ビタミンCがみかんの2倍?柿に含まれる栄養素と効果・効能

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みずみずしく熟した朱色の果肉と、濃密で上品な甘さ。秋の味覚として人気の柿には、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。今回は、柿に含まれる栄養素と、その効果・効能について紹介します。生の柿と干し柿の栄養価も比較して紹介するので参考にしてみてくださいね。

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柿に含まれる栄養素は?

柿に含まれる主な栄養素とエネルギーを下の表にまとめました。

甘柿渋抜き柿干し柿
エネルギー63kcal59kcal274kcal
糖質14.5g14.3g58.7g
食物繊維1.6g2.8g14.0g
β-カロテン420μg300μg1400μg
ビタミンC70mg55mg2mg
カリウム170mg200mg670mg
マンガン0.50mg0.60mg1.48mg
すべて100gあたりの含有量 *1

*甘柿は次郎柿や富有柿、渋抜き柿は平核無柿や力根早生柿などの渋柿を渋抜きしたものです。

生の柿は甘柿・渋柿ともに100gあたり約60kcalで、同じ重さのりんごと同程度です。甘柿1個は150~200gなので、1個あたり90~130kcal程度ですね。

柿には不溶性食物繊維が多く含まれるので、腸の蠕動運動を刺激し、お通じを良くする効果が期待できます。

ビタミンはβ-カロテンビタミンC、ミネラルはカリウムマンガンが豊富に含まれています。これらの栄養素の働きと効果・効能について詳しく見ていきましょう。

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柿に含まれる栄養素の効果・効能

β-カロテン

β-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変わります。ビタミンAは過剰摂取に注意が必要ですが、β-カロテンとして摂取した場合は不必要な分が排出されるため、過剰症の心配がありません。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換されたのち、皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫機能を正常に維持するなどの効能を発揮。また、暗いところで物を見るための「ロドプシン」という色素の構成成分になります。

体内のビタミンAが不足すると、夜盲症・皮膚や粘膜の異常・細菌感染への抵抗力の低下などが起こります。

特に妊娠中は、ビタミンAを多く含む食品の摂取に注意が必要なので、柿のようにβ-カロテンを多く含むフルーツや緑黄色野菜を積極的に摂って補いましょう。

ビタミンC

ビタミンCには強い抗酸化作用があり、体内で発生した活性酸素を除去する働きがあります。また、コラーゲンの産生をサポートする作用もあるので、ハリのある肌のために欠かせません。

ビタミンCは、一緒に摂った鉄の吸収率を高める効果もあるので、ほうれん草やブロッコリーなど、鉄を多く含む食品と柿を一緒に食べるのもおすすめ。

活性酸素は、体内の脂質・たんぱく質・核酸などを変性させる成分。その結果、細胞やDNAが傷害され、がんや動脈硬化などの生活習慣病、老化などを招きます。

ビタミンCは、自身が酸化されることで体内で発生した活性酸素を除去。酸化したビタミンCは「還元型グルタチオン」という物質によって酸化する前の状態に再生し、抗酸化力を取り戻します。

カリウム

ミネラルの一種であるカリウムは、体内の水分量や浸透圧を調節する成分。カリウムには、ナトリウムや水分を排出させる効果があります。

過剰なナトリウムは高血圧や動脈硬化の原因になるので、食塩を多く摂取する日本人は積極的にカリウムを摂ることが推奨されています。カリウムはむくみの改善にも効果的なので、ダイエット中の方にもおすすめ。

マンガン

マンガンは、抗酸化作用を持つミネラルです。

人間の体には、体内で発生した活性酸素を除去するための酵素が存在します。マンガンはSODという酵素の構成成分となり、活性酸素を除去することで、疾病や老化の予防に役立ちます。

体内で発生する活性酸素には、スーパーオキシド・過酸化水素・ヒドロキシラジカルなどがあります。SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)は、スーパーオキシドを過酸化水素と酸素に分解する酵素

SODによって産生された過酸化水素は、別の抗酸化酵素*によって酸素や水に分解されます。
*グルタチオンペルオキシダーゼカタラーゼ

生の柿と干し柿の栄養価を比較!

生の柿はみずみずしい食感が楽しめますが、干し柿は濃厚な甘さやねっとりした特有の食感が人気。それぞれ、栄養価も変わるのでしょうか。

干し柿は渋柿から作られることが多いので、生の渋柿と干し柿の栄養価を比較しました。

生の柿(渋柿)干し柿
エネルギー59kcal274kcal
糖質14.3g58.7g
食物繊維2.8g14.0g
β-カロテン300μg1400μg
ビタミンC55mg2mg
カリウム200mg670mg
0.1mg0.6mg
マグネシウム6mg26mg
マンガン0.60mg1.48mg
すべて100gあたりの含有量 *1

干し柿は、天日干しなどによって乾燥させるため、水分が抜けて栄養素が凝縮します。一見すると、干し柿のほうが高カロリーで栄養価も高いように見えますが、1個あたりのカロリー・栄養価は生の柿とほぼ変わりません。

ただ、空気や光の影響で失われやすいビタミンCは干し柿にすると大きく減少します。ビタミンCをしっかり摂りたい方は、生のまま柿を食べるのがおすすめ。もちろん、食べやすい甘柿で大丈夫です。

柿のビタミンC含有量はほかのフルーツより多い?みかんやレモンと比較!

続いて、柿とほかのフルーツのビタミンC含有量を比較して紹介します。カロリー・糖質・食物繊維の量も併せて比較しているので、参考にしてみてくださいね。

ビタミンCエネルギー糖質食物繊維
甘柿70mg63kcal14.3g1.6g
渋柿55mg59kcal14.1g2.8g
レモン100mg43kcal7.6g4.9g
キウイ71mg51kcal10.8g2.6g
いちご62mg31kcal7.1g1.4g
みかん32mg49kcal11.0g1.0g
バナナ16mg93kcal21.4g1.1g
りんご6mg56kcal14.3g1.9g
3mg38kcal10.4g0.9g
ぶどう3mg69kcal16.0g0.9g
みかん:うんしゅうみかん/じょうのう/普通,
りんご・ぶどう:皮付き すべて100gあたり *1

甘柿1個(150~200g)あたりに含まれるビタミンCは、105~140mg。じつは、レモン1個(約100g)より、柿1個の方がビタミンC含有量が多いのです。

レモン1個を生のまま食べるのは難しいですが、甘くて食べやすい柿なら、無理せず1個食べることができますね。ちなみに、成人のビタミンCの推奨摂取量は1日あたり100mg。柿を1個食べると、クリアできますね。

みかんもビタミンCを多く含むことで知られていますが、柿には同じ重さのみかんの2倍以上のビタミンCが含まれています。

柿のビタミンCは加熱で減る?

ビタミンCは熱に弱いため、加熱により失われてしまいます。そのため、柿を加熱してジャムやペーストに加工するとビタミンCが大幅に減少します。

また、ビタミンCは空気や光にも不安定な成分。皮を剥いた柿を長く放置するとビタミンCが失われやすいので、なるべく早めに食べましょう。

ちなみに柿の葉茶のビタミンC含有量は?

柿の葉には、レモンの10~20倍、緑茶の20~30倍のビタミンCが含まれると言われています。

柿の葉茶を淹れるときは、冷水でじっくり抽出するか、60℃程度のお湯で3分ほど抽出させると、ビタミンCの損失が少ないようです(*2)

柿の葉茶は、ほのかな甘味や香ばしい風味を楽しむことができます。緑茶より苦味が少ないため、子どもでも飲みやすいのが嬉しいポイント。

美容や健康のために柿を食べよう!

今回は、柿に含まれる栄養素とその効果・効能について紹介させていただきました。柿はβカロテンやビタミンCを豊富に含むため、免疫機能の維持や体内の細胞の抗酸化に効果的です。

旬の時期の柿は特に栄養価が高く、美味しいのが特徴です。柿の旬は9~12月なので、是非食べてみてくださいね。

参考文献
*1 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 糖質は「差し引きによる利用可能炭水化物」量を掲載
*鶴永陽子ら「柿の葉茶の浸出方法が抗酸化成分含量に及ぼす影響 およびその浸出液の安定性

written by yukari

食生活アドバイザー。無性に柿が美味しそうに見える時は、体内のビタミンCやβカロテンが足りていないのかな、と勝手に判断しています。旅先で買った柿を皮のまま食べたことがありますが(包丁がなかったので)、りんごのような味わいでとても美味しかったです!ただ、食物繊維の摂りすぎのせいかお腹がとても張ってしまったので、やはり柿は皮を剥いて食べることをおすすめします…(笑)。

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