「料理は科学だ」と言われるように、美味しい料理を作るためには、食材の性質を理解して適切な調理をすることが大切です。近年は、科学的視点から調理のコツが書かれた「ロジカル料理本」が人気ですよね。今回は、そんなロジカル料理本の中から、おすすめの5冊を紹介します。お気に入りの料理本を見つけ、科学で料理を制しましょう!
おすすめのロジカル料理本5選
1. 『料理と科学の美味しい出会い』石川伸一
「おいしすぎるステーキ」や「おいしすぎるオムレツ」などの調理法を、食材の分子レベルで解説している料理本です。
また、脳が「おいしさ」を感じる仕組みや、美味しい料理を構成する基本四分子などについても紹介されています。
初めて分子調理学にふれる方にも、分かりやすく書かれています。著者が日本人なので、身近な食品を例に取り上げている点も馴染みやすいポイントです。
果物を冷やすと甘く感じる理由、旨味を最大限に引き出した「ウマミ・バーガー」開発秘話などが書かれたコラムも必読ですよ。
ちなみに、著者の石川さんは学生時代に夜な夜なアイスクリームを自作しながら、「本当に美味しいアイスを作るには、タンパク質や乳脂肪を分子レベルで理解しなければ」と感じたことから、分子調理に興味を持ったそうです。
2. 『調理と理論』山崎清子他
化学や食品に関しての知識をすでに持っている方には、こちらの本がおすすめです。肉や魚のタンパク質が何度で変性するか、肉を加熱した際の水分量の変化など、専門的なデータが豊富に集められています。
栄養学食品学を専攻している学生が参考書として使用することも多いので、深い知識を身につけたい方に適しています。
科学的な視点から書かれたレシピも多数あるので、実験する感覚で調理を楽しめますよ。
3. 『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』松本仲子
こちらの料理本では、炊く・煮る・あえる・焼く・炒める・揚げるなどの調理法のコツから、下準備・保存のコツまで紹介されています。
一般的なレシピ本ではコツだけが紹介されていますが、その理由まで解説されているのが本書のポイント。
例えば野菜炒めを作る場合、高温・短時間で炒めて最後に調味料を回し入れると美味しく仕上がります。その理由は、浸透圧による脱水が起こらず、シャキッとした歯ごたえになるため。コツだけを押さえるより、その理由を知ることで調理がより楽しくなります。
丁寧な文章でつづられたエッセイのような1冊です。イラストとともにレシピも多数紹介されているので、実践にも役立ちますよ。
4. 『料理の科学 : 素朴な疑問に答えます』ロバート・L ウォルク
こちらは、ワシントンポストで人気を博したコーナーを本にまとめたものです。「白砂糖は体に悪いのか?」「塩には肉を柔らかくする効果があるの?」などの質問に答える形で構成されています。
『料理の科学』の①と②、『続・料理の科学』の①と②の合計4巻が出版されています。それぞれの巻では、食材ごとに性質や調理のコツなどを紹介しています。それぞれ扱っている食材などは、以下を参考にしてくださいね。
料理の科学① | 甘いもの・塩・脂肪・肉と魚介 |
料理の科学② | 火と氷・コーヒー・茶・炭酸・ アルコール・電子レンジ |
続・料理の科学① | 飲み物・乳製品と卵・野菜・ 果実・穀物 |
続・料理の科学② | 魚介・肉・スパイスとハーブ・ キッチン家電と台所道具 |
5. 『4つの要素がわかると料理は最高に美味しくなる SALT FAT ACID HEAT 塩、油、酸、熱』サミン・ノスラット
とても長いタイトルですが、文章の通り、これらの4つの要素を理解することで料理の腕が格段に上がります。
本書の前半では、塩・油・酸・熱の効果や使い方について詳しく解説され、後半ではレシピが多数掲載されています。ただ、英語のレシピを翻訳したものなので、少し読みにくく感じる方もいるようです。海外の料理本が好きな方や、読み慣れている方におすすめです。
約500ページにわたって、たっぷりと文章やイラスト、レシピが詰め込まれています。科学的な解説だけでなく、著者のエピソードなども織り込まれているので、楽しく読み進めることができますよ。
科学と理論で美味しい料理を作ろう!
食材の性質や構造などを理解すると、どのように調理すると美味しくなるのかが分かります。また、科学的な知識を得ると、より調理を楽しむことができます。お気に入りの1冊を見付け、美味しい料理を作りましょう!
Written by yukari
もともと料理を作るのが好きでしたが、栄養学や調理学を学んでから、より調理が楽しくなりました。科学的な知識が少しでもあると、調理中に食材の中で何が起こっているのか見えるような気がします(笑)。今回紹介した本の中では、エッセイ感覚で読める『おいしさの科学』やイラストが可愛い『SALT FAT ACID HEAT』がお気に入りです。