バターとマーガリンはよく似た食品ですが、「マーガリンは体に悪い」といった話を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。「マーガリンが体に悪いといわれる理由は?」「バターとマーガリンはどちらを選ぶべき?」など気になることも多いですよね。
この記事では、バターとマーガリンの違いを解説します。カロリーや飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の含有量も比較して紹介するので、参考にしてくださいね。
バターとマーガリンの違いは?

バターとマーガリンは風味やテクスチャーがよく似ていますが、じつは原材料・成分規格などに定義があります。
バターは、生乳や牛乳を原材料とし、乳脂肪分を80%以上含むもの。一方、マーガリンは植物油脂を原材料とし、油脂含有率が80%以上のものを指します。
| 原材料 | 乳脂肪・油脂含有率 | 水分 | |
|---|---|---|---|
| バター | 生乳・牛乳 | 乳脂肪分80%以上 | 17%以下 |
| マーガリン | 植物油脂 | 油脂含有率80%以上 | 17%以下 |
このように、バターとマーガリンは原材料に違いがあります。バターが生乳・牛乳を原材料とするのに対し、マーガリンは植物油脂から作られています。原材料が違うため、含有する脂質の種類も異なります。
もともとマーガリンはバターの代用品だった
マーガリンの起源は、1869年のフランスです。ナポレオン3世が主に軍事目的として、安価なバター代用品を募集したところ、牛脂に牛乳などを混ぜて固めたものが考案されました。これは「オレオマーガリン」と名付けられ、これを略して「マーガリン」と呼ばれるようになりました。
かつては牛脂や牛乳が使われていましたが、のちに植物油脂を主原料とするようになり、現在のマーガリンへと変化しました。
バターとマーガリンのカロリー・飽和脂肪酸の量を比較!

バターとマーガリンはカロリーはほぼ同じですが、飽和脂肪酸の量に大きな差があります。バター・マーガリンの100gあたりの栄養価は以下のとおりです。
| エネルギー | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 食塩相当量 | |
|---|---|---|---|---|
| バター | 700kcal | 81.0g | 50.45g | 1.9g |
| マーガリン | 715kcal | 83.1g | 23.04g | 1.3g |
飽和脂肪酸とは、主に乳製品や肉など動物性食品に多く含まれる成分です。バターは生乳・牛乳を主な原材料とするため、飽和脂肪酸も多く含まれています。
一方、植物油脂を主な原材料とするマーガリンは、飽和脂肪酸の含有量が少ないことが特徴。代わりに不飽和脂肪酸がバターより多く含まれています。
バターとマーガリンはどちらがトランス脂肪酸を多く含む?

飽和脂肪酸やカロリーのほか、トランス脂肪酸の含有量も気になるところ。商品によって差はありますが、バターやマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含有量の目安は以下を参考にしてください。
| バター | マーガリン | |
| トランス脂肪酸 含有量(g/100g) | 1.7~2.2g | 0.44~16g |
上記はあくまでも目安です。特にマーガリンは、商品によってトランス脂肪酸の含有量が大きく異なります。バターより少ないものもあれば、バターの約10倍ほどのトランス脂肪酸を含むものまであります。
トランス脂肪酸の含有量の表示は義務ではなくメーカーの任意なので、パッケージに記載されていないことも。もしトランス脂肪酸の量が記載されていたら、チェックしてみてくださいね。
バターには「天然型」マーガリンには「工業型」のトランス脂肪酸が主に含まれる
バターとマーガリンには、含まれるトランス脂肪酸の種類にも違いがあります。
バターに含まれるのは、主に「天然型」のトランス脂肪酸です。天然型は、牛のような反すう動物の体内で、微生物の作用によって生成されます。
一方、マーガリンに含まれるのは「工業型」と呼ばれるトランス脂肪酸。これは、植物油脂を加工する際に生成されるものです。
トランス脂肪酸は健康に良くないといわれますが、これは主に「工業型」のトランス脂肪酸を指します。一方、天然型のほうは影響が少ないとされています(参照:食品安全委員会 「新開発食品評価書 食品に含まれるトランス脂肪」)。
トランス脂肪酸については、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてチェックしてみてくださいね。

マーガリンの原材料である植物油脂は、もともと液体です。これをバターのように硬化させるために、「水素添加」という工程が行われます。油脂に含まれる脂肪酸に対して水素を添加させることで、脂肪酸の構造が変化し、半固体のバター状になります。
このとき、副産物としてトランス脂肪酸が生成されることがあります。よく誤解されがちですが、水素添加を行うと100%トランス脂肪酸が生じるわけではなく、あくまでも「一部がトランス脂肪酸になる可能性がある」ということです。
1食分のマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の量は?

マーガリン1食分には、どれくらいの量のトランス脂肪酸が含まれるのでしょうか。マーガリンのトランス脂肪酸の含有率ごとに、大さじ1(約12g)に含まれる量を計算しました。
| 100gあたりの トランス脂肪酸含有量 | 大さじ1(約12g)に含まれる トランス脂肪酸の量 |
|---|---|
| 15g/100g | 1.8g |
| 10g/100g | 1.2g |
| 1g/100g | 0.12g |
なお、WHOでは1日のトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満(2000kcalなら約2g)に抑えることを推奨しています。
もし、100gあたり15gのトランス脂肪酸を含むマーガリンを大さじ1摂取したとすると、1日の摂取量の目安ギリギリに。毎日マーガリンを使うなら、なるべくトランス脂肪酸の量が少ないものを選ぶことをおすすめします。
トランス脂肪酸が少ないマーガリンはある?
近年は、メーカーによってマーガリンに含まれるトランス脂肪酸を軽減する努力がなされています。なかには、トランス脂肪酸の含有量がほぼ0に近い商品も。マーガリンを毎日使う方は、なるべくトランス脂肪酸の少ない商品を選ぶと安心ですね。
1.発酵豆乳入りマーガリン
「発酵豆乳入りマーガリン」は、べに花油やパーム油を使用して作られた純植物性マーガリンです。100gあたりのトランス脂肪酸の含有量は0.3g。これは、一般的なマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の約1/3程度です(*4 中央値より)。
「発酵豆乳入りマーガリン」には、植物性乳酸菌で発酵させた国産大豆の豆乳が含まれるため、バターのような豊かな風味とコクが楽しめます。大豆由来のアミノ酸やイソフラボンなどを摂取できるのも嬉しいポイントですね。
乳製品を一切使用していないので、牛乳アレルギーやヴィーガンの方にもおすすめ。
2.パン屋さんのおいしいマーガリン
「パン屋さんのおいしいマーガリン」は、おいしいパンを、さらにおいしく食べるために生まれたマーガリン。北海道産の生クリームを7%使用し、フランス・ロレーヌ地方産の岩塩を加えて、奥深い味わいに仕上げています。
100gあたりのトランス脂肪酸の含有量は0.4g。食パンに塗る程度なら、ほぼゼロに近い数字ですね。
健康に良いとされるオレイン酸を多く含むべに花油も原料に使用されています。原材料にこだわっているため、美味しいマーガリンを探している方におすすめの商品です。
3.べに花 ハイプラスマーガリン
「べに花 ハイプラスマーガリン」は、一番しぼりのべに花油を使用したマーガリン。発酵乳・全粉乳・生クリームを使用しているため、バターのようなコクとなめらかさが楽しめます。
トランス脂肪酸の含有量は、100gあたり0.3g。日常的に使っても、健康への影響はほぼないと考えられます。
香料・酸化防止剤・着色料を使用していないため、添加物を避けたい方にもおすすめの商品です。
トランス脂肪酸含有量の少ないマーガリンの選び方は?

「トランス脂肪酸低減」「トランス脂肪酸0」などの表示があれば分かりやすいのですが、マーガリンには、トランス脂肪酸の含有量が表示されていないことも多くあります。
そこで、注目したいのが「部分水素添加油脂不使用」という表示。
トランス脂肪酸が生成されやすいのは、部分水素添加を行ったときです。完全に水素を添加させる「完全水素添加」では、脂肪酸は飽和脂肪酸に変わるため、トランス脂肪酸はほぼ生成されません。
トランス脂肪酸の少ないマーガリンを選びたいなら、「部分水素添加油脂不使用」や「完全水素添加油脂」と表示されたものがおすすめです。
ちなみに、商品のパッケージにトランス脂肪酸の含有量が書かれていなくても、メーカーのサイトなどで情報が公開されていることもあります。気になる商品があれば、公式サイトをチェックしましょう。
まとめ:バターとマーガリンの違い

バターとマーガリンは、原材料が違うため、含まれる脂肪酸の種類も異なります。また、どちらにもトランス脂肪酸は含まれますが、バターは「天然型」、マーガリンは「工業型」が含まれる点でも違いがあります。特に工業型のトランス脂肪酸は摂取量に注意が必要なので、選び方を工夫しましょう。
今回紹介したように、マーガリンでも限りなくトランス脂肪酸の量を減らした商品もあります。「マーガリンは健康に悪い」といわれることもありますが、選び方を工夫し、1日あたりの使用量が大さじ1程度であれば、健康への影響は過剰に心配しなくて良いでしょう。
何より食事を楽しめるよう、味わいの好みやコスパなども考えながら、自分に適した商品を選んでくださいね。バターとマーガリンを上手に使い分けるのもおすすめです。
参考文献
*1 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格などに関する省令」
*2 農林水産省「マーガリン類の日本農林規格」
*3 食品安全委員会 「新開発食品評価書 食品に含まれるトランス脂肪」
*4 農林水産省 「平成26・27年度調査結果(穀類加工品、乳類、油脂類、菓子類、嗜好飲料類、調味料・香辛料類、調理加工食品)」
*5 農林水産省 「平成18・19年度調査結果(穀類加工品、豆類加工品、肉類、乳類、油脂類、菓子類、調味料・香辛料類)」
