そばは高血圧・動脈硬化の予防に効果的?そばの栄養価・健康効果を徹底解説!

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多くの日本人から愛されているそば。ヘルシーな食品として知られ、昔から「そばを食べると血圧が下がる」ともいわれています。この記事では、そばに含まれる成分や栄養価・効果を解説します。そば湯やそば茶の効果、そばの種類・銘柄なども紹介するので、参考にしてみてくださいね。

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そばのカロリー・栄養価

そばの画像

そばは、ほかの穀物と比べて食物繊維やマグネシウム、鉄などを多く含むのが特徴です。

また、タンパク質の量も比較的多く、米や小麦に少ないリシンやトリプトファンなどの必須アミノ酸を豊富に含むのも特徴。アミノ酸のバランスが良く、良質なタンパク質を含む食品です。

一食分のエネルギー・栄養素

そば(ゆで)ご飯食パン
エネルギー226kcal234kcal248kcal
タンパク質9.6g3.8g8.9g
脂質2.0g0.5g4.1g
炭水化物52.0g55.7g46.4g
食物繊維5.8g2.3g4.2g
マグネシウム54mg10.5mg18mg
1.6mg0.2mg0.5mg
亜鉛0.8mg0.9mg0.5mg
ビタミンB10.10mg0.04mg0.07mg
ビタミンB20.04mg0.02mg0.05mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
(そば:200g、ご飯:150g、食パン:100gとして計算)

そばにはポリフェノールの一種であるルチンも豊富に含まれており、その機能性が注目されています。

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そばに含まれる「ルチン」はどんな成分?

そばの画像

そばの特徴的な成分であるルチンは、かつて「ビタミンP」と呼ばれていた成分で、ポリフェノールの一種(フラボノイド)です。

ルチンには強い抗酸化作用があり、酸化ダメージから体内の成分を守る働きがあります。

また、ルチンは毛細血管を強化する効果や血中コレステロールを低下させる作用があり、動脈硬化や脳梗塞などの予防に役立つといわれています(*1, 2)

そばを食べるとどんな効果が期待できる?

ざるそばの画像

そばにはルチンをはじめとした機能性物質や食物繊維、アミノ酸、ミネラルなどが含まれており、健康維持や美容に役立つさまざまな効果が期待できます。

高血圧予防

そばには、血圧の上昇に関わる「ACE」の働きを阻害する成分が含まれています。

ACEとは、血圧を上昇させる作用をもつ物質(アンジオテンシンⅡ)の生成に関わる酵素。ACEの働きを阻害することで、血圧の上昇を防ぎ、高血圧の予防に役立ちます

ルチンにも血圧上昇を防ぐ作用はありますが、ACE阻害作用は主にそばのタンパク質が関与していると考えられています(*3, 4

動脈硬化・循環器疾患の予防

そばに含まれるルチンは血管を健康に保つとともに、動脈硬化の原因となる酸化LDLの生成を防ぐ働きがあります(*1, 2)

これらの作用は動脈硬化を予防するために役立ち、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患のリスクを下げる効果も期待できます。

血糖値コントロール・ダイエットのサポート

そばは、白米ご飯やパンに比べてGI値が低く、食後の血糖値の上昇が緩やかです。GI値とは、その食品を摂取した後の血糖値の上がりやすさを相対的に示した指標で、一般的にGI値70以上は高GI食品(血糖値が上がりやすい)とされています(*5)

そばご飯(精白米)食パン
GI値59程度70~92程度75~81程度
参考:シドニー大学 GI SearchおよびInternational Tables of Glycemic Index and Glycemic Load Values

食後に血糖値が急上昇すると、膵臓からのインスリン分泌が促され、細胞への糖の取り込みが促進されます。血糖値を急激に上げるような食事を続けると、肥満や糖尿病などの生活習慣病を招くリスクが高まります。

そばのGI値は59程度で白米ご飯や食パンより低いため、メタボ対策やダイエットのために役立つ食品だといえるでしょう。

また、そばに含まれるルチンは脂質代謝を改善する効果も期待できます。なかでも、ルチンを豊富に含む「ダッタンそば」は、体重・体脂肪を低下させる作用があると報告されています(*6)


※GI値は体質や一緒に食べる食品の影響も受けるため、あくまでも参考程度にしてください。

抗酸化作用

そばには、ルチンをはじめとした抗酸化物質が含まれています。細胞や体内の成分を酸化ダメージから守ることで、細胞のがん化や生活習慣病の予防に役立ちます。

また、皮膚のシミ・シワを防ぐなど、健康だけでなく美容効果も期待できますよ。

ダッタンそばはルチンが100倍

韃靼そばのイメージ画像

ダッタンそばは、普通のそばより苦味の強い品種です。日本ではメジャーではありませんが、ダッタンそばは普通のそばの約100倍ものルチンを含むことで注目されています。

ダッタンそばは、ルチンを分解する酵素も含まれており、ルチンが分解されることで強い苦味を生じることが難点でした。

しかし、近年は苦味を抑えて食べやすく改良した「満天きらり」という品種が開発されています。満天きらりは、臨床試験で抗酸化作用や体脂肪率を下げる作用なども認められています(*7)。そばの健康効果をより高めたい方は、満天きらりなどのダッタンそばを選ぶのもおすすめです。

そば湯は飲むべき?

そば湯の画像

そばを茹でた汁は「そば湯」と呼ばれ、そば屋で提供されることも多いですよね。そば湯には、そばから溶け出したルチンやビタミンB群など水溶性の成分が含まれています。そばの栄養を余すことなく摂りたい方は、そば湯を飲むのがおすすめです。

そば湯はそのまま飲んだり、つゆと混ぜたりして好みの方法で味わえます。血圧が気になる方は、そのまま飲むか、そば湯に混ぜるつゆの量を少なめにすると良いでしょう。

そば茶の健康効果

そば茶の画像

そば茶は、そばの実を焙煎して作られるお茶です。そば茶でもルチンは摂取できるので、毎日そばを食べるのが難しい場合におすすめです。

そば茶を日常的に摂取すると、血流が改善されたという研究報告があります(*8)。そば茶の血流改善効果には、ルチンだけでなく、そば茶の製造中に生じる「アルキルピラジン」という成分が関わっていると考えられています。

特にダッタンそば茶はルチンの量が多いのでおすすめです。カフェインを含まないので、妊娠・授乳中や夜中でも飲めますよ。

そばの種類・銘柄ごとの特徴

そばの画像

「十割そば」や「二八そば」、「田舎そば」、「更科そば」など、さまざまな種類がありますよね。どのような違いがあるのか、そばの種類とその特徴について紹介します。

そば粉の種類による分類

そば粉は、挽き方によって一番粉・二番粉・三番粉に分類されます。

一番粉は、そばの実の中心部分を多く含む色の白い粉で、一番粉で作られたものを「更科そば」といいます。

一般的に、そば屋では二番粉と三番粉を混合した「並粉」や、段階的に分けず三番粉までを混合した「挽きぐるみ」が使用されています。

また、そばの殻まで含む粉を「全粒粉(全層粉)」といい、全粒粉で作られたものが色の濃い「田舎そば」です。

そば粉の種類によるそばの分類を表した画像。左から白っぽい色の更科そば、一般的なそば、色の濃い田舎そばの画像。

そば粉の割合による分類

そば粉と、そのほかの原材料との割合によって分類する方法もあります。

そば粉だけで作られたものが「十割そば」です。つなぎを使わないため切れやすいのが難点ですが、そば本来の風味が存分に味わえることや、小麦アレルギーでも食べられることがメリットですね。

そば粉とほかの原材料の割合が8:2なら「二八そば」、5:5なら「同割そば」と呼ばれます。一般的に流通するのは二八そばが多く、つるんとした喉ごしやなめらかな食感が楽しめます。なお、そば粉以外の原材料には、小麦粉・山芋・卵白・海藻(フノリ)などが使用されます。

そばの銘柄

そばは、産地によって特色のある銘柄が多くあります。ここでは、有名なそばの銘柄を紹介します。

戸隠そば

長野県戸隠地方で作られているそばで、日本三大そばのひとつとして取り上げられることもあります。清らかな水を使用しているため、質の良いそばになるといわれています。

オヤマボクチそば

北信州で作られるそばで、オヤマボクチ(山ごぼう)をつなぎに使用するのが特徴。独特の歯ごたえや喉ごしが感じられます。

津軽そば

青森県の伝統的なそばで、つなぎに大豆が使われています。大豆のほのかな甘みや、やわらかい食感が特徴です。

出雲そば

島根県出雲地方の名物。種皮ごと挽いた粉を使うため、色が濃く、コシがあります。丸い漆器(割子)を数段重ねてそばを盛る「割子そば」が有名です。

裁ちそば

福島県の伝統的なそば。つなぎを使わずに作るため、折りたたむのが難しく、延ばした生地を数枚重ねて布を裁つように切ることから、この名前がつきました。豊かな風味とコシが楽しめます。

へぎそば

新潟県の名物で、海藻のフノリをつなぎに使うのが特徴です。木の器「へぎ」に盛ることから、この名前で親しまれています。強いコシと歯ごたえが特徴です。




まとめ

ざるそばの画像

そばは、穀物のなかでは珍しく必須アミノ酸をバランスよく含む食品。また、抗酸化物質や血圧上昇抑制作用をもつ成分も含みます。

なかでも、そばの特徴的な成分がルチンです。ルチンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用や毛細血管強化作用をもちます。そばを日常的に摂取していると、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立つでしょう。

そばは、そば粉の種類や製造方法などによってさまざまな種類に分類されています。有名な銘柄もいくつかあるので、好みのそばを見つけてくださいね。

そばを毎日食べられない方や、つゆの塩分量が気になる方には「そば茶」もおすすめ。特に、ダッタンそば茶は血流改善効果が期待できますよ。

Yukari Nagata

フードスペシャリスト / WEBライター
食や健康に関する記事を数多く執筆。栄養学・食品学・調理学などの知識をいかし、美味しく健康管理できるレシピや献立も開発中。

Instagramではお弁当や料理の画像を投稿しています♪

Writer’s comment
そばはルチンが注目されがちですが、そのほかにも抗酸化物質やACE阻害作用をもつペプチドなども含み、多方面から健康にアプローチできる食品です。アミノ酸スコアも穀物のなかではトップクラス。日本にはさまざまな種類のそばがあるので、食べ比べしてお気に入りを見つけるのも良いですね。

参考文献
*1 (公社)日本フードスペシャリスト協会編『食物学Ⅱ 第2版』および『四訂 食品の官能評価・鑑別演習』建帛社
*2 Ben Li et al. Rutin Inhibits Ox-LDL-Mediated Macrophage Inflammation and Foam Cell Formation by Inducing Autophagy and Modulating PI3K/ATK Signaling
*3 Chun Hui Li et.al, Latent production of angiotensin I-converting enzyme inhibitors from buckwheat protein
*4 アグリサーチャー「ソバ粉およびスプラウトの機能性評価
*5 亀山詞子, 丸山千寿子「GIとカーボカウント
*6 西平順, 西村三恵「ヒト介入試験によるそば,大豆,タマネギの機能性の検証
*7 石黒浩二 et al.「ルチンを多く含むダッタンソバ「満天きらり」の抗酸化性と体脂肪率上昇抑制効果
*8 大日方 洋 et al.「ダッタンそば茶に含まれるアルキルピラジンが血液流動性に及ぼす影響

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