白米より消化しにくい、食味が落ちる、調理に手間がかかるなどがあげられます。白米より食べ応えのある玄米は自然に咀嚼回数が増えやすくなりますが、消化しやすくなるよう意識的によく噛んで食べましょう。
しっかり咀嚼すると、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防ぐ効果も期待できますよ。
玄米のメリット
・ビタミンやミネラルを多く含む
・GABAやγ-オリザノールを多く含む
・咀嚼回数が増えやすい
玄米のデメリット
・浸水時間が長く必要(8~12時間)
・食感や味わいが落ちる
・よく噛まないと消化に負担がかかる
玄米のデメリットを解消した「発芽玄米」
玄米のデメリットが気になる場合は「発芽玄米」がおすすめ。発芽玄米は吸水しやすいので、白米と同じように手軽に炊くことができます。
玄米のようなボソボソした食感も気にならず、美味しく食べることができますよ。
白米のメリット・デメリット
白米には、玄米より柔らかくて食べやすい、美味しい、消化しやすいなどのメリットがあります。玄米はボソボソした食感になりがちなので、白米のほうが好きだという方も多いですよね。
一方、柔らかくて食べやすいがゆえに咀嚼回数が少なくなり、早食いになりがちです。よく噛んで食べるように意識しましょう。
白米はビタミン・ミネラルが少ないというデメリットがありますが、現代は主食以外のおかずから十分な栄養素を摂ることができるため、お米の栄養価が落ちることはそれほど大きな問題ではありません。
野菜や果物の摂取量が少ない場合は、白米より玄米を選んだほうが栄養バランスは整います。
白米のメリット
・柔らかくて食べやすい
・消化にやさしい
・美味しい
・浸水時間が少ない
白米のデメリット
・ビタミンやミネラルが少ない
・GABAなどの機能性成分が少ない
・早食いになりやすい
【結論】玄米と白米はどちらが良い?
玄米と白米は、ともにメリット・デメリットがあり、体質や体調により合う・合わないも変わります。消化機能に問題がなければ、より栄養価の高い玄米がおすすめです。しかし、子ども・高齢者や病気のときなど、消化機能が低い状態では玄米より白米を選んだほうが良いでしょう。
また、玄米より消化しやすく、味わいも良い「発芽玄米」を選ぶのもおすすめ。発芽玄米は、GABAなどの機能性成分も増加するというメリットもあります。
玄米・白米の両方の良さを取り入れるために、2つを混ぜて炊くのも良いですよ。
Written by Yukari
お米は食料自給率が非常に高く、国内生産でほぼ100%をまかなえる数少ない食材です。玄米・白米のどちらにしても、環境にやさしい、日本の農業を盛り上げるというメリットがありますね。私自身は玄米が大好きですが、玄米のみだと食べにくさやお腹のハリが気になるので、白米と混ぜて炊いています。体質や体調に合わせて白米と玄米を食べ分けるのもおすすめです。