美しい肌を保つためには、毎日のスキンケアとともに食事に気を付けることも大切。この記事では、美肌のために摂りたい栄養素・成分、肌に良い食べ物などを紹介します。毎日の食事で、体の中からキレイを作りましょう!
美容にかかわる栄養素・成分
1.ビタミンC
ビタミンCは、肌のコラーゲン産生に欠かせない存在です。
コラーゲンは、皮膚の弾力やハリに関わるタンパク質。加齢とともにコラーゲンの量が減り、皮膚の構造を支える力が弱くなり、シワやたるみが生じてしまいます。
ビタミンCは、コラーゲンの合成に必要な酵素を活性化させる働きをもっています。つまり、コラーゲンの材料や産生能力があっても、体内に十分なビタミンCがなければコラーゲンを作ることはできません。
ビタミンCの1日の摂取量は、成人なら100mgが目安です。ビタミンCは主に緑黄色野菜や果物に多く含まれるので、これらの食べ物を積極的に摂りましょう。
2.グルコシルセラミド
グルコシルセラミドは、玄米やパイナップルなどに含まれる成分で、肌の水分を保つ働きがあります。
グルコシルセラミドを摂取すると、皮膚でのセラミド産生が促進され、肌のバリア機能が改善されます。また、肌内部の細胞の結合部が強くなり、肌の水分を逃がしにくくします。
グルコシルセラミドは、特定保健用食品(トクホ)の成分としても認められており、さまざまな食品やサプリにも配合されています。
3.抗酸化ビタミン
ビタミンA(βカロテン)、ビタミンE、ビタミンCは、強い抗酸化作用をもつことから「抗酸化ビタミン」と呼ばれています。
体内で常に発生する活性酸素は、増えすぎると細胞やDNAなどを攻撃し、老化を促進させます。この活性酸素を除去したり、細胞を酸化ストレスから守ったりするのが抗酸化ビタミンの役目です。
美肌のためだけでなく、動脈硬化やがんなどの予防のためにも、抗酸化ビタミンは積極的に摂りたい栄養素です。
4.ポリフェノール
ポリフェノールは、野菜や果物、緑茶、コーヒー、玄米などに含まれる成分です。
ポリフェノールには、強い抗酸化力や血行を促進する作用があります。ポリフェノールにも色々な種類がありますが、カシス由来のポリフェノールにはくまを改善する効果、黒大豆由来のポリフェノールには美白効果がある可能性が報告されています(*1,2)。
5.食物繊維
腸内環境も、肌と密接にかかわっています。腸内環境が悪くなると、悪玉菌が生成した腐敗物質が血液に取り込まれ、肌荒れやニキビなどを起こすといわれています。
腸内環境を整えるために役立つのが食物繊維です。食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内環境を良好に保ちます。便秘改善にも役立ちますよ。
6.乳酸菌
乳酸菌も、腸内環境を整えて肌荒れを防ぐために役立ちます。
中でも、「プラズマ乳酸菌」はコラーゲン量の維持やアンチエイジングに役立つ可能性があることで注目されています(*3)。プラズマ乳酸菌には、免疫力を維持する作用もあるので、感染病予防にも役立ちますよ。
7.亜鉛
亜鉛はミネラルの一種で、細胞の新生にかかわります。亜鉛が不足すると細胞分裂が正常に行われず、皮膚炎などが起こります。
亜鉛は皮膚の中にも存在するため、皮膚を健康に保つために欠かせません。また、亜鉛は抗酸化作用をもつSODという酵素の成分になり、体内で発生した活性酸素を除去する働きもあります。
美肌に良い食べ物は?
美肌のために摂りたい栄養素・成分は、どのような食べ物に含まれるのでしょうか。美肌作りにおすすめの食べ物を紹介します。
1.緑黄色野菜
パプリカやピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜には、ビタミンC・ビタミンE・βカロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれています。また、野菜にはポリフェノールも含まれているため、抗酸化作用や血行促進作用が期待できます。
2.果物
果物には、ビタミンや食物繊維とともに、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。
中でも、カシスに含まれるアントシアニンは血行を促進し、くまを改善する効果が期待できます。
パイナップルはグルコシルセラミドが含まれるため、肌の保水力を高める効果が期待できます。パイナップルには、ビタミンCも豊富に含まれていますよ。
3.アーモンドミルク
アーモンドミルクには、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれています。また、食物繊維も多く含まれるため、腸内環境を良好に保つためにも役立ちます。
4.納豆
納豆を食べると、皮膚の弾力性や水分量が増加することが報告されています(*4)。これには、大豆イソフラボンが関わっているのではないかと考えられています。
納豆に含まれる「スペルミジン」という成分には、細胞の自己修復作用であるオートファジーを促進する作用もあります(*5)。
5.玄米・黒米
玄米には、肌の水分量を保つ「グルコシルセラミド」が含まれています。
また、玄米や黒米にはポリフェノールも含まれています。食物繊維や亜鉛なども含まれるため、毎日の主食に混ぜて食べると美肌作りに役立ちますよ。
6.ヨーグルト
乳酸菌が豊富なヨーグルトは、腸内環境の改善に役立ちます。肌荒れやニキビが気になる方におすすめです。
オリゴ糖や食物線の豊富な食品と一緒に摂ると、より効果的ですよ。
美肌作りは毎日の食事から!
美肌のためには、抗酸化ビタミンやグルコシルセラミド、ポリフェノールなどを積極的に摂取しましょう。これらの栄養素・成分を含む食品を日頃から摂取することで、抗酸化作用により、生活習慣病を予防する効果も期待できます。
毎日のスキンケアとともに、食事で美しい肌の土台を作りましょう!
参考文献
*1 松本均「カシスポリフェノール経口摂取のくまに対する改善効果」
*2 難波文男「黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用と血流改善効果」
*3 藤原大介「ウイルス感染防御機能を司るプラズマサイトイド樹状細胞を活性化する乳酸菌の研究開発」
*4 赤田圭司「納豆の機能性 ー納豆と皮膚の関係ー」
*5 吉森保『生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム』講談社,2022